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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
【時々晴れ編】
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 14. わすれもの

色々と、忘れちゃったりすることはあるものです!

☆☆~マレーの場合~☆☆

(マレー:料理部なヒト。普通に料理してて爆発を起こせる、才能のある子。でもファイには敵わない?)




「よ、マレー」


「……?」


「何だよ、反応薄いなぁ。どうした、元気でもないのか?」


「……え~と、どちら様?」


「……、はは、ちょっと冗談キツイな、マレー。俺だ、レムだよ――って、改めて名乗るのも何か変な感じだな」


「レム……、れむ……? そんなヒト、この館にいましたっけ?」


「えっと、もしかして冗談とかじゃなくて、本気で仰ってたりする?」


「……ちょっと待ってくださいね、この館って男の方が少なくって出逢いの機会がないですから、すぐに思い出せるはずなんです。それに確かにどこかで聞き覚えがあるはず……」


「というか、俺ってそこまで存在感がないのか?」


「大丈夫です! 私、ちょっと人を覚えるのが苦手なだけで……えと、もう少し待ってくださいね、すぐ思い出しますからっ」


「……ヒントその一、この館で一番偉い奴、もしくは有名な奴は?」


「え? トリュフお姉様じゃないんですか?」


「トリュフ? 誰だ、それ」


「あぁ、お姉さまは色んな名前を名乗ってますから。私はトリュフお姉様って呼ばせてもらってますけど……えと、ちょっぴりくすんだ銀髪の、とっっっっっっっっっっっっても綺麗なお姉様です。メイド服は……皆着てますし。他に特徴は、」


「あ、成程。あいつね」


「……トリュフお姉様をあいつ呼ばわりなんて、失礼な方ですね」


「いや、今回ばかりは大多数賛成で、お前の方が失礼だと思うぞ、俺は」


「何でですかっ」


「何でも何も……、それで、俺が誰か思い出せたのか?」


「いえ。トリュフお姉様って言葉で何か思い出せたような気がしたんですけど、まだ少し。ちゃ、ちゃんと思い出しますからもう少し待ってくださいねっ!」


「……じゃあヒントその二、お前のご主人様の名前は?」


「ご主人様? ん~、なんでしたっけ?」


「おいおい」


「いつもお館様って呼んでるんで、お館様の本名忘れちゃいました。えっと確か……へたれ・ザ・キング・オブ・ワールドチャンプ、でしたっけ?」


「それは既に名前じゃない。つか、んな名前であってたまるか」


「……んー、ごめんなさい、やっぱり思い出せそうにありません。と、いうことであなたはどちら様なんでしょうか? と、言うよりもどの部に所属してます? 見覚えがないってことは少なくとも料理部じゃないですよね?」


「俺はどこの部にも入ってません。つーか失礼というか、感心する勢いだぞ、おい」


「部に入ってない? そんなはずは……この館に部に入ってないヒトって言ったらそれは――」


「ま、三人くらいか? 俺と、あいつと、あとスィーカット」


「……、――っっっ、ぉ、お館様っ!?」


「正解。つかご主人様の顔を忘れるって、それはどうなんだよ?」


「で、でもだってお館様のお顔を拝見する機会なんてそうないですし、」


「いや、でも俺結構あちこちの部に顔出してるって自負はあるぞ? 一応、館の奴らの顔と名前は一通り覚えてるつもりだし」


「でも私は遭ったことないですし、……もしかして料理部に顔を出すのってお昼ですか?」


「とくに昼ってわけじゃないけど、まあ朝とか昼とかが多いかな? 夜は……大体部屋でぶっ倒れてることが多いから。それ以外だと何かに追われていたり何かから逃げてたりと、少なくとも全力で走ってることが多いな」


「なら、やっぱりお館様に遭う機会ってないのかも。私、夜型だし」


「夜型? あぁ、成程、働いてる時間帯が違うのか」


「はい。私は大体、日が沈んでから昇ってくるまでの時間です」


「……それじゃ今ってもしかして結構眠い?」


「いえ、お館様をいっぱい労うんだって、私もですけど皆テンションが高かったので、今はまだ大丈夫……後が少し怖いですけど」


「ま、後でゆっくりと休めばいいさ。何なら明日一日くらいはお前ら全員、休んでても良いぞ? そうだな、明日は俺が全員分の食事作ってやるってのも面白そうでいいかもな」


「お館様って、お料理できるんですか?」


「ま、サバイバル技術の一通りくらいはな。昔は逃亡期間とかあったし、山とか森の中だったら軽く一年は余裕で過ごせるぞ」



「……逃亡期間?」


「その怪しげな眼をやめろ。それに昔の話だから気にするな」


「……はあ」


「しっかしマレー、俺を労うために精一杯がんばってる、とか言ってる割に俺の顔を覚えてなかったのな」


「そそ、その節は大変失礼を――」


「いや、それほど気にしちゃいないから別にいいんだけどな。まあ、驚きはしたが」


「ぁぅ」


「で、俺の顔はもう覚えたよな?」


「少し、自信がありませんけど……多分」


「……ま、覚えられなかったら覚えられなかったで仕方ないか」


「怒ら、ないんですか……?」


「んな、出来ないことに怒ってても仕方ないだろう? それに覚えてなけりゃないで一回一回教えれば済むだけの話だ。少なくとも俺の方は覚えてるわけだし、まあマレーが俺の事を覚えてくれるまでは気長に待つとするさ。あと、ちょっとは夜にも見回りをしてみようかな、とかな」


「……なんだかお館様を見直しました。噂と全然違う」


「その噂って、たとえばどんな?」


「えっと、お館様は女誑しだとかその割には全然成果がないへたれ野郎だとか物凄く酷いお方だとかそれに――」


「もう良いもう分かっただからそれ以上はやめてくださいお願いします」


「そうですか? まだ噂の一割も言ってないんですけど……?」


「い、今ので一割以下か。全く、どこが発生源……かは分かり切ってるとして、一体どれくらいの尾ひれがついちまってるんだ?」


「御免なさい、お館様。なんだか私、お館様の事を誤解してたかも……」


「いや、誤解を誤解って分かってくれたならそれでいい、というよりもそれを誤解と認識してくれたマレーの存在がありがたい。他の奴らはまったくもって、俺の酷評が誤解とか捏造とか、その辺りだってことを全然信じやがらないからな」


「そうなんですか?」


「ああ、何故か、な。まあマレーの場合は俺に会う機会が少なくて、変な先入観がそれほどなかったから、ってことなのかな?」


「……私は、そういうのじゃないと思いますけど」


「ん? そりゃいったいどういう意味だ?」


「なんとなくですけど、皆、お館様の誤解は誤解だって分かっているんじゃないかな、と」


「……いや、そりゃないって。もしそうだとしたら余りに俺の待遇が酷すぎじゃね? 俺の事をちゃんと分かっててああいう態度とか、しかも皆が皆、示し合わせたようにとか、それってイジメだと思うんだ、俺……って、あれ? 同じようなことをついさっきも言った気がするな?」


「それって多分ですけど、皆お館様に相手をしてほしいんですよ」


「それも、なんとなく思ったと?」


「はい。これが女の勘、ってやつですかね?」


「俺に聞かれても困るが……相手をしてほしいだけなら普通にしてやるんだけどなぁ、というよりもそっちの方が大歓迎?」


「ふふっ、なら一応、私の知り合いにはそっちの方がお館様がお喜びになられるって教えておきますね?」


「ああ、そうしてくれ。……んで、話は変わるけどさ、マレー」


「はい?」


「これ、何か会うヤツら皆に言わなきゃいけないのが悲しいところなんだけど、……俺としてはもう少し砕けた態度で接してくれてもいいんだぞ?」


「砕けた、ですか?」


「そう、もっとフレンドリーに」


「私としては、十分に親しみを込めてお館様とお話しさせていただいているつもりなのですが……?」


「それそれ、“お館様”とか、明らかに硬いだろ、言葉が」


「ですがお館様はお館様ですし……」


「……成程、つまりマレーも俺の事をレムさん、なんて呼び方したら俺との距離感が分からなくなって困る、という奴か」


「いえ、お館様がレムさんと呼んで欲しいと仰るのであればそうしますけど?」


「あ、そうなの?」


「はい。私は特にお館様という呼び方に拘りはありませんし……それに正直なところ、まだ“お館様”の顔と名前が一致していないので……」


「あー、成程、そういう訳ね」


「……ごめんなさい」


「いや、謝らなくていいって。んじゃ俺の事はレムって呼んでくれればいいぞ? ただ尊敬とか敬愛とかその辺りの感情は省略しないでくれると嬉しい」


「難しいことを仰るんですね?」


「いや、そうでもないだろ」


「いいえ? 一方では尊敬しろと言い、もう一方では親身にしろと言う。矛盾してると思いません?」


「――あぁ、成程。言われてみれば確かに、そうだな。気付かなかった」


「でしょう?」


「ん~、じゃあ親身の方でお願いするわ」


「敬愛はいいんですか?」


「そんなものは俺と一緒にいれば自然とついてくるから問題なし」


「随分と過剰な自信なんですね?」


「――これでもお前らのご主人様だしな。お前らが胸張って生きられる程度には、俺は立派でありたいと望むぞ」


「くすっ、それはまた、大層な決意ですね、レムさん」


「別に、俺にかかればこれくらい大層でもなんでもないさ。でもその言い方……さては信じてないな?」


「いいえ、そんな事はありませんよ?」


「そうか?」


「はい。レムさんが言うことは不思議と……その通りになるみたいに思えちゃうんですもん。だから、ちゃんと信じておりますよ、私たちのお館様?」


「……んー、何かそういう言い方されると照れるな、少し」


「私も少し、恥ずかしかったです」


「そういう言い方はあいつがしそうな物言いだしなぁ。実はマレーも結構、あいつに影響受けてる?」


「トリュフお姉様にですか? それは当然、というよりもこの館の者全員、トリュフお姉様の影響は受けていると思いますよ?」


「まあ、良い方面の影響だけならそれでいいんだけどなぁ。果たしてどれくらい悪い影響を受けてない奴がいるのやら」


「さあ? 私としてはなんとなく、影響云々の問題ではなくて個々人の良心と嗜好の問題の気もしますけど……?」


「それもさっき言った女の勘ってやつか?」


「そうかもしれませんね」


「でももしそうだとしたら……救いようがねぇ。俺の扱いっていつまで経っても結局変わらずってことじゃねえか」


「御愁傷様です♪」


「……んな楽しそうに言わないでくれ、マレー」


「おっと、これは失礼しました、レムさん」


「はぁぁぁぁ、なんだか希望が一つ減った感じだな。まあマレーにあれこれ言っても仕方ないわけだが」


「レムさん、そういうときは食べて飲んで、楽しくみんなで騒いでいれば意外と気が休まるものですよ?」


「知ってる」


「そうですか、流石はレムさんですね」


「まあ、だからこそこういった催しを開いてくれたお前らには非常に感謝しているわけだが」


「いえいえ、それほどでも。準備はそれなりに大変でしたけど、私たちもみんな楽しかったですし」


「ま、という訳で俺は十分楽しんでるから、折角なんだしお前も存分に楽しんでくれ、マレー。そっちの方が俺としても嬉しい」


「はい、レムさん――お館様がそう仰られるのであれば、私も精いっぱい楽しませてもらいますね?」


「ああ、そうしてくれ。んじゃ――」


「レムさん? もう行かれるんですか?」


「まあ、一応一通りは回ろうって考えてるんでな。お前みたいに俺の事を忘れてる奴とか、俺の事をよく知らない奴とか、その辺りを中心に相互理解と親睦を深めるためにも、な」


「はは、耳に痛いお言葉です」


「でもさすがにもう俺の事は覚えてくれただろう、マレー?」


「はい、レムさん。もうきっと忘れないから大丈夫だと思いますきっと」


「……随分と不確かな言葉が多いなぁ」


「たっ、多分覚えましたから大丈夫ですよっ!」


「よし、その言葉を信じておいてやろう。と、言う訳だから次あった時に『どちら様?』なんて聞いてくるんじゃねえぞ、マレー」


「はいっ、レムさん!」


「ちなみにお館様とかも却下だからな? ちゃんと俺の名前、覚えておけよ?」


「えと……はい、分かりました。善処させていただきます」


「そこは言いきってほしいところだけど……ま、いいか。それじゃ、マレー、またなっ!」


「はい、レムさん。また後で――」


お祭り開催ちゅ~。

……ふぅ、これで一度登場した子の何割くらい出せたのやら。

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