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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
【時々晴れ編】
615/1098

 05. すきこそじょうず

好きこそものの、上手なれ

.☆☆~テハー&カラーヌの場合~☆☆

(テハー:清掃部。館の端の方の草原を担当にしている子で、櫛が宝物)

(カラーヌ:清掃部。ドジっ子。)





「……お前ら、何してるんだ?」


「あ、ご主人様だ」


「……ご主人様ぁ~」


「こらこら、今は無礼講なんだからレムって呼べって言っただろう。もしくはレムさん、」


「じゃあ、レム」


「れむれむ?」


「それはそれで……つーかお前ら、いきなり態度変わりすぎだろ」


「でもレムが無礼講の方がいいって言ったから」


「この我儘めっ!」


「いやいや。でも普通はさ、ほら、日頃からの畏怖の念とかが邪魔して、どうやってもかしこまっちゃう、みたいになるだろ、やっぱり」


「そんなものなのかな?」


「少なくともわたしはそんなことないよぉ~? だって、れむれむが無礼講って言ったもん。なら無礼講で良いんだよ、うん!」


「カラーヌ、確かに俺は無礼講って言ったから態度の方は気にしないけど、そのれむれむっていうのはやめてくれないか?」


「? どうして?」


「私は似合ってると思うよ?」


「いや、俺はれむれむとか、そう言う感じじゃないだろ? どちらかといえばもっとクールで寡黙で、にじみ出るダンディさが止められないような感じだ。可愛い系では、断じてない」


「「……」」


「ん? どうした二人とも、急に黙って」


「「それはない」」


「は?」


「レムがダンディって言うのはお髭の似合う素敵なおじ様に失礼だと思う」


「うん、失礼な奴めっ!」


「奴とか言うな、奴とか。てかカラーヌ、ちょっと口が悪すぎだ。せめて常識の範囲内では俺を敬え」


「……常識」


「……範囲内」


「そうだぞ、二人とも。くだけてもいいとは言ったが、やっぱりある程度は敬われてしかるべきだと思うんだ、俺の存在的に」


「じゃ、今のままかな?」


「うん、そうだね?」


「ちょっと待て二人とも!?」


「何、レム?」


「どうかしたの、れむれむ?」


「つまりそれはあれか! 俺が敬うに値しないと、そう言いたいわけかっ!?」


「ん~、……どうかな、カラーヌ?」


「わたしはご主人様のこと、敬愛してますよぉ?」


「――あっ、カラーヌ、あなたっ!?」


「??? どうかしたの、テハーちゃん?」


「どうかした、じゃなくてあなただけレム……ご主人様のことを敬あ……ぃしてるとか、一人だけ御機嫌とろうとするのはずるいわよっ」


「と、言うか二人とも。とってつけたみたいに『ご主人様愛してるっ♪』とか言われても微塵も信じれないんだが?」


「「そこまでは言ってない!!」」


「……あとテハー、ご機嫌とりとか言うな。思ってもせめて口に出すな。もしくは本人がいないところで言ってくれ」


「ぁ、と……そのですね、ご主人様。私はその、今のはご主人様が嫌いとかそういうのじゃなくて……」


「だよねー? テハーちゃんはご主人様のこと大好きだもんねー」


「カラーヌ!!!!」


「うん?」


「つーかさ、さっきから言ってるけど、『ご主人様大好きー♪』とか『ご主人様好き好き愛してるのっ』みたいに、態々“ご主人様”ありきなところにそこはかとない悪意を感じるのだが?」


「「だからそこまで言ってませんっ(ないもんっ)!!」」


「……、て、照れることはないんだぞ? ほら、今ってお祭りで無礼講だから。俺としても寛大な心で受け入れちゃってもいいかな~とか……思った、り?」


「ずっ、図々しいって言葉を知ってますか、ご主人様っ!?」


「あ、ご主人様を指す言葉だねっ、テハーちゃん、上手いこと言った!」


「言ってねえよ!? 全然言えてねえよ!?」


「? そうなの?」


「そっ、そうよカラーヌ。それはご主人様に対して失礼でしょ!」


「……いやいやいや、テハー、お前の発言も十二分に失礼だぞ?」


「わ、私ですか!?」


「駄目だよぉ、テハーちゃん」


「お前も同じだ、つかお前の方が酷いわ、カラーヌ」


「……ご免なさい、ご主人様」


「わ、私だって! ……その、ご主人様。決して悪気があったわけではなくて、その、その場の雰囲気と言いますか……大変失礼いたしました。申し訳ありません!!」


「あー、……いや、そんな急に畏まらなくてもいいんだけどな。今日は無礼講ってのは言ったとおりだし、それに今程度ならあいつのお陰で慣れてるし。むしろ裏の裏の裏がないだけまだましっていうか……駄目だ、自分で言ってて何か悲しくなってきた」


「ご主人様、しっかりしてくださいっ」


「めげるな、ご主人様っ」


「あぁ、うん。俺、頑張るよ。まだ頑張るよ」


「それでこそご主人様ですっ」


「いよっ、雑草!」


「おいこらカラーヌ、それは断じて慰めてないし、褒め言葉でもねえ」


「え、そうなの?」


「わ、私に聞かれても……」


「いや、テハーもっ、雑草とか言うのは明らかに褒め言葉違うだろっ!?」


「「う~ん?」」


「くそっ、駄目だ。既にあいつに洗脳され切ってるかっ」


「洗脳なんてされてませんっ」


「そうだぞー、失礼なご主人様」


「だからテメェの方が失礼だと分かれ、カラーヌ」


「うん?」


「でもご主人様の方こそ失礼ですっ、私たちのどこが洗脳されてるって言うんですかっ」


「どこからどう見ても……と、言うよりもいつの間にかご主人様に戻ってるのな?」


「ぁ……だめ、でしたか?」


「心が狭いな、れむれむ」


「いや、駄目じゃないし、そっちの方が慣れてて気が楽って言うのなら俺としてもそこまで強要するつもりはないが……それとカラーヌ、だかられむれむは止めろ」


「……よかった、ご主人様の気を害してなくて」


「うん、よかったね、テハーちゃん」


「俺はそんな程度のことで気分害したりしないっての。それともお前らの中の俺はそんなに小さい存在なのか?」


「それもそう……ですね。じゃ、レムで」


「うん、れむれむで」


「……だから、お前たちの場合はちょっと態度が変わりすぎだと俺は思うのですが?」


「だめ、ですか……?」


「……だめぇ?」


「ぐっ、そんな目で見るのは卑怯……いや、駄目ということはないし、親しみを込めてくれてるのならそれはそれで問題ないってことだから構わないわけだが……」


「なら問題なしね」


「問題なし!」


「うん、レム。……レム、レム、レムレムレムレムレム」


「れむれむ?」


「ってなんだよ、テハーまでれむれむ言うか。つーか俺の名前を連呼して何のつもりだ、テハー」


「あ、いや……他意はない、んだけど」


「懇意は有ったりして?」


「いやそれもないけど」


「ちぇー」


「なんとなく、こういう時じゃないとご主人様のコト、レムって呼べないから。呼び貯めておいた方がお得かな、と思って」


「おぉ、なるほど!」


「いや、成程じゃねえだろ」


「でしょ? カラーヌもそう思うわよね?」


「うん、思う。じゃあわたしも……れむれむれむれむれむれむれむれむれむれむれむれむ」


「いやカラーヌ、それは既に不気味だから。止めろ」


「そ、そうね。私も流石にそれはどうかと……」


「れむれむれむ……むれむれ?」


「ソレは違うから」


「そうよ、カラーヌ。むれむれじゃなくて、ムレ……て、あれ?」


「むれむれ?」


「レムだ。……って、それはそうと二人とも、何してるんだ?」


「あぁ……うん、櫛のお披露目兼品評会をしてるところ」


「これ全部テハーちゃんが作ったんだって。凄いよね?」


「へぇ、全部テハーが。……中々凝ったものもあるな」


「あ、いえ、ちょっと趣味が高じただけで、大したものじゃ……」


「でもさっきテハーちゃん、この機会にれむれむにどれか一つをプレゼントしたいって言ってたよね?」


「プレゼント? 俺に?」


「えっと……レムが嫌じゃなければ、と言うより櫛なんて女の子が使うものだからやっぱりレムは要らないよね? ……そうだよね」


「れむれむの鬼! 畜生!」


「俺はまだ何もしてねぇ!! テハーも、勝手に一人で早とちりするな。お前がくれるって言うんなら俺は喜んでもらうぞ?」


「え、でも……」


「よかったね、テハーちゃん!」


「つーか、女の子から手作りのプレゼントをもらって受け取らない奴は男じゃないだろ」


「れむれむは男じゃないの? 男に見えるのに」


「え!?」


「いや、どこからどう見ても俺は男だろ。つか何故に驚くテハーよ」


「あ、いえ、嬉しくてつい、じゃなくて、ちょっと頭が混乱して本音、じゃなくて……その、ちょっとつられただけで他意はない、です」


「だねー。という訳でテハーちゃん、わたしにも一つちょうだいっ」


「カラーヌは駄目」


「えー、なんで!?」


「大体もあなたにはもういくつ上げたと思ってるのよ。それで、幾つなくしたと?」


「あー、えっと。ごめんね?」


「……もう、済んだことだから仕方ないけどね。次からはちゃんと気をつけてよね?」


「うん、気をつけるね!」


「仲良いコトは良い事だ。……んで、俺には一体どれをくれるんだ、テハー?」


「えっと、レムにはこれを……気に入るかどうか、分からないけど……」


「漆黒! かっこいい!!」


「やらんぞ、カラーヌ。これは俺が貰ったんだからな」


「えー!」


「……貰って、くれるの?」


「だからさっきからありがたく貰うと言ってるだろうが。そんなに俺が信用できないか?」


「「うん」」


「……わー、即答っすか」


「って、あ、今のはなんていうかその……」


「ついうっかり?」


「うん、そう、それっ」


「口が滑って本音が出た! ごめんね、れむれむー」


「兎に角! これは有り難く使わせてもらうからな。後で返せと言っても無駄だからな?」


「――そんな事、絶対に言わないわよ」


「だってそれ、テハーちゃん快心の出来だもんねっ」


「うん……って、何言わせるのよカラーヌ!!」


「自分で言ったのテハーちゃんだよぉ~」


「あ、ちょっとおいお前ら――」


「待ちなさい、カラーヌ!! それにさっきから黙って聞いてればよけないことをぺらぺらとご主人様の前で――!!」


「きゃ~、テハーちゃんが照れて怒った~」


「照れてない! 断じて照れてない!!」


「ツンドラだー」


「何わけのわからない事を――」


「ぁ、れむれむ。それじゃまたねー。ちゃんとテハーちゃんの櫛、大切に使ってあげてねー?」





「ああ、そりゃ勿論……って、行きやがった。……ま、これは大切に使わせてもらうとしますか。うん、女の子からの手作り、理由がどんなだったとしても嬉しいものだな、やっぱり。うん、余り深くは考えないでおこう」


ぷぷー。

……とくに即席で思いつくことがない場合。

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