→Start. 時折晴れだったり?
お祭り、開始。
「……ふー」
「旦那様、如何なされましたか?」
「いや、最近ちょっと慌ただしかったけど、一心地ついたな、って思ってな。いや、疲れた疲れた」
「そうで御座いますね。そしてそんな旦那様に朗報が御座います」
「朗報? お前が“朗報”、なんてはっきり言うとは珍しいな。一体どんな事だ?」
「はい。館の皆様方が日頃の旦那様の御苦労をねぎらいたい、という事でちょっとしたサプライズパーティーを開催する事に相成りました」
「へぇ、そりゃ嬉しいけど、サプライズなら今俺にばらすのはまずかったんじゃないのか?」
「いえ、そのサプライズというのが本日、これから行われる、という事です。ちょうど旦那様も一段落疲れたご様子ですし、参りましょうか?」
「んー、あぁ、そうだな。それじゃどんなものを開いたのか、楽しみにさせて貰うぜ。……ちなみに聞いておくけど、いつぞやみたいに俺を磔にして祀り上げる~とか言う趣旨じゃないよな?」
「はい、御座いません。今回は正真正銘、一切の他意も含みも企み事・謀略・隠し事・その他の旦那様にとって好ましくないと思われるものは御座いません。それに何より、此度のパーティの企画運営に私は一切合財携わっておりませんので、御安心なさいますよう」
「お前が携わってないから安心、って言うのもなぁ。そう言う事、自分で言って置いて自覚があるなら少しは改めてほしいものだが?」
「さて、皆様方を待たせるわけにもいきませんので急ぎ参ると致しましょうか、旦那様」
「逃げたな」
「はい。ですがいけない事でしょうか?」
「どっちかと言うといけない事だが、まあいいや。確かに待たせるのも悪いしな。それに本来ならもっと早い時間帯だったんじゃないのか?」
「何故そう思われるので?」
「ん? 単純な事だろ。今日はちょっと仕事が長引いちまったしな。んで、この時間に準備してたって言うんならちょうど夕食の時間帯に合わせて行うつもりだったんだろ、どうせ」
「そうで御座いますね。そう聞き及んでおります」
「ならやっぱり、急がないとな」
「……旦那様、そう急がずとも、皆様方はちゃんとご理解なされております故」
◇◇◇
『いらっしゃいませ、ご主人さま!』
「これはまた、盛大な歓迎の仕方だな」
「はい、この館に住んでおります総員が集っておりますので、結構な人員になるかと」
「それで良く一部屋に入ったなぁ」
「魔法で少々空間をいじらせていただきましたので。それにこの館には元より空間膨張の機能が携わっております。ヒト程度の大きさであるならばこの程度の規模は充分に収まり切りましょう」
「あ、そう言えばここって元々龍種が棲んでたところだったか。ドラゴンフォームに化ければ空間食うからな、それは確かに十分以上の広さが必要か」
「はい。ですが通常時はそれでは広すぎるという事ですので、機能として空間膨張が備わっているようで御座います、旦那様。以前発見いたしました原初の白龍ルーロン様の走り書いたこの館の設計図にそう記されておりました」
「ふーん。ま、由来とか原理はこの際どうでもいいか」
「はい、そうで御座いますね。今は旦那様には楽しんでいただければ、それで皆様方もお喜びになられるかと」
「んじゃ、そうさせてもらうとするか」
「それでは皆様方――旦那様より、一言を賜りたいと思います。ご静粛に」
『――』
「んー、今更改まって言うってのも野暮なもんがあるし…ありがとな、みんなっ! それじゃ、今日は完全無礼講だ。飲んで騒いで、思いっきり遊べ、俺が許す!!!」
「マスター、それではせっかくマスターに楽しんでいただこうと企画した今回の催しが――」
「サカラ様、旦那様が無礼講、と仰られておられるのです。そう、望まれておられるのです。それ以上なにが必要ですか?」
「――……そう、ですね。申し訳ありませんでした、お姉様」
「いえ、解っていただければそれで。それに皆様方を代表して意見を述べられたサカラ様に感謝こそすれ、謝られる必要は御座いません」
「……お姉様」
「はい、そこ。そこはかとなくいい雰囲気とかにならないのっ」
「なってません!!」
「サカラ様の言うとおり、そのような雰囲気になど決してなっておりません、旦那様」
「……そうなんです。決して、決して…なって、ません。うぅ」
「ま、そう落ち込むな。……って、話がずれたな。つーわけだから、――――以上! さあ、はじけるぞ、お前たち!!!!」
『はい、ご主人さま!!』
「まだ固い!! 今日は無礼講だって言っただろ? 俺の事はレムと呼べ、それ以外は不許可だ。復唱!!」
『はっ、はい、レム(様、さん)!!!!』
「ん~、まだちょっと硬いがこれは仕方ないか。んじゃ、開催じゃぁー!!!!」
『おー!!!!!!!!』
一応、企画っぽいネタはないかと募集中。…?