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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさん vs ご主人様
609/1098

40. どれいと皇子様

~これまでのあらすじ~

森で魔狼に囲まれてピンチだったらアルーシアと再会しました。アルカッタとカトゥメの戦争とか、ミドガルドがリリシィ共和国で暴れまわっているとか、その辺りどうでもいいです。



アルーシア・・・愛称、アル。口のきけない、奴隷の女の子。レムのことを実はどう思っているかは、謎のままということにしておく。

シンカ・・・リリシィ共和国の預言者たる巫女様、のはずだけっど只今レム君に誘拐(?)中。



「……?」



「まあ……なにはともあれ、久しぶりだな、アル」



「そ、その子は知り合いですか?」



「……」



「ああ。俺の愛の虜のアルーシアさんだ」



「あ、愛の虜? そそそんなふしだらな関係はいけません!!」



「……」



「ふしだら? んん~、神聖なる巫女サマは何を想像しちゃっているのかなー?」



「とっ、とにかくそんな関係はイケナイんですっ!!」



「……」



「まあ、シンカを弄るのはこのくらいにして」



「弄られてたの!?」



「……」



「とりあえず現状を見つめなおそうか」



「現状? ……そそ、そうでした、魔狼たちは……怯えている?」



「……」



「ふっ、今更ながらに俺の凄さに気づいて怖気づいたか」



「いえ、それはないと思います」



「……」



「即答!? アルも何かうなずいているような気がしたけど、きっ、気のせいだよな……?」



「あなたの凄さ(?)に怯えるくらいなら初めから怯えていますっ! それに魔狼たちが怯えだしたのは……この子が現れてから?」



「……」



「いや、まあ、確かにそうなんだけどさ。でもそもそもアルに怯える理由がわからん」



「実はすごく強い……とか?」



「……」



「そう見えるのか? もしくは内面渦巻く魔力の凄さを感じ取れるとかでもいいぞ?」



「いえ、全然。強そうにも見えませんし、魔力もそれほど……」



「……」



「アル、酷い言われようだな。このお姉さんはひどいよなー?」



「なっ!? わわ私は別にっ、そういうつもりで言ったわけでは……!!」



「……」



「まあ、理由はどうあれ魔狼たちが怯えてるって言うのならそれはそれで好都合だし。とりあえずシンカとの夫婦漫才はこの状況を切り抜けてからにするか」



「めめめめめめめめめめめめ夫婦ぉぉぉぉおぉぉぉぉ!?!?!?!?」



「……」



「いや、普通に慌てすぎだろ」



「だって、だって、だってぇぇぇ!!」



「……」



「む? とにかく、こんな心臓に悪い状況はさっさと逃げるに限る」



「私、でもやっぱり変態さんはイヤですっ!」



「……」



「何をわけのわからんことを。それよりほらっ、あいつらが怯えてる今がチャンスなんだから。行くぞ、二人ともっ」



「ふぇゃぁ!? てて、手を、手を握……」



「……」



「ええいっ、パニックになるのはいいから、今はとにかく足を動かせ、足を!」



「足!? 足を動か……そ、そんな急に足だなんて……」



「……」



「何を意味不明な……もう面倒だっ、シンカ、それにアルもっ。チョイ失礼っ、と」



「ふぁぁぁあ!?」



「……」



「この際荷物みたいな持ち方は勘弁な。んじゃ――一気に突っ切る。俺の逃げ足を舐めるなよっ!!」





◇◇◇





「……ふぅ。一難去ってまた一難ってのはこのことなのかな?」



「……」



「ああ、アル。シンカの奴はなんか顔真っ赤にして気絶しちまっただけだから気にしないでやれ。きっと一度に色々なことが起きて疲れてただけだと思うから」



「……」



「とりあえず言いたい事があるとすれば、運命の神様ってもしかしなくても俺のことが嫌いですか?」



「……」



「いや、神様に好かれてる……一部を除いてだが、好かれてないってのは分かってるし、そもそも神様ごときに好かれるなんてこと自体が御免こうむるわけだが……」



「……」



「それでもこれはないんじゃないかなー、とかと時々思っちゃったりするわけだ、うん」



「……」



「今の状況みたいな感じのときとかさっ」



「……」



「毎度のことながら俺ってどうして皆さんから槍を突き付けられていますか?」



「……」



「俺、何か悪い事でもしたのかな、アル?」



「……」



「いや、そりゃ悪い事はそれなりにしてきたっていう自覚は無きにしも非ずなわけだが、復讐とか逆切れとか逆恨みとか……それでもこの人たちに迷惑をかけたってわけじゃないと思うんだ、うん」



「……」



「――で、俺たちは何故こんな状況に置かれているのでしょうか?」



「……」



「お前たちの服装からして多分だけど、カトゥメ軍隊さんたちだよな? なあ、俺たちはどうして捕まえちゃったりされているわけ?」



「……」





「何を白々しいかっ。こんな者ども、即刻たたき切ってやればよろしいものを……!」


「そう言うな。クィック皇子が単身で吶喊してきた馬鹿どもを見たいと仰せなのだから」


「だがしかしっ、それでクィック様にもしものことがあれば……!」


「なに、そうさせぬために我らがいる」





「あのさー、色々と話しているところ悪いんだけど、俺たち、この先どうなっちゃう予定なわけ?」



「……」





「もうじきわかる。お前たちの沙汰はクィック様が決定なされることだ」





「クィックって……確かカトゥメ聖国の皇子様で――」



「……」





「そう、次期聖王――そしてこの世界を統べる王だ」


『ク、クィック様!?』


「それで、間抜けな奴らとはこいつらのことか?」


『はっ!』





「……ふーん、お前がクィックね」



「……」





『――』





「そうだ。だが中々にいい度胸をしているな。この場この状況で俺にそんな口を利くとは。それとも現状を理解できていないのか?」



「いいや? 十二分に理解しているさ」



「……」



「ほぅ。なら、お前のその態度は自信の表れということか。例えこのような状況下であろうとも、自分ならば生きて逃げられる、と」



「逃げる必要もないっちゃないけどな」



「……」



「……つまりお前はこの大軍を蹴散らせる、と?」



「いやいや、そりゃW.R.保持者くらいじゃなけりゃ無理だろ」



「……」



「その余裕ぶった態度が、お前が何かを隠していると勘ぐらせるんだがな」



「そりゃ光栄で。んじゃ、俺を評価してくれたことに敬意を表して一つだけ言っておこうか、クィック皇子――いや、イチ、って言った方がいいのか?」



「……」



「……なるほど。――お前たち、少し席をはずせ。このモノと話がしてみたくなった」





『で、ですがクィック様!?』


「俺の言葉が聞けないと?」


『い、いえそのような!!』


「では、さっさと退室しろ」


『はっ、では失礼いたしますっ!!』





「で、話し合いは済んだみたいだな」



「……」



「ああ、待たせたな。……そういえば、お前の名前をまだ聞いていなかったな。名はなんという?」



「俺はレムだ。こっちの方はアルーシアと……まぁいっか。この気絶してるのがシンカだ」



「……」



「レムか。……どこかで聞き覚えがある気がするな」



「多分気のせいだから気にするな」



「……」



「……まあ、今思い出せないということはそれほど重要ではない、か。今はいい。それよりも聞きたい事がある」



「俺が何の目的でここに来たか、とか?」



「……」



「そうだな。それも知りたい」



「つーてもなぁ。俺がここに来たのは全くの偶然で。そもそも誰が好き好んでこんな軍隊の中に単身で突っ込んでいくバカがいるか。……いや、まぁリリアンあたりなら笑って突っ込んでいきそうだけどさ」



「……」



「あくまで偶然と言い張るつもりか?」



「言い張るも何も、事実だし。まあ、本当にただの偶然だからこそ、別にお前とレアリア・ルーフェンスの関係がどうとか、あいつが今どうしてるかとかを色々と突っ込んで聞いたりすることはないぞ?」



「……」



「……偶然、か」



「ああ、偶然だ」



「……」



「――ふん、そういうことにしておいてやろう」



「そりゃ、ありがとさん。んで、俺はこの後どうなるんだ? まさか火炙りとかじゃないよな?」



「……」



「火炙り? なんでそう思うんだ?」



「いや、今までの経験から何となく。ちなみに極刑とか死刑とか、その他色々と言い渡された場合に俺は逃げるぞ?」



「……」



「くくっ、俺の目の前で逃げると言い切るか。やはりいい度胸をしているな、お前」



「そりゃどうも。結構な修羅場は切り抜けてきたって自覚はあるからな。この程度なら逃げ切れる自信はある」



「……」



「そうか。なら、一つゲームと行こうじゃないか」



「ゲーム?」



「……」



「そうだ。お前はこの状況から逃げ切れる自信があるんだろう?」



「ああ。楽勝……とまでは言わないが、あるぞ」



「……」



「ならば、逃げて見せろ」



「……、はぁ?」



「……」



「俺たちは逃げたお前を追う。当然、命の保証はしない」



「はぁ。つまり俺がここから脱走して、逃げ切れたら俺の勝ち、逃げ切れなかったら俺の負け、ってことか?」



「……」



「そうだ。物分かりがいい奴は嫌いじゃない。それと――お前のように腹に一物を抱え込んでいる奴もな」



「男に好かれても嬉しくないな」



「……」



「全くだ」



「んじゃ、俺の方からも提案が一つあるんだけどいいか?」



「……」



「一応聞いてやろう。何だ?」



「そのゲームに俺が勝ったら、アルカッタに攻め入ろうとしているの、止めないか?」



「……」



「……ほぅ」



「知ってるか? リリアンはもう救出されてアルカッタの方に戻ってるぞ? それを、W.R.保持者相手に立ち向かえる自信はあるのか?」



「……」



「なるほど。あの『姫神きしん』が戻ったか。何、だが手がないわけじゃない」



「ま、確かに。強いっつーか、リリアン相手なら攻略するのに手はいくらかあるな」



「……」



「だからそれが進行を止める理由にはならないな。……それよりも、お前は何故戦を止めようなどと言う?」



「戦が嫌いだから、って理由だけじゃ駄目か?」



「……」



「……ふんっ。お前が本当に何を企んでいるのか、ますます興味が出てきたな」



「だから野郎に興味を持たれても嬉しくないっての」



「……」



「そうだったな」



「それで、俺が勝ったら攻め入るのをやめるっていう条件の答えはどうなんだ? イエス、それともノーか?」



「……」



「――……いいだろう。もしそれで俺が負ければ、それはまだ時ではなかったということだからな。その条件、飲んでやろう」



「そりゃ助かる。……んで、そのゲームとやらはいつから始めるんだ? 今すぐか?」



「……」



「そうだな。お前がそれでいいというのなら、今から始めようか」



「分かった、今からだな。……で、この鎖とかを解いてくれる気はない?」



「……」



「その程度、自力で脱出することだ。それとも俺を失望させる気か?」



「いや、一応聞いてみただけだから。分かった、これは自分でどうにかするとして……アルとシンカの扱いは? 俺が一緒に担いで逃げればいいのか?」



「……」



「そうだな。その程度はしてもらわないと楽しくはないな」



「げー」



「……」



「それとも、やはり止めるか?」



「いや、分かった。ハンディと思って受け入れよう」



「……」



「ハンディか。そこまでの余裕がある、ということか。ふふっ、言うことだけは楽しいが、ゲームを始めて早々にリタイアは止めてほしいところだな」



「その期待には、結果で見せてやるよ。ただ吠え面だけはかかないように気をつけるんだな」



「……」



「……ふふ、良いだろう。それじゃあ、ゲームスタートと行こうか」



「ああ」



「……」



「では、お前が踊り狂う様を見させてもらうとしようか。――おい、お前たち!!」





『はっ、クィック様、如何されましたか!?』


「この男の四肢を落とせ、逃げられないよう――必要ならば殺してかまわん」


『ははっ!!』





「さて、精々楽しませてくれよ?」



「――ちっ、いきなりかよ。いいさっ、逃げ切ってやろうじゃねえかっ!!」


遅れた遅れた。寝過ごすのが増えてるなぁ、最近。




ということで次回、多分そのまま続かずに何か企画っぽい話の内容になると思います。

リクエストみたいなものがあれば、下さるとうれしいです。


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