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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさん vs ご主人様
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ACT NEXT→また逢おう、友よ!

なんとなく気晴らしで?

タイトルに深い意味とか、求めても無駄です。ないですから。


くすんだ銀髪の、メイド服の女が消え去って男は改めて周囲を見渡した。とは言っても辺りは目の前の石碑以外何もない――それこそ埃一つ転がっていない大部屋でしかないのだが。




「――さて、と。鬼が出るか、はたまた蛇が出るか」



『極上の美女が出るわ』




気付いた時、ソレはそこに出現してた。


綺麗な、銀髪の――それこそソレが発した言葉通り、極上の美女。純白のドレスをまとうその姿は彼女自身が光を放ってるのではないかと勘違いできてしまいそうなほどに神々しかった。


……それこそ何処かの“なんちゃって♪”女神の比ではないくらいには。




「……、お前は――」



『おめでとう、史上稀にみる愚者。もしくは稀代の天才?』



「……どちらかと言えば俺は愚者の方だな」



『そう。なら改めて――おめでとう、真なる愚者よ。ここが世界終端の地のひとつ、“ルーロンの玩具箱”よ』



「んな名前だったのかよ……て、それはいいとしてお前は、」



『私はとある極上の美女の残留思念だからあまり気にしないで頂戴。それと、だから私に惚れちゃ駄目よ?』



「惚れるかっ。つーことは、お前はやっぱり原初の白龍、」



『そう。私は始まりの龍、ルーロン・アーク・プリム、その思念体で正解♪ だって世界にこんな美女、二人といないでしょう?』



「確かに美人ではあるが……それを自分で言うか?」



『大丈夫。事実だから』



「……言い切りやがった。流石あいつらのご先祖様」



『――そういえば、あなたは面白い子を連れてたわね?』



「面白い子?」



『とぼける気? あのふりふりドレスのあなたの趣味全開のメイド服を着てた、ちょっとくすんだ銀髪のあの子のことよ』



「……あいつか。それとあの服装は断じて俺の趣味じゃないぞ?」



『う、そ♪』



「そんな愉快そうな笑顔で言われても同じだ。あれは俺の趣味じゃない。どちらかというと、あいつらの趣味だ」



『ならそういうことにしておいてあげる♪』



「……そーしとけ」



『ええ、そうするわ。でもこの部屋に入ってから見てたけど、実に興味深い、そして面白そう。あの子の存在もそうだし、何よりソレを従えているあなたの存在そのものにも凄く興味があるわ』



「俺に惚れるなよ?」



『何よ、さっきの仕返しのつもり?』



「そんなところだ」



『まあ安心なさい。惚れた腫れたなんて、もうずいぶん前にやりつくしちゃったから』



「やりつくしたって……そういうものじゃない気がするけどな」



『でも、あなたも似たようなものじゃないの? そういう目をしてるわよ?』



「……、さあ、どうだかな?」



『ま、私はあなたの過去になんてこだわりはないから言う気がないならそれでいいけど』



「……」



『ああ、それはそれとしてあなたには此処まで辿り着いたご褒美をあげないとね』



「ご褒美って、何かくれるのか?」



『ええ、せっかくこの迷宮をクリアしてくれたんだもの、というよりも良くクリアできたわね? 私の元になったルーロンが想像と創造と若気の至りの限りを尽くして創り上げた、三柱ですら把握しきれていないはずの迷宮だったのに。出てくるモンスターだって愉快珍快痛快な能力持たせたバケモノばかりで……あの子みたいな存在が傍にいたとしても本当に、よく生きてるわね、あなた?』



「……徹底的に逃げたからな。ついでにそんな危険なものを若気の至りとかで創って放置しておくなよ」



『その辺りは抜かりなしっ。“とらいあるもーど”? なんていうのがあって、一定以上のダメージで地上に強制送還っていう絶対死なないもーどがあって、“普通”の――この迷宮が認めたヒトじゃないとそっちにしか入れないから』



「どっちにしろ、なんつー傍迷惑な」



『でもそんなところに踏み込んでくるなんてあなたも大概暇人みたいね?』



「暇人っていうか……迷宮がそこにあったら制覇したくなるのはロマンだろう」



『そうね、その気持ちはよくわかるわ』



「だろう?」



『と、いうわけでご褒美たーいむ、なんだけど何かほしいものはある? ちなみに私の身体は懸賞外だからね?』



「興味ない、つーかお前は所詮思念体で実体ないだろうが、触れもしないだろうが」



『いや、ソコはお約束♪』



「……何の約束だ、何の」



『大概のものは用意してあげられる自信があるけど、ちょっとくらい世界にない無茶なものでも創りだすことは可能だけど、どうする?』



「別にほしいものなんてないぞ? 俺はそこに迷宮があった、だから制覇しただけだ」



『あー、良いな、その台詞。いいなー。……というよりも言ってみたかっただけ?』



「……少し」



『まあ、思えばあの子を侍らしてるわけだから欲しいモノがあったら私じゃなくてあの子に言えば済む話なのよね。……私の存在価値ゼロじゃない』



「そう落ち込むなよ」



『落ち込んではいないわ。元々が残念な残留思念体の私の価値なんてあってないようなものだし』



「そうなのか」



『ええ。ソレはソレとして……あなたへのご褒美はどうする?』



「別に要らないぞ?」



『そう。ならあげないことにするわ』



「……自棄にあっさり引き下がったな?」



『そりゃ当然よ。私も好き好んで消えたくもないわ』



「消える?」



『私はあくまで残留思念だから、役目が終わったらはいそこでお終いっ、というわけ。ちなみに私の役目っていうのはこの迷宮を最初に制覇した子にご褒美をあげることね?』



「ふーん、なら適当なものでも頼んで終わらせるか。たとえばそこな辺に転がってるような木の実をくれとか、その程度」



『ソレは駄目よ。こういうのは心からの願いじゃないと叶えてあげないのがお約束だから』



「だから、約束って誰との約束だよ?」



『それに、あなたの“心からの願い”っていうのはさすがの私でも叶えてあげられそうにないしね』



「……だろうな」



『そういうわけだから。ほら、用が済んだ輩は帰った帰ったっ』



「……お前は何処かの商人かよ」



『商人? 第二の人生としてそれも悪くないわね』



「って、すでに第二の人生とやらを歩む気満々かよっ!?」



『え? だってあなたのお願いを叶えられないのなら私は消える機会がないわけじゃない? と、いうことはもう私ってば不老不死確定?』



「いやっ! ……そうだよ、俺じゃなくって、俺と一緒に来たあいつの願いとかを叶えればいいんじゃないのか!?」



『あの子も無理。あの子の“心からの願い”はあなたと一緒か、それとももう叶っちゃってるから。流石にソレは私でも叶えるのは無理』



「実は役立たずか、お前?」



『失礼なっ! 台所に立てば摘み食いはよせと怒られて、訓練場に行けばものは壊すなと懇願され、会議に出れば寝るな食うな真面目に話を聞けと怒鳴られたりしてたルーロンの残留思念体である私を舐めるなよ!』



「……本当に残留、つか残念思念体っぽいな。ってか、伝説とやらに語られる原初の白龍とやらのイメージがずいぶんと変わっちまったわけだが?」



『伝説なんてそんなものでしょ?』



「……そういうセリフを伝説そのものから言われると感慨深いなぁ」



『という訳だから行った行ったっ。私はこれから地上見物に出かけるんだから♪』



「頼むから問題ごとだけは起こしてくれるなよ?」



『大丈夫。私の元になったルーロンはこれでも賢王だったから♪』



「賢王と人格の良さとは、微妙に違う問題だと俺思うんだ」



『きにしない、きにしないー。そして特別にあなたは“なぞのじゅもん”を唱えなくても私が返してあげる♪』



「――て、おい待て。話はまだ済んでないだろ」



『――また逢おう、友よっ!』



「って、いつの間に俺とおまえは友になったぁぁぁぁぁぁ!!!???」





◇◇◇





「お帰りなさいませ、旦那様」



「……、おう、今帰った」



「私が帰還してから、しばらく間がありましたがいかがされたのですか?」



「いや、ちょっとあの部屋を調べててな」



「では何か興味深いものでも見つかりましたか?」



「……いや。役に立たないもの以外は何もなかったな」



「役に立たない? 私の記憶では実にきれいな大部屋で、役に立つ立たないどころか石碑以外は何一つとしてなかったと記憶しておりますが?」



「ま、深くは気にするな。俺も気にしないことにしたから」



「よくはわかりませんが、旦那様がそう仰られるのであれば」



「そうしとけ」



「はい、了解いたしました、旦那様」





「……厄介事、また降りかかってこなけりゃいいんだけどな。はあぁぁぁぁぁぁぁぁ」



……ふみゅ

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