ど-395. 何でもない事
…………うぅ
「……ふぅ」
「恋煩いに御座いますか、旦那様?」
「違う。つか、何でため息一つで恋煩い?」
「女の勘が働きました」
「……ぷっ」
「泣いてもよろしいでしょうか、旦那様?」
「いや悪い、悪かった。で、でもさ、お前が女の勘とかそう言うの……あり得ないだろ」
「それは……誰が見ても私は女性のはずなのですが、旦那様には男性に見えてしまうと言う事でしょうか。旦那様ならばそれも致し方御座いませんが……よく確認してくださいませ、今から私が女性であるという証拠をお見せ致しますので」
「いや待てって、服を脱ごうとするな、脱ぐな」
「そう言いつつも、言葉だけで止めに入ろうとしないのは、旦那様はやはり旦那様に御座いますね?」
「……まあ、お前が脱ぐって言うのなら必要以上に止める事はしないって言うか、一応俺は止めましたけど、でもね? って言うか、お前の身体っていつ見ても綺麗だよな――」
「ありがとうございます、旦那様」
「って、だからそうじゃなくてだな!」
「私の身体は綺麗ではないのですか。ちゃんと日々……特に旦那様にお会いする直前に念入りに汚れを落としているのですが」
「いや、そう言う意味でもないしっ! つか、お前そんな事してたのか」
「はい。旦那様に見てもらうのです、一通り身嗜みを整えるのはして当然というものです」
「そう言うモノか?」
「そう言うモノなのです、旦那様」
「……ふーん」
「所で旦那様、何かお悩み事でも?」
「あ? あぁ、さっきのため息の事か。いや、別に大した事じゃないんだけどな、実は」
「そうですか。ならばよろしいのです」
「……って、おい。お前、今は俺がお前に話を打ち明けるところだろうが。俺の言葉を断ち切るな」
「旦那様が大した事ではないと仰られましたので私が知る必要もない些細なことであると判断したのですが……旦那様は仰りたかったので?」
「ゃ、改めて『言いたいのか?』なんて聞かれると微妙ではあるんだけどな」
「では、仕方のない残念感漂う旦那様にお尋ねいたしましょう。如何なされたのですか?」
「ああ、――……実は、だな」
「おや?」
「? どうかしたのか?」
「はい。……いえ、少々、処理部の方で問題が発生した様子で……これは彼女たちの手のは少々余りますか。――旦那様?」
「ああ、良いぞ。行って来い。俺の愚痴の方は……まあもういいや。元々大したことでもなし」
「そうですか。では失礼いたします、旦那様」
「ああ」
「……旦那様の愚痴の方は、また後ほど」
「そりゃもう良いっての。大体さっきのだって、『もうすぐ昼かぁ、ファイの手料理、何とかならねえかな』程度だったしなぁ」
最近、流石に書くことがなくなってきた気がします。代替ふと思いついた事は既に一度使ってるような感じのものばかりで、どうしようかと考える今日この頃だったりします。
にっき・十七日目
【ふと思う。
へたれって
俺のどのあたりがへたれなんだろう、と思う。俺は容姿はそこそこ、金はあるし権力はある、度胸もあれば根性だって持ってると自負しているつもりだ。へたれ、なんて言われる要素はないはずなんだ。
あいつの所為か、何て言ったら、ヒトのせいにするその性根がへたれです、なんて言われそうだなー】