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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさん vs ご主人様
598/1098

ど-392. えさ?

そんな一幕もあるさ、な日常風景。


「ふふふ、ふははははっ」



「……」



「さあお前たち、存分に貪り喰らうがいいっ」



「……」



「遠慮はいらない。その雫、一滴に至るまで思う存分――うん?」



「……」



「さっきから黙って、どうしたんだ?」



「いえ、大した事ではないのですが、こうして傍から旦那様のお言葉を聞いているとまるで三下の悪党の様であるな、と今更ながらに思いまして」



「? 何言ってるんだ、お前」



「それは此方の台詞に御座います、旦那様。少々テンションがおかしいようですが、これはいつも通りの旦那様であると判断してもよろしいのですか?」



「俺はいたって普通、いつも通りの俺だぞ?」



「そうなのですか?」



「いや、何を以てお前にそう判断させているのかは知らないが、別段変った事なんてないだろ」



「では旦那様はいつも“そう”なのですね」



「そう……ってどういう意味だ?」



「つまり――普段から旦那様は花壇に水をやる際にあのような事を仰っておられるのですね?」



「んー、まあそうだな。今日はいつもとちょっと趣旨変えてみようかな、っては思ったけど、それでも何かしらの声はかけてるぞ? やっぱり愛情は大切だからな。花たちに語りかけながら世話をする、これ常識」



「例えばどのような?」



「『ふははは、愚民共、褒美だ受け取れ』とか『ジョゼフィーヌ、今日も綺麗だよ?』とか『べ、別にあんたの為に水あげてるわけじゃないんだからねっ』みたいな感じか? まあその時々によって思った感じを言ってるから、深い意味はないけど」



「……」



「どうした?」



「いえ、やはり旦那様は旦那様である、と再度理解しただけに御座います」



「どういう意味だ、そりゃ」



「私には到底及ばぬモノを持っておられる、という事です」



「なんだ、珍しい。褒めてくれてるのか?」



「貶しております」



「……」



「所で旦那様、私も水やりをお手伝いさせて頂いて宜しいですか?」



「あ、ああ。別に構わないが……水のやり過ぎとかには注意しろよ? 少なすぎても駄目だし、やり過ぎても駄目なんだからな」



「一通りの知識は心得ておりますので、どうかご心配なさらぬ様」



「……信じるからな?」



「旦那様のご信頼、決して無下には致しません」



「ならいいぞ、手伝ってくれ。お前は……そうだな、あっちの方の水やりを頼む」



「心得ました」



「んじゃ、俺の方も再開再開っと。悪かったなー、途中で中断しちゃって。はーい、お水だぞー。ちゃんと元気に育ってくれよなー」



「旦那様の仰る事を真に受けて育っては決してなりませんよ? 旦那様などの言う事は決して、何一つとして真実に、ちゃんと真っ直ぐと育って下さいませ、皆様方」



「――って、お前は何を言いながら水やってるかっ!?」



「至極真っ当の事ですが、それが何か?」



「ええいっ、世の中すべての奴らだけじゃ飽き足らず、俺の愛しの花たちにまで偏見と誤解を植え付ける気かっ!?」



「そのような事をした覚えは御座いません。ただ九割ほど、“まだ”旦那様が身に覚えのない事を話に付け加えているに過ぎません。あくまで“まだ”」



「それが誤解と偏見を生むって分かってるだろうっ!! 少しは控えようっ!?」



「さあ、貴方達。旦那様が正体を現しましたよ? どうか良く、覚えておいてくださいませ」



「はっ、しま――……くっ、このままじゃ奴の思うが侭なのかっ!?」



「さっ、次はあちらの方へ――」



「くそっ、お前の思い通りにはいかせてなるものかっ!! お前たち、その女は性悪で口が悪い、俺に対する悪質な冗談が大好きな奴だから、信じちゃダメなんだからなっ!」



「性悪で口が悪いとは酷いです、旦那様。……あ、それと既にそちらへの水やりは終えました」



「あ、相変わらず仕事の早い」



「それ程でも御座います」



「……お、俺は、お前たちの事を信じているからな」



「…………まあ、花たちに語りかけるのも程々にしておいてくださいませ、旦那様。時折見に来られるフェルトマ様などに悪影響を及ぼしかねません」


朝の霧と朝日って言う光景は綺麗で素敵です、とふと思った。

やれやれ、です。




にっき・十四日目

【やっぱり俺は俺らしく、周りを気にして取り繕ったみたいな行動をしていても駄目なんだと気づいた。だから今日は俺らしく行動してみる事にした。

朝、あいつに起こされるという魔手から逃げ伸びて花壇の花たちに水をやりながら、フェルトまたちとちょっと談笑して、そのあとファイが作った料理を死にそうになりながら平らげた。

昼までは魔道部とか被服部とか、そのあたりに顔を出しながらあいつが押し付けてくる仕事を並行してこなして、ファイが作った昼食を半分魂が抜けかけながらたいらげた。

それから護衛部で一緒にちょっと汗を流してから、昼のおやつって事で初めてまともなモノを、シャルアが作ってたクッキーを摘み食いして、逃げた。ちょっと怒鳴られたけどまあ大丈夫だろう。

あとは気が付くとあいつに地下の迷宮に落とされてて、半死半生でようやく戻ってこれたところで駄目出しのファイの手料理。また危うく死にかけるところだった。



うん、今日も変わり映えのしない、平和な一日(?)だったとしておこう。】


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