ど-375. ツッコめ
命令形。
「なんでやねんっ」
「……」
「なんでやねんっ!!」
「……」
「なんでー……やねんっ!!」
「……あの、さ」
「はい、如何されました、旦那様?」
「お前、何やってるの?」
「遠く東の地に伝わるという伝説のツッコミとやらを少々、練習させて頂いております。……今のは少々角度が甘かったでしょうか?」
「いや知らねえけど。つーか、それがツッコミ?」
「はい。……なんでやねんっ!」
「その、びゅんびゅんと風の唸り声が聞こえるみたいな素振りが?」
「はい」
「俺はてっきり、手刀の練習か何かだと思ったぞ」
「違います。あくまでツッコミの練習ですよ、旦那様」
「そんなモノ喰らったら確実に昇天出来ると思うのは俺だけか?」
「なんでやねんっ……、今のは踏み込みが少し足りませんか?」
「いや、だから俺に聞かれても困るけど。と、言うより。単純に考えてお前がツッコミを入れる相手っていたら……俺しかいなくね?」
「私が突っ込むのは旦那様のみ。そして旦那様が突っ込まれるのも私のみ……えぇ、そうですね?」
「お前、何頬赤らめてるの? つか、今何を考えた?」
「いえ、取り立てては何も」
「……へー」
「なんでやねんっ!」
「うお!?」
「……旦那様、避けては駄目ではないですか。ツッコミはちゃんと当たっていただかないと」
「唐突に何しやがるかっ、あんなチョップ喰らったら俺が死ぬわっボケ!!」
「高々ツッコミの一つで死ぬなどとは、少将大げさな物言いでは御座いませんか?」
「……なら試しに、そこの壁に今やったチョップならぬツッコミとやらをしてみろよ」
「はい。……なんでやねんっ」
「……」
「おや、壁が……?」
「――で、何か言う事は?」
「旦那様のお部屋の壁は少々、草臥れてしまっていたようですね。ただちに修理をさせますので、少々お待ちを」
「って、おぉい待て!!」
「……はい、何か?」
「それ以外に何か言うことはないのか!? と言うよりも自分がやった事に対する何かの弁明は!?」
「旦那様と草臥れた壁、どちらの耐久力が上か悩みどころです」
「悩むなっ!! そして明らかに壁の方が耐久力は上! 全然草臥れてもなかったからなっ!!」
「旦那様、必至ですね?」
「当り前だ! それとお前はそのツッコミ禁止! いいな、分かったか!?」
「……旦那様がそう仰られるのでしたら、そのように」
「ああ、絶対だぞ!?」
「はい、旦那様。しかし成程、これで納得もできようというものです」
「……何が?」
「このツッコミが伝説であった理由です。恐らくは今の私の様に、途絶えていってしまったのでしょう」
「いや、それはないから」
「では、修理のモノを呼んで参ります」
「ああ、頼む。……ふぅ、いい眺めだなぁ、おい」
最近起きるのが辛い……ので更新がおくれぎみだったり。疲れているのか、寒いからか。どっちでしょーね?
あの娘に聞く!~あなたにとってのレム君は?~
-二十三人目【キリルの場合】-
「御主人様ですか? 普通に好きで、普通に愛してはいるけどそれが何か? “普通”の意味? ……ふふ、それはナイショ」
補足:『キリル』料理部副部長。ツィートル(イカに似た生き物)に目がない娘っ子らしい。登場話、ど-353。