ど-368. 寝過ごした
お寝坊です
「――む?」
「お早う御座います、旦那様」
「ああ、お早う……つーっても、そんな時間じゃないけどな」
「そうですね。では改めまして、遅よう御座います、旦那様」
「ああ、遅よう……ってのが正しいかどうかは分からんが、確かにそんな時間帯だな」
「昼間際まで惰眠を貪るとは何と言う旦那様でしょうか」
「いや、まあその通りではあるから反論はできないんだが、どうしてだ?」
「どうして、とは?」
「いつもなら、俺が朝起きてこないときはお前が強制的に起こしに来るだろう。それがなかったのはどうしてかなーと」
「私に起こされることを期待しているとは仕方のない旦那様です」
「いや、期待しているわけじゃないし、期待するならするでもう少し優しい起こし方をしてほしい訳で。俺としては単純に俺を起こさなかったのはなんでだろうな、って思っただけだ」
「取り立てて理由は御座いません」
「本当かぁ?」
「はい。旦那様に少々疲労の蓄積が見られたことと、何やら幸せそうな夢を見ておいでの様でしたのでその寝顔に思わず見惚れておりました、と言う些細な理由の他には取り立てて申し上げる様な事も御座いません」
「……そうか。何か裏がありそうな気がしたのだが」
「疑心暗鬼は宜しくないですよ、旦那様?」
「だよな。うん、俺はおまえの事をちょっと疑り過ぎてたような気がする」
「そうですか?」
「……そうやって聞き返されると、また不安になってくるのだが」
「旦那様は疑り深くて妄想と現実との境目が明確になっておられない方が旦那様らしいと思う所存に御座います」
「それじゃ俺は単なる危ない奴だ」
「そうですね」
「……え? 何、実は前って俺の事をそう言う危ない奴だって思ってたりしたのか?」
「いいえ。旦那様には“私の”と言う以外の装飾語をつけるなどと言うことがあるはずがないではありませんか」
「それはそれで何か微妙だなー」
「様々な意味合いにおいて常に微妙であってこその旦那様と言うモノです」
「俺微妙て……まあいいや。それよりもこんな時間に起きてしまったわけだが、ご飯とかは用意されてるのか?」
「はい、朝食と昼食を兼用されると言う事で、ファイ様も大変張り切っておられましたよ?」
「――……ファイが、一生懸命に作った料理?」
「はい。旦那様がお望みでしたら、すぐにでも持って参ります」
「いや待て」
「では旦那様も空腹と言う事ですので、少々お待ち下さいませ」
「俺は空腹とは一言も言ってないぞっ!?」
「……早く持って来なければ容器の方が持たないではありませんか」
「ちょっと待て!? 容器が持たないってそれは一体何だ、と言うよりも既にヒトの喰う料理じゃないだろう、いやそれを本当に俺食べなきゃダメですかっ!?」
るるる゛ー
あの娘に聞く!~あなたにとってのレム君は?~
-十六人目【スターカスの場合】-
「ご主人様は偉大な偉大な、お姉様の召使さんですっ!! ……ゃ、違いまひは。ご主人様は“偉大デ聡明デワタシガ大好キナ”ご主人様ですよ。――ホントウデスヨ?」
補足:『スターカス』もうすぐ誕生日……とかいう話題に上がったヒト。被服部。取り立てて言うようなことはない、平凡な子。登場話、ど-86。