ど-366. 拾った2
拾った食べモノは、食べないように気をつけましょう。
お腹を壊しちゃいますよ?
「お、おぉぉ、おおおおおおお」
「その様にのた打ち回っているかのような叫び声を上げて如何なさったのですか、旦那様?」
「いや、実はな……」
「可哀そうな旦那様」
「まだ何も言ってねぇだろうがっ!?」
「では旦那様の言い分を聞いてから改めて申し上げさせて頂く事にしましょう。それで、旦那様? 如何なされたのですか?」
「……俺が可哀そうなのは確定なのか」
「やはり私と言う何処からどう見ても完璧なモノが常にすぐ傍に居る旦那様となれば、幸せと不幸せが等しくなるように相応の酷い目に遭ってしまうのが必然かと」
「その酷い目の十割方がお前のせいですけどね。そして自分が傍に居るのが幸せとか断言してるお前は凄いと心底思うよ」
「罪作りな私にも困ったものです」
「何をふざけた事をヌかしてやがりますか」
「一片たりとも紛う事なき事実を申し上げていると、自負しております」
「事実、事実……ね。知ってるか、事実とか真実、それに正義の類ってのはヒトの数だけ存在するらしいぞ?」
「その様な事を聞き及んだ覚えも御座いますが、私と旦那様との間に事実は一つのみで十分であると心得ます」
「ああそうさっ――この世の事実なんざ、俺が主張する事実だけで十分だっ!!」
「そこまでは申し上げておりませんが。それに部分的には時々本当に腐っているのではないかと疑いたくなるような思考構造を構築している旦那様の頭の中にしか事実がない世界など実におぞましい限りでは御座いませんか。旦那様の頭の中ではあれですか、私は笑顔で『きゃっ、旦那様のえっち♪』などとでも申し上げているのですか。……いえ、旦那様が望まれると言うのであれば、それを行うのは吝かではない心持ちではありますが」
「……と、いう実に実のない主張のしあいは止めておいて、だ」
「はい、旦那様」
「ちなみにさっきのはちょい言い過ぎだが、少なくとも俺の事実は俺一人のものであれば十分だと、そう思っている」
「そうですか」
「ああ」
「ですが私の事実は、常に旦那様のモノで御座います」
「――ああ、そうかい」
「はい」
「で、だ。話をそれはもう最初に戻すが、」
「確か旦那様の夢はハーレムである、と言う妄想でしたか」
「一体いつの話だよ、それ!?」
「おや、違うので?」
「違……いはしない。そうだよ、俺の夢はハーレムだ、女の子が周りにいっぱいでうはうはのにゃんにゃんだよ、悪いかよっ!?」
「悪いです……と、私にそう言って欲しいですか?」
「いや御免なさい。俺が全部悪かったので、そんな冷めた目で俺を見ないで下さい」
「……私としては別段、旦那様が女性の方々を囲うこと自体に否と口を挟むつもりは一切御座いませんが、」
「の、割には結構口を挟んでいる気もするけどな。ついでに言うと絶対気にしてるだろ、お前」
「当然です。ですが旦那様、ただの一つだけ進言を――これだけは心に留め置いてくださいませ」
「あん? 俺はいつまでたってもお前の旦那様ですよー的な、いつものアレか?」
「いえ。それも確かに重要ではあるのですが、それよりも」
「それよりも? なんだよ」
「ちゃんと現実を見ましょうね、旦那様?」
「……」
「以上です」
「……――男には夢と妄想とロマンと言う空へ羽ばたく翼が必要なときがあるんだよぉぉぉ!!!!」
「そうですね。旦那様には現実の部分が圧倒的多数で足りておりませんが」
「……そんな事はない」
「さて、どうでしょうか」
「それはそれとして――……そうだよ、コレだ、コレっ、これを見てくれ!」
「……何でしょうか、そのアミュレットは」
「ああ、何でも夢が叶う、具体的に言うとこれをつけてる者は例え何をしようとも女の子から好意的な目で見られるようになるという、まさに夢のアイテム!!」
「例えば何を?」
「んー、転んだふりして胸タッチ?」
「転ぶような凹凸がないよう、徹底しておきましょう」
「それにお風呂を間違えて入ったり?」
「罠の数を十倍、殺傷力を五倍にしておきましょうか」
「……他にはちょっと俺の部屋に呼んで話し相手になって貰ったり、いつもは断られてる皆の作業を手伝って『初めての共同作業』的な事をしてみちゃったり――」
「今の旦那様は少々熱で浮かれていらっしゃるので素直に相手をせぬように、と御触れを出しておかねば」
「――さっきから何ですかお前はっ!? 俺の夢を徹底して壊してそんなに楽しいかっ!? あぁ、楽しいのかっ!!」
「いえ、旦那様が喜ばれている姿を見る事こそが私にとっては喜ばしいことであり、旦那様が落ち込まれているのは時と場合と私の信条の考慮した一定の場合を除いては好ましい事では御座いません」
「ならさっきからの発言は何だー!!」
「では旦那様、言わせて頂きますが、」
「だからなんだっ」
「それ、偽物でしょう?」
「……」
「旦那様ならば言わずとも判っているとは思いますが、一応念のため」
「――夢くらい見たっていいじゃないかよぉぉぉぉぉ」
「……悪くは、御座いませんがそれが果して夢の合間に見る夢なのか、ヒトの原動力たりえる方の夢なのか。――旦那様の夢はいったいどちらのものなのでしょうね」
……ふぅ
あの娘に聞く!~あなたにとってのレム君は?~
-十四人目【カラオーヌの場合】-
「ぱとろん……っていうんですか? えっちぃ事を強要してきて、見返りにお金をくれる方って。い~えっ、レム様は愉快な方ですけどヘタレたお方ですから、まだえっちぃ事を強要された事は一度もないですけどっ!!」
補足:『カラオーヌ』被服部。服作るの大好きな人。人形も良く作る。一度作り始めるとずっと作ってる人。きっと、B型だ。登場話、ど-82、ど-329とか。