キミが欲しいと宣(のた)もうた
以下、書かれている文章は本編とは一切関係御座いません。
登場人物の主張とかも、きっと似たような誰かのものです……多分。
全てがノリとその場の勢い、あとちょっと書くの飽きてきたな、と言う惰性で綴られております。
ご注意ください。
「男装の麗人とかって、欲しくね?」
「……ああ、そう言えばそのようなお方も居りましたね」
「え? いや、いないだろ?」
「私は聞き及んだことがあるのですが、旦那様は違うのですか?」
「……ちょっと待て。お前、何の事言ってる?」
「断層のレインではないのですか?」
「それは空間魔法が得意などっかの傭兵だ。そうじゃなくて、男装の麗人。男の恰好をした美人な女の子の事だよっ!」
「……旦那様にそのようなご趣味が」
「違ぇ」
「いえ、私は旦那様がどのような趣味であれ理解できるよう尽力を尽くす所存に御座いますれば、ご無理をなさらないで下さいませ」
「だから違うっての」
「旦那様、ご無理は身体に毒で御座いますよ?」
「だからっ、違うってば! 今のはこう…っ、何処からともなく迸るような俺のパッションが叫ばせるんだよっ!?」
「つまりは旦那様の性癖ですか」
「違う! ……はずだ」
「無駄な足掻きはお止し下さいませ?」
「黙れっ! 無駄じゃない……この行いは決して無駄じゃないはずなんだっ」
「所で旦那様、男装の麗人が欲しいと仰いましたがどのような事なのですか?」
「ああ、それはだな。そう言えば俺の周りって『男の娘っぽい恰好をしていて、実は女の子♪』ってな感じの奴が一人もいないなって思ってな。ここは何としても集めるべきだろう」
「何故どこに集める必要があるのかは問いませんが、確かに旦那様が仰るような奇抜な格好をしたお方はおりませんね」
「だろうっ♪」
「声を弾ませないで下さいませ。怖気がはしりますよ、旦那様?」
「……そう言うお前こそ今みたいなセリフを笑顔で言うのは止めて欲しいぞ」
「如何にして行動すれば正しく旦那様を貶せるかを十二分に理解しておりますので問題御座いません」
「今の台詞だけでも問題があると俺は見た!」
「一度生まれ変わっては如何ですか?」
「……ふん、いいよーだ。俺は一人で男装の麗人を探しに行くから」
「拘りますね?」
「男装の麗人! 実に甘美な響きじゃないかっ! お前にはこの響きの良さが分からないのか!?」
「全く以て申し訳無いとは思いませんが、何一つとして理解できません」
「駄目な奴めっ!」
「……そもそもの話、たとえどのような姿恰好をしていようとも女性であるならば、それは女性の恰好をした女性なのではないのですか?」
「判ってないっ。今の発言ではっきりとした、お前は全然分かってないっ。肝心なことが何一つ分かってない! 全然だめだ、ダメ過ぎだっ!!」
「今の旦那様に駄目出しされると腹が立ちますね♪」
「待て! 少し落ち着け落ち着こう。せめてその手の中に発生してる黒いもやもやは引っ込めよう! 少なくとも俺の方には向けるんじゃねぇ!?」
「……、冗談ですよ?」
「冗談じゃないっ、今のヤる気は絶対に冗談の域じゃなかった!」
「所で旦那様? 私思ったのですが、」
「な、何だよぅ……?」
「その様に怯えないで下さいませ。それと旦那様、男装の麗人と仰いましたがスィリィ様ではダメなのですか?」
「スィリィ? どうしてそこでスィリィの名前が出てくるんだ? ――って、まさかっ!?」
「何でしょうか?」
「まさか――胸がないからどんな格好をしてても男の子に見えちゃうのっ、……何と言う恐ろしい事を考えるんだ、お前は」
「いえ、そのような意図は一切御座いませんでしたが。……ですが旦那様はそのように認識しておられると言う事ですね?」
「いや、そんな事はないぞ? 胸だってお前ほど大きくはないけど十分に膨らんでるし、そもそも髪だって野郎みたいに短くないし。ちゃんと女の子女の子してるじゃないか。なあ?」
「旦那様、何故震えておられるのでしょうか?」
「いや、俺は別に震えてないぞ? ただな、そう言えば最近のスィリィさんってば次第に過激具合が増してきたかもなーなんてことを思ってな。そのうち俺を見かけるなり『殺すっ!』とか言いだして来そうで怖い」
「素敵な愛情表現ですね?」
「そんな愛情表現は嫌過ぎる。ついでに言うとお前の愛情表現の仕方も可能なら変えてくれ」
「大丈夫です。旦那様は悦んでおられます!」
「その根拠の一切ない自信はどこから来るんだろうなー?」
「……旦那様の目を見ていれば、分かります」
「よう、勘違いクィーン、一度自分を見直そうぜ?」
「……、はい、いつもながら完ぺきであると再確認させて頂きました」
「駄目だこいつ。……よし、今度こそ男装の麗人を探しに行くとしよう」
「そもそも旦那様? 男の恰好をされた女性など、居られるのですか?」
「居るに決まってるだろうがぁ!!!!」
「何故叫ばれるのかが一切理解できません」
「男装だぞ? 男装だぞ! 本当は可愛い女の子が男の子の恰好をして、『わー、キミ可愛いね?』とか『きゃっ、赤くなっちゃって、可愛い~』とかってお姉さま方に弄ばれるんだぞ!? 居て当然じゃないか、否、もしいなかったらそんな世界はクズだ、価値なしだ、今すぐ滅んでしまえっ!! 」
「年上の女性に弄ばれる女の子、と言う意味でしたらシャトゥも館の皆様方に良い様にして頂いておりましたが?」
「意味が違うっ! 全然違うだろうがっ、お前にはこの些細でいてそれでとてつもなく重大な違いが解からないとでもいう気かっ!?」
「私には旦那様の熱意の向けどころの方が分かりません」
「良いか? 一度だけしか言わないからちゃんと理解しろよ? いいな? 分かったか??」
「到底理解できるとは思えませんが……一応お聞きしておきましょう」
「きゃ~、とか言ってお姉さま方に弄ばれる実は美少女! ここ重要だからな? でも此処まではさっき話した通りだし、簡単だよな?」
「はぁ」
「ちなみにその隠れ美少女の事情はこうだ。彼女の実家は裕福な家だったんだけどな、両親は男の子が欲しかったんだ。でも生まれてきたのは女の子……そこでどうしたかは、当然分かるよな?」
「健全に育てて、終いではないのでしょうか」
「違うに決まってるだろうがぁ!! 諦めきれなかった両親はその子を男の子として育てるんだよっ! そうして自分が女の子だって言う自覚もなく成長していく実は女の子っ! ここがポイントの一つだ、ちゃんと押さえておけよ」
「嫌です。何となく受け付けません」
「で、だ! 周りの男の事は何かが違う自分、最近胸も膨らんで来ちゃったし……その子は肥ったと勘違いして布か何かで隠す訳だ、しかも必死になっ! これがもうっ」
「理解不能な事柄で見悶えないで下さいませ。寒くないのに寒気がします」
「そしてさっきの場面に入るって訳だ。ここまでは入門編て言うくらい簡単な事だから、当然理解はできたよなっ!」
「いえ、全く」
「えぇい、想像力の微塵もない奴めっ」
「それは想像力ではなく妄想力の間違いではないのですか?」
「どっちも同じ事だっ!」
「……そーなのですか」
「当り前だっ! んで、その子が困ってる時に、颯爽と俺の登場となる訳だ」
「あ、それなら理解できます。旦那様が困っている女性の所に実にタイミングよく颯爽と現れるのは良くある事ですから」
「ふっ、さすが俺だよな」
「ええ、はい。実は狙って隠れ潜んでいるのではと勘繰るほどに良くある事ですので」
「……ま、とにかくそういう感じで颯爽と現れた俺が困ったお姉さま方に対して素晴らしいほどの男気を見せる!」
「男気……旦那様には微塵の欠片もないものですね?」
「そして俺の男気に惚れこんでしまう訳だ、その子はっ!! そしてっ、ここだ、ここからが一番重要な所だから、ちゃんと聞いてろよ?」
「……はぁ」
「んで、その子が俺と二人っきりのときだけに、それも稀に見せる実は女の子? みたいな色気っ! これこそが男装の麗人の一番の魅力だと俺は考える訳だ!」
「……分かりました、旦那様」
「おぉ、お前もこの良さ具合が分かったか!?」
「はい、旦那様が一度人生をやり直した方が良いのかもしれないと言うほどに困った病気にかかっておられる、と言う事が重々理解できました」
「病気……病気か。ふっ、お前も上手いこと言うな。……そう、かもな。俺は一度死ななきゃ直らない病気――恋い焦がれると言う治しようのない病気にかかってしまったんだ」
「……生命の灯火が消えるほどの強いショックを頭部へ与えれば治るでしょうか?」
「と、言う訳で俺は旅に出るっ、止めてくれるなよ!!」
「――仕方ありません、ここは私が一肌脱ぎますか」
「ん? お前が一肌脱ぐ? ……何する気だ」
「旦那様がお望みとあらば、それこそ何にであろうと私が成って見せましょう。――例え男装の麗人だろうと、」
「あー、無理。お前には無理、無駄、だから止めろ」
「何故です? 私がその気になれば男装程度、訳は御座いませんが……?」
「そういう発言をする時点で何も分かってない証拠だが……それよりも重大な事がある。これは欠点と言い換えてもいい」
「? 欠点とは何でしょうか。一応後学の為にお聞かせ願いたいのですが?」
「ズバリ、お前が男装なんてしちまうとほぼ全ての女の子がお前の方に流れていってしまう事、間違いないからな。つまり俺が全然モテなくなる。意味ねぇよぅ、それじゃあ」
「? 現状と一切変わりない様にみえますが?」
「何処がだっ、全然違うだろうがっ」
「いえ、旦那様がおモテになっておられない、と言うただの一点を指して申し上げております」
「……よし、それじゃあまだ見ぬ女の子を探して旅にでも出るとするか」
「御供いたします、旦那様」
「来るなっ! お前は来るな、つか邪魔だ、絶対にお前は俺の障害になる事確定だから、ついてくんな、こんちくしょーめっ!」
「……行ってしまわれました。――と、そう言えば思い出したのですが、その昔は何故かリリアン様は男の子の格好をされていましたね? 父親の方針と言うことでしたが……さて、果していつから女性の召し物を好んで切られる“お姫様”になったのでしたか……」
……一応言って置きますが、私自身こんな趣味とかありませんよ? 本当ですよ?