ど-347. 寝言
ちょっといつもと趣旨が違――
「……」
「おい」
「……」
「? おーい」
「……すぅ、すぅ」
「……微かな寝息。寝てる、のか?」
「……ひゃんっ!? 旦那様、オイタはダメですよぅ〜♪」
「此処まで無防備にしてるって事は本当に寝てるっぽいが……一体どんな夢見てるんだ、こいつ」
「……んー、少しだけ、ですからね?」
「何が少しだけなんだよ、何が」
「……もうっ、判ってらっしゃる、く・せ・にっ」
「いや、分かってない。全然分かってないから。だから何の事だか教えてくれると助かるぞ?」
「……その、では、恥ずかしいですけど、旦那様がそう仰るのでしたら……」
「なんでどんな夢見てるか話すだけで恥ずかしがってる……いや、それはそれで十分恥ずかしいか」
「……そーですよぅ」
「何かさっきから会話が成立しているような……? 実は起きてるのか、お前?」
「……起きて、ますぅ〜♪」
「うん、寝てるな、絶対寝てる。コレでホントは起きてて演技してるとかだったら、俺は本気で世界の滅亡を信じるぞ」
「……すぅ、すぅ」
「でも、こいつも寝顔だけなら何だか見てるだけでも幸せな気分になってくるほど綺麗なんだけどな」
「……ぷぅ!」
「いや、別に起きてる時のお前が綺麗じゃないとか可愛くないとか性格が悪いとか言ってるわけじゃないんだ。……本当だぞ?」
「……本当……ですかー?」
「本当だって。俺を信じろ、な?」
「……旦那様が、そう仰られるのなら私は……うん、何でも信じ、ます……」
「そか。本当にもう、夢の中までんな事言ってやがんのか、お前は。……ありがとよ」
「……すぅ、すぅ」
「そう言えば今更だけど、どうしてこいつはこんな無防備に寝てるんだ? 何か疲れるようなことでもあったかな?」
「……んー、旦那様」
「ん? 何だ、どうかしたのか?」
「……お慕い、申し上げておりますぅ」
「ああ、知ってるよ」
「……旦那様のぉ、意地悪」
「なんでそうなる?」
「……すぅ、すぅ」
「って、寝言に何突っ込み入れてるかな、俺は」
「……そぅです、旦那様はおバカです」
「うるさいよ、寝てる時までそんな事を言うな」
「……はーい」
「まあ、いつまでもこうやって寝顔を盗み見してるのも悪いし、見なかった事にしておくか」
「……すぅ、すぅ」
「一応、こう言うときは風邪引かないようにとかって毛布掛けておいた方がいいのか? 正直こいつが風邪引くところ事態を想像できないんだが……ほいっ、と。風邪引くなよ?」
「……ありがとう、ございます、旦那様」
「いや、何々。……って、実は本当に起きてる……とかはいくらなんでもないよなぁ。いつものこいつなら吐かないようなセリフもぽんぽん吐いてるし」
「……すぅ、すぅ」
「んじゃ、早く目を覚ませよ? お前がいないと何か調子が狂うというか、ちょっと物足りないような変な感じになっちまうからな?」
「……すぅ、すぅ」
「んじゃ、俺はちょっと――」
「――」
「おい? 迷子の子供みたいに俺の袖掴んで、どうした?」
「…………」
「おーい? 聞こえてますかー? 迷子の、可愛い可愛いメイドさーん?」
「…………」
「なぁ、用事がないなら離してくれないか? って、寝てる奴に言っても無駄なんだけど――」
「……――私を、置いて行かないでください」
「――、……あぁ、判ってるって、そんな事」
「……旦那様ぁ」
「――ゆっくり休め。俺はここに居るから、な?」
「………………はい」
このあとも普段通り、普通に接する旦那様とメイドさんの二人。
こんな日常?風景です。
愚痴ノート選抜
『飽きた。
だから、このノートを少しだけ、書いた事が叶う、夢のノートにしてみようと思う。』