ど-346. いつも
少し、故意に短くしてみた。
「えいっ」
「痛……くはないけど、いきなりヒトの頭叩いて来て一体何のつもりだよ？」
「いえ、最近の旦那様は少々調子に乗り過ぎておりますので」
「俺が調子に乗る事とおまえが俺を殴ってくるのと一体どんな関係があるんだ？」
「有り体に言えば、私がムカつきます」
「……おい」
「はい、何でしょうか旦那様？」
「いや、な。お前ちょっと正直にモノを話し過ぎなんじゃないですか？ いやいくら俺がムカつくからってそこまで正直にモノ申されると俺としてはね、どう反応していいのか困るわけですよ？」
「はい、旦那様が困ります。だからどうしたというのですか？」
「わー、すっげぇ上から目線だよな、おまえ」
「いいえ、旦那様。旦那様は私の旦那様なのですから、私は常に旦那様の下よりモノを進言させて頂いております」
「ゃ、それは嘘だろ、いくらなんでも」
「ばれましたか」
「お前みたいな態度じゃ、普通にばれるから。そもそもお前も隠してないだろ」
「はい、隠す必要などどこにも御座いません」
「……俺としては、少しばかりは優しくオブラートに包み込んでほしいな、と思う訳なのですが」
「ほざくな、グズ」
「……、え？」
「と、少々オブラートに言葉を包んでみましたが如何でしょうか、旦那様？」
「い、今のがオブラート、ですか？」
「御不満でしたか？」
「不満と言うか、お前言葉の意味をちゃんと理解してるよな？」
「はい、しておりますが。一体何だというのです、旦那様？」
「……ゃ。うん、もう良いよ、やっぱり普段通りが一番だと思いなおす事にする」
「そうなのですか？」
「そう言う事にしておく。だからお前も普段通りにしてくれ」
「はい、旦那様がそう仰られるのでしたら……」
「――いやいや待て待て、だからって何でどうして手を振り上げて迫ってくる！？」
「いつも通り、旦那様を叩けば良いのではないのですか？」
「そんなっ、いつも俺がお前にド突かれてるみたいな言い方は止せ！？」
「何を今更」
「今更じゃないよ！？ ……あ、でも今思い返すと俺っていつもお前に暴力振るわれている気がする。言葉の暴力も含めて」
「でしたら何も問題は御座いませんね？」
「それもそっか」
「では旦那様、失礼しまして――」
「って、やっぱり色々と問題あるだろうがー！！！！」
と、言う訳でいつも通りの二人の風景？
メイドさん追いかける、旦那様逃げる
……うん、間違ってるね、この構図。
愚痴ノート選抜
『また、あのヒトが地上に往った。当分戻ってこないと思うと寂しいし、戻って来た時にはまた女の子をたくさん連れているのだと思うと、なんだか胸がもやもやする。
酷い目に会えばいいのに。
いっそ、ひどい目に会えばいいのに。
裏から手を回そう。』
