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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさん vs ご主人様
530/1098

34. どれいと海原

〜これまでのあらすじ〜

リリアン姫も無事救出して、アルカッタとカトゥメで行われている戦争を止めようと、レム君一向が勇ましく出発した!

果して陰謀渦巻く? 戦争の開戦を止める事は出来るのか!?

……と、言う感じの内容だったと思う。



アルーシア・・・喋る事の出来ない、奴隷のお女の子。最近、漸くちょっとぷっくらとしてきた。順調に身体は元気になってきている様子。

レアリア・・・何となくの流れでレムの奴隷にされてしまった女の子。ツンデレで、ツンの成分が140%程で、デレの成分は-20%くらいかな?

ネルファ・・・カトゥメ聖国の第一皇女。何故かレム君一向について来ている、というよりもレムに拉致られ中。



「……ふっ」



「?」



「――此処は何処だー!!!」



「…………」



「見渡す限り、周りは海! ……って、何で俺は海原になんて出てきたんだよ、なんて、考えるまでもない事か」



「…………」



「ほい、アルはちょっとここいらで甘いものでも補給しとこうなー?」



「…………(ばく)」



「うん、慌てなくても大丈夫だからな。ちょっと見えないけど……俺の指まで食べちゃ駄目だぞ? いや、そんなアルがちょっとだけ可愛いな、なんて思ったりしてるわけだけどなっ! ふふっ」



「…………(ころころ、ころころ)」



「……うん、分かっちゃいたけど、アルの無反応が心に寒い」



「…………(ころころ、ころころ)」



「で、だ。……どうしようか、二人とも?」





「どうしようも何も、全部あんたのせいでしょうか、この大バカレム!」



「そうですわ、この下男の分際でっ!!」



「…………(ころころ、ころころ)」



「そもそもあんたがあんな変な提案しなけりゃよかったのよ!?」



「何が、『お、そう言えば転移石で向かえば一発だよな』……ですかっ、あんな怪しいモノにこの私を巻き込んでっ、このっ、このっ!!!」



「…………(ころころ、ころころ)」



「危うく海の藻屑になり掛けてたのを……親切なヒト達に拾ってもらえなかったら本当にあんた、どうするつもりだったのよっ!?」



「このっ、このっ、このっ! えぇい、憎らしいですわっ!!」





「いて、……ゃ、痛いって」





「女の細腕で殴られる程度で済んでるんだから、むしろ幸せに思ってなさいよ」



「…………(ころころ、ころころ)」



「……この場にこの下男を刺せるモノがないのが心底口惜しいですわ」



「もう、こんなのが私の御主人様とか、――最低。人生の汚点だわ」



「…………(ころころ、ころころ)」



「――どこかに短剣でもないかしら? そうね、ちょっと野蛮だけれど、この際木片でもいい気がしてきましたわ」



「ネルファ様、ネルファ様が手を下だす間でもありません。こんなバカ、海に放りだしちゃえばいいんです。……うん? 自分で言っておいて何だけど良い案を思いついたわね、私」



「…………(ころころ、ころころ)」



「それはいい提案ね、レアリア! 今すぐこの下男を海に突き落としましょう! こんな無礼で下品極まりない、リリアンお姉様を視線で穢すような輩、生きている価値もないですものね!」



「ええ、そうですね、ネルファ様! ……アルだってそう思うわよね?」



「…………(こくん)」





「うん、もうね、……――マジ済みません、俺が全部悪かったですっ!!」





「そんな当然の事を言われてもね」



「そうですわ。謝った程度でお前の汚らわしい存在が浄化されるとでも本気で思ってるのかしら、この下男は」



「…………(ふるふる)」



「そうよね、アルだってそう思ってるわよね?」



「貴女も、このような下男の傍にいるのは一瞬でも苦痛でしょう? 皇女たるこの私が護って差し上げてもよろしくてよ?」



「…………?」





「そこっ! アルを洗脳するのは止めてっ!?」





「洗脳じゃないわ。正常な判断ができるように、矯正してるだけよ」



「その通りですわ。いい加減、下男は黙ってなさい?」









「……、ふー。で、だ。お前たち、ギャグもこのくらいにして、そろそろ現状の解決案でも練ろうぜ?」



「「どの口がそれを言うのよ!!」」



「…………(ころころ、ころころ)」





「テメェら、さっきからガタガタうるせえぞ! 海ん底に沈められてぇのかっ!!」





「「「済みません!」」」



現在、親切な“海賊さん”達に助けれられて船の上にいる四人だった。





◆◆◆





「――おっと、そういやぁ、御頭が女を一人連れて来いって言ったんだよ。おい、そこのお前」



「……」



「おい、テメェの事だよ、そこの貴族っぽい雌犬」



「わた、私の事ですの!?」



「テメェ以外に誰がいるってんだ。つべこべ言わずに来やがれ」



「ゃ、ちょ――無礼者っ、この私に気安く――」





「ネルファ様!!」





「おらっ! 無駄な抵抗せずにさっさと来いっての、この女っ!!」



「きゃっ!?」





「――あんた、ネルファ様に乱暴な事してみなさい。ただじゃ済まさない……」



「うん、レアリア。縛られてると全然説得力無いぞ、それ」



「煩いっ、私以上に縛られてるあんたが言うんじゃないわよっ!!」





「……ふんっ、テメェらは大人しく待ってな。あとでゆっくり――いや、野郎は精々労働力として飼ってやるだけか。他の二人は――……くくっ、まあ楽しみに待ってな」





「「――」」





◆◆◆





「…………(ころころ、ころころ)」



「あ、んの――男、ネルファ様に傷一つつけてみなさい。粉々に刻み殺してやるっ」



「レアリア、怖いコトいうなー。でもそれは無理だから」



「…………(こくん)」



「はぁ? ふざけないでよ。あんたに許しを請う必要なん、て……――っ!!」



「うん。あのクズ、俺の可愛いアルに色目使いやがって。アルに色目使っていいのは俺だけだって言うのに……」



「……(ふるふる、ふるふる)」



「――ちょっと半殺しにしてくる」



「って、あんたいつの間に縄を……」



「…………?」



「あぁ? あんな児戯みたいなモン、そもそも拘束した内にも入らねぇよ」



「いや。もう拘束とかそういう話じゃなくて、全身ぐるぐる巻きの簀巻きにされてたはずでしょ、あんた?」



「…………(じー)」



「甘いな。例え世界最高峰の、魔術も入り混ぜた拘束であろうとも一瞬あれば抜け出す事が出来る俺の特技を甘く見るなよ?」



「特技て……あんた、それ」



「…………(じー)」



「つーわけで、ちょっくら半殺しに行ってくる。すぐ終わるから待っててくれ」



「ちょ、レム一人で一体何ができるって言うのよ!?」



「…………(じー)」



「――むしろ俺一人で何ができないのかを言って欲しいくらいだな、レアリア・ルーフェンス?」



「――ぅ」



「…………(じー)」



「じゃ、ちょっくら行ってくるから、その間アルの事を頼むな、レアリア」



「ぁ……ぅ……」



「…………(じー)」



「んじゃ」




◆◆◆


◆◆◆




「…………」



「……と、言う訳で改めて、現状を整理してみようか。俺達、カトゥメに向かうはずだったのにどうしてこんな事になってるんだろうな?」



「だから、レムが『転移石』なる怪しげなマジックアイテムを使ったせいでしょう?」



「…………」



「ゃ、あれは別に怪しげでもなんでもなくって、実は由緒正しき……ただちょっと、仕掛けが施されてたのをうっかり忘れててだな」



「アルカッタに行った時も痛い目見たくせに……あんたには学習能力ってモノがないの?」



「…………」



「だってさ〜、アルがちょっと疲れてるみたいだったから、少しでも助けになればなー、とか思ったんだよ。思っちゃったんだから仕方ないだろう!?」



「……もう良いわ。この馬鹿は放っておいて、現状を整理し直しましょう」



「…………」



「ズバリ現状はこうだ。転移石を使ったら海の上、んで溺れかけた俺たちを助けてくれたのが強面の海賊さんたちで……まぁ、見事に捕まってる最中だった、と」



「自分の立場分かってるなら黙ってなさい、このクズ」



「…………」



「あの、レアリア? 仮にも自分のご主人さまに向かってクズとかはないんじゃないのか?」



「クズじゃなかったら愚図よ。そもそも今の原因の全部があんたのせいでしょうが」



「…………」



「……うん、そうっすね、全部俺が悪いんです、済みません」



「その通りよ。言い訳の必要もないくらい、全部あんたの所為よ」



「…………(こく、こく)」



「でもさ、その海賊さんたちも俺がちゃんと責任持って片付けてきたんだから別にいいだろー?」



「いや、あんたは何もしてないでしょ。何かタイミングよくやってきた大波のお陰なだけであって。私達だってあと一歩間違えてたら危なかったんだからね?」



「…………(こく、こく)」



「そこはほら、アレだ。……むしろその幸運を引き起こした俺を褒め称えてくれてもいいぞ?」



「誰が褒めるか、この元凶。身を弁えなさいよ?」



「…………(こく、こく)」



「御免なさい、ちょっと頭に乗ってみました」



「分かればいいのよ。……まあ、凄い偶然があって助かったのはいいことだと思うわ。もう本当に奇跡的に、ネルファ様も無事だったし」



「…………(こく、こく)」



「ふふんっ、そうだろ、そうだろ」



「お陰で食糧とか、色々なモノも流されちゃったけどね?」



「…………(こく、こく)」



「う゛」



「ついでに言うと、塩水で服が濡れてて、べとべとしてすっごく気持ちが悪いわ」



「…………(こく、こく)」



「よしっ、じゃあ今すぐ脱ご――」



「海に沈んでみる?」



「…………(じー)」



「冗談っす」



「……、二度はないわよ?」



「…………(こく、こく)」



「了解です、レアリアさん、アルさん……って、何で御主人様のこの俺が奴隷に向かって“さん”付で、しかも頭を下げないと――」



「――何か、言ったかしら?」



「…………(じー)」



「いや、何でもないから気にしないでくれ」



「……“くれ”? “ください”の言い間違いじゃないのかしら、レム?」



「…………(じー)」



「……気にしないで下さい、レアリアさん、アルさんも」



「初めからそう言っていればいいのよ」



「…………(じー)」



「……で、モノは相談なのですけど、今からどうしましょうか?」



「そうよね。食料も何もないって言うんだから、あまりのんびりとこの状況でいるのも良くないわよね。……ねえレム、あんた一人旅とか、そこそこ長いんでしょう? 何となくそんな気がするわ」



「…………(じー)」



「うん、まあ世界をまたにかけた事もあるからな。自慢じゃないけど大抵の事は出来る自信があるぞ」



「逃げる事とか、他人に迷惑かける事とか?」



「…………(じー)」



「それを言われると、何とも言い返せないのだが……。まあこの俺の知識を持ってすればこの危機的状況とも言えるのを切り抜けるなんて容易いわけだっ! この『転移――」



「あ、その『転移石』はもう二度と使わないわよ。次、火山の中に出たりとかしたらあんたどう責任取るつもり?」



「…………(じー)」



「ちっ、贅沢な奴だな。仕方がない。じゃあ二次的な手でいくとするか」



「二次……? 危ない方法とかじゃないでしょうね?」



「…………(じー)」



「大丈夫だ。“彼女”とは一応旧知の仲だから問題ない……はず」



「最後の“はず”って言葉がすっごい気になるんですけど?」



「…………(じー)」



「大丈夫、大丈夫だって」



「言葉が凄く軽い……。一応聞いておくけど、それで一体どうやってこの状況を切り抜けようと?」



「…………(じー)」



「うん、海賊たちの服装の特徴を見た限りじゃここは“彼女”のテリトリーの海のはずだからな。多分、俺が呼べば来てくれると思う」



「……何か、すっごく不安になってきたんですけど、その“彼女”って一体誰の事なの?」



「…………(じー)」



「ま、見れば分かる。じゃあちょっと呼んでみるから、耳ふさいでおいた方がいいぞ、大声出すから」



「え?」



「…………(じー)」



「はい、アルのは俺が塞いでおくからな。と、レアリア。本当に塞いでおかないと、耳を壊すぞ?」



「え、え? ちょ、ちょっと待ちなさ……よし、これで準備いいわよ、いつでも来なさいっ!」



「…………?」



「んじゃ――」



「っ!!」



「…………」







「おーい、ミドガルドー!!!!!!!!」







◆◆◆




ァ、ァ……ァァァ――――




「な、何なにナニこの音!?!?」


「慌てるなって、レアリア」


「この状況で、何を慌てるなと――、ぇ?」


「お、来てくれたみたいだな」





ァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァ――――




「……――じゃ、邪神【フェイド】!?」


「あぁ、いや、とある魔女のペットで名前はミドガルド。通称“ミーちゃん”な」


と、言う訳でアルカッタvsカトゥメの戦争が間近……

なんて事情を放ったらかしにして、新展開? かもしれない。


あと、会話文だけで読みにくい、分かりにくかったら言ってください。折角の新展開(?)なので、次回から地の文を入れるようにしてみます。……まあ“ど”の付いていない話だけですけど。


基本“ど”のつくお話は旦那様とメイドさんの会話文だけで成り立っております。そしてひたすら淡々と続きます。そう言うお話です。ご了承くださいませ。



……うん、久しぶりに長く書いた気がする。


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