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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさん vs ご主人様
519/1098

ど-332. 謝ってみる

謝りました、ごめんなさい。

……だから許して、という訳ですか?



「済まなかった! 俺が悪かったよ」



「ええ、旦那様が悪いのは世の常ですが、それが何か?」



「……」



「……」



「おい」



「はい、何でございましょうか旦那様?」



「ヒトが折角詫びを入れてるって言うのにその言い方は何だ?」



「詫び、つまりただ今のお言葉は謝罪の一環だったのですか。私はつい、遂に旦那様が真理の一端を悟られたものと勘違いしてしまいました。とんだ早とちりで私、大変落胆しております」



「俺はおまえの残念な思考にがっかりだ」



「しかし旦那様? 私には今この時旦那様に謝罪を受ける覚えなど一切御座いませんが? もしやあの時の事でしょうか、それともあれ、……いいえ、あの時の事という可能性も――」



「いや待てよ、俺は一体どれだけお前に謝らなきゃいけない様な事をため込んでるって言うんですかっ!?」



「溜めこんでいるのですか?」



「ねぇよ。少なくとも俺はため込んだ覚えはない」



「旦那様がそう仰るのであればそうなのではないのですか? まあ時折背後に気を配る事をお勧めいたしますが」



「それは俺の背中を狙ってると言う警告のつもり!?」



「いいえ。私が旦那様の御命を狙うなど、そのような事があるはずないでは御座いませんか」



「それもそう、だよな。色々と言いたい事とかはあるけどお前に限って俺の魂を狙ってくるって可能性は……ない、よなぁ?」



「其処は断言してくださらないと、悲しくなります」



「ああ、わるい……って、何で今ので俺が謝らなきゃいけないんだよ。むしろお前が日ごろの行動を振り返って俺に詫びろ」



「大変申し訳ございません、旦那様」



「……そういう風に、即答で謝られるのも実は全然分かってないんじゃないかって気がするんだが? それともアレか、日頃の事は全てが自覚的にやってる事だから、謝るだけならいつでも準備オッケーとかいうコトなのか?」



「どちらにとって頂いても宜しいかと」



「俺としてはどっちも違ってて欲しいよ!?」



「御自分で仰っておきながら何とも……旦那様らしい物言いであられますね」



「煩いよ! そういうなら実は俺の言った事は間違ってて、ちゃんと誠心誠意謝りました、とかって俺を慰めてくれよっ!?」



「私は誠心誠意、旦那様に謝罪いたしましたが?」



「……わー、すっごく嘘っぽく聞こえるのね」



「それでは旦那様は私にどうしろと仰られるのでしょうか」



「いやいい。むしろお前は何も言うな。そっちの方が余計な勘繰りがなくってやり易い」



「御心のままに」



「それで、だ。一応もう一度言っておくが済まなかったな、俺が悪かったよ」



「……」



「……」



「……?」



「旦那様、発言を許可していただけますか?」



「ん、あ、あぁいいぞ」



「では――。旦那様、先ほどもおもいましたが、それが真理の一端を垣間見たお言葉でないと仰られるのでしたら、いったい何に対する謝罪のおつもりなのでしょうか?」



「だーかーらー、お前最近機嫌が悪かっただろ?」



「そうでしたか?」



「うわムカつく。特に表情が全く変わらないのが すげぇムカつく」



「……表情の事を私に仰られても」



「それもそうなんだけど、ついな。とにかく、お前が最近機嫌が悪かった、んでその原因は俺だから、今こうして謝ったって訳だ」



「――成程、理解致しました。では旦那様は何故私の機嫌を損ねていた……少なくとも旦那様がそう勘違いなされた“理由”というモノが何なのかをご理解された上でのお言葉と考えて宜しいのですね?」



「ああ、良いぞ。お前に貰った愚痴ノートもようやく完読したからな」



「……そう言われると、喜びもひとしおです」



「まあ、あの愚痴ノート、書いてある事の一割の意味も理解できなかったけどな。まあ“愚痴”ノートって言うくらいだから日頃の詰まらないような愚痴がため込んであるだけなんだろう? つまりアレだ、俺に訴えたかったのは内容ではなくて、あれだけの量の愚痴が溜まる俺に対する不満なわけで――」



「――あの、旦那様?」



「ん? 何だ、どうした?」



「“理由”。ご理解、していただけたのですよね?」



「ああ、だからこうして謝ってるんだろ。理由も分からずに謝るのはお前の嫌がる所じゃないか」



「……そうで御座いますね」



「だろう?」



「確かに、このような旦那様で在られるからこそ、旦那様は旦那様であるのであって。……そうですか、期待し喜んだだけ私のぬか喜び、とそう言う訳でしたか」



「……何の事だ?」



「旦那様、旦那様のお考えは間違ってはいないのです。的外れでも決してない、けれども、“的を貫いていない”」



「んん?」



「……つまり、です。旦那様の謝罪は受け入れさせて頂きますので、どうぞご安心を、という事に御座います」



「何かそういう雰囲気じゃなかった気もするんだけど……?」



「流石は旦那様、余計な事にばかりお気づきになられますね?」



「褒められている気がしない」



「褒められていると、本気でお思いで?」



「いや、今のは流石にない、皮肉って理解してるぞ、ちゃんと」



「そうでしたか。皮肉、などではなく私は事実を申し上げたに過ぎませんが」



「……そうだよな、お前ってそういう奴だよな」



「何か問題でも?」



「いーやっ」



「そうですか。……――旦那様、相も変わらず旦那様で在られるようで」



「そりゃこっちの科白だ。お前も相変わらずだよ」



「――ええ、私は私。悠久に渡り旦那様のお傍を決して離れ得ぬ私であればこそ。旦那様を退屈など、させは致しません」




と、言う訳で無事仲直り。……というよりも喧嘩なんてしてたかなぁ?



愚痴ノート選抜

『今日一日、少しだけあのヒトから離れて観察してみた結果、凄く人気者だと言う事が改めてよく分かった。絶対自覚ないでしょうけど。

“彼女”たち、あのヒトを見かけるたびにに声をかけに行っていたし、元よりあのヒトの行動範囲は私も驚くほど広いのだから。

もしかすると一日だけでこの館の全員と会ってたりするかもしれない。

その全員に、笑顔で声をかけられたのは私としても大変嬉しい事なんだと思う。声をかけた、と、声をかけられた、じゃ大いに違うことだから。


うん、嬉しい。嬉しい、嬉しい、嬉しい、嬉しい、嬉しい、嬉しい、嬉しい、はずなのにこの気持ちは何?

きっと、あのヒトが全部悪い所為9.


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