ど-323. 仲直り? にはまだ遠い
やんちゃー
「あー、何か最近体調がいいなー」
「そうですか」
「ああ。最近はどこかの誰かさんがちょっかい掛けてこないからなっ、おかげで生傷も減って、実に平和な日々を過ごしてるよ」
「そうですか」
「そうなんだよ。誰かさんのおかげでなっ!」
「そうですか。ではその誰かとやらにお礼を申し上げねばいけませんね」
「ははっ、それもそうだな。礼の一つでもしてやってもいいかもなっ」
「そうですね」
「……おい」
「そうですか」
「そうですか、じゃねえよ。いい加減なんとか言ったらどうなんだ?」
「そうですね」
「そうですね、じゃないつーの。お前、一体いつまで訳の分からない事でへそを曲げてる気だ?」
「そうですね」
「だーかーらっ!」
「……旦那様」
「なんだよ?」
「反省、しておりますか?」
「はぁ?」
「旦那様、反省しておりますか? 私に構われず寂しかったですか? 悲しかったですか? 詰まらなかったですか? そろそろ放置される事に快楽を覚えてきましたか?」
「いや、最後のはないから」
「……では残りの事は?」
「まぁ、その、何だ」
「はい」
「確かに生傷は減って、俺ってば順調じゃね? とか思った時もあったけどよ、と言うよりも今でも基本的にその考えは変わらないけどさっ
「はい」
「ちょっとくらいはお前がいなくて面白くないかな、なんて思わなくもなかった訳だ」
「はい、旦那様」
「ほんのちょっとだぞ? ほんのちょっとだけだからなっ?」
「はい、旦那様」
「それで、だな。……まー、なんだ。元に戻ってくれよ。な?」
「旦那様がそうまで懇願されるんであれば――」
「いや、別に懇願って程じゃ……」
「お断り痛いします」
「……えーと」
「そもそも旦那様は未だに私が怒っている意味を理解しておられないでしょう? それでどうして元通り旦那様と接する事が出来ましょう」
「あー、それは確かにそう、なんだけどな。ってか、縁起とカ場を盛り上げて楽しもうとかそういう事じゃなくて、マジで怒って?」
「旦那様は私の何を疑われるとと仰るので?」
「真面目な時のお前なら疑う事なんて何もないんだけどな……」
「では今は真面目です、と申し上げておきましょう。もっとも私は常に真面目ではありますが」
「その一言が余計なんだよ、っと……んー、しかしお前がここまで機嫌が悪くなるようなコトかぁ」
「そうですね」
「……いい加減ヒントくらいくれてもいいんじゃないのか?」
「では、旦那様にこれを贈呈致しましょう」
「何か、見覚えのある辞書……いや、ノート、か?」
「はい。旦那様への愚痴ノートで御座います。ここには私の旦那様に対する思いの程が描かれているので、正直旦那様にお読みいただくのは恥ずかしい限りなのですが、その私が恥ずかしがる様子もまた一挙と旦那様が仰るのであらば致し方御座いません」
「言ってないって。それじゃ、ありがたくこのヒントは頂戴させてもらうとしよう」
「はい」
永久の、光の淵より来たるヘビ
……いや、本当に思い付き書いてるだけで意味なんて微塵もありませんからね?
愚痴ノート選抜
『今朝、旦那様の寝所に向かうと旦那様はすでに起きていて、「よう」などと平然と声を掛けてきた。憎たらし限りである。
折角の者言わぬ旦那様の寝顔を寝顔を眺めながら今日一日の事に思いをはせる日課が台無しになった。
この恨み、晴らさないでいるべきか否か、迷いどころである。
』