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CheatCry-世界は泣き叫ぶ-

わきゃ〜

少し裏の事情っぽいお話です。


「――しかし、世界も変わらないな」




赤髪赤瞳の男は空間に立ったまま、眼下に広がる世界を眺めていた。


男――ステイルサイトにとっては見なれた景色でしかなく、決して“変わっていない”などと評価するほどに世界を見ていなかったわけではない。


彼が“本当に”ステイルサイトであるならば、そんなセリフは出るはずのないモノなのだ。




「それにしても久しいモノにも会ったようだ」




その“ステイルサイト”は眼下を眺めたまま淡々と、誰に語りかけるでもなく言った。


周りの空間には見渡す限りステイルサイト以外は誰もいない。だから当然、返答もありはしない。



だが時を同じくして地上のある場所――一人の男が空を見上げ、僅かに顔を顰めた。




「ソレは此方の科白だ。それに久方振りに“神”の気配を感じたと思えば、随分と変わった格好をしている」




地上の男が口を開く。そしてそれに答えるように遥か上空で、眼下を見下ろしながらステイルサイトは再び言葉を発した。




「似合うか?」


「ふむ……その紅の髪と瞳は何のつもりだ。汝の力の象徴たる碧はどうした?」




“会話”は成立していた。


遥か空の上と、その眼下のほんの一点でしかない地上。それだけの空間を隔ててなお、二人は確かに会話を行っていた。




「“神”への存在の固定――不滅は順調。一度死んでなお、俺はこうして戻ってきた」


「その様だな。今の汝を見れば解る」


「だが生憎と“実験”は完全な成功ではなくてな、力が完全には戻ってこない。つまりはこの髪と瞳は単なる力不足だ、それ以外の意味はない」


「……成程確かに。“神”としては弱々しいにもほどがある。その程度ではルーロンの系譜の娘子以外にも狩られるであろうよ」


「――あぁ、白龍か。先程、銀髪の娘子を見かけたが奴の系譜がまだ残っていたとは驚いたぞ。とうの昔に滅んだと思っていたのだがな」


「……汝が滅ぼした、の間違いであろう?」


「そうとも言う。だがどちらにしろ結果は同じだ。この世界で唯一【創生】を行える系譜はまだ続いていた、それだけだ」


「ふっ、それに汝は気づいたか? アレはとびきりだぞ。原初であるルーロンすら凌ぐやもしれん」


「――訂正しておこう。アレは間違いなく原初の白龍以上の力を持っていた」


「やはりそうか。つまりあの娘子、我と同等かそれ以上の力を持っているという事か。真、ルーロンの系譜は恐ろしいな」


「確かに。幾らこの世界の制約が掛かっているとはいえ、『破王』とまで呼ばれた貴殿と同等の生命体を作り出しているこの世界は恐ろしくあり――また非常に興味深くもある」


「それで、汝の“実験”とやらにはこの“世界”は最高の舞台と言う訳か」


「“最高”というのは正しくないが。少なくとも“今までで最高”ではある」


「だから汝は“実験”を続けるという事か」


「当然。だがしばらくは様子見だ。果してこの器を喰らい尽くせば力は完全に戻るのかどうか、それとも依代を選び直す必要があるのか。それにこの世界の様子にも、一件変わらないようではあるが、興味がある」


「――そうか、“暫くは安泰”という訳か」


「ああ。しかし、この世界はやはり面白い。【創生】の系譜と言い、この世界の誓約に染まらぬあの【異界の堕とし子】と言い、そして貴殿――『破王』がこの世界に何をそこまで執着して見せているのか、等々」


「我はただ静かにこの世界で暮らしたいだけだ。他意はない」


「それでも、貴殿に他意がなくとも――この世界は興味深い。俺の意欲を強く刺激してくれる、非常においしい“実験場”だ」


「……そうか、それは良かったな」


「ああ、嬉しいな」


「――だがな、しかと覚えておけ。我を、この世界で勝手を働くと言うのであれば我が、加えてあの銀髪の娘子も黙ってはいないぞ」


「問題ない。理解はしている。だが――一方で障害が大きければ大きいほど面白いというのも事実。困ったものだな」


「ああ、汝のその性格には困ったものだ」


「けれど、今貴殿と事を構える気はない。貴殿の方も――例え弱々しくとも今俺と事を構えて、その娘に害が及んでは困るだろう?」


「……その通りだ」


「それではな。この器の意識が戻らぬうち――俺はしばらくこの世界を視させてもらうとする。心配はしなくていい、本当に視るだけだ」


「心配はしていない。命を無駄に散らすという無意味な行いを汝はしない、この点だけは心得ている。――さあ、往け。目障りだ」


「そうしよう」




遥か空の上、眺めていたステイルサイトの姿が空気に溶けて、消えた。


その様子を見上げながら地上で男は――自然と入っていた肩の力を抜いて、小さく息を吐いた。




「……すぃー? おはなし、おわったの?」


「――あぁ、ミミルッポ。済まなかったな」


「ううん、でもね、スィー、なにかしんぱいごと? むずかしそうなかお、してたよ?」


「心配はいらない、ミミルッポ。例え何があろうとも、汝らの事は我が護ろう」


「ね、スィー。でもむりはしちゃめっ、だよ?」



「……ああ、心得ているとも――我が主よ」



きゅーーーー


……いや、意味は全くないんですけど。何となく叫んでもみたい、意味がまるでわからないかもしれない二人の会話。まあ、あまり気にしないでやってくれると嬉しいです。

レム君とメイドさんとの掛け合いには然したる意味はないものですので。

周りの思惑がどうあれ、『ごーいんぐ・まいうぇい』なのですよ、はい。


さて、シリアスモードも残すところラスト1です。当然、トリを飾るのはあのヒト――……いや、忘れてたってわけじゃないんですけどね?


びびっ、びびっ、……と、今日は遅れて済みませんでした。




キスケとコトハの一問一答


「酒は飲んでも飲まれるな、いいな?」


「――師匠!? 根本的に意味が違います!? お酒がっ、お酒の化けものが追ってきますっ!?!?」


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