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Deedα. コトハ-5


コトハさん


「ん、……れ? 此処、は?」


『目が覚めましたか』


「……だれ? それに此処、どこ?」




気がつくとやたらと豪華なベッドの上で寝かされていた。それと森――じゃない、緑色の髪と瞳の女の子に馬乗りの体勢で見つめられていた。


な、何がどうしてこんな状況に?




『私……私は“誰”でしょう?』


「いや、わたしに聞かれても分からないし、聞きたいのはむしろわたしの方……と、それと少し近くないかな?」


『……ごくり』


「〜〜っ!!」




何!?


今、何か凄い悪寒を感じたんですけど!? それにこの体勢、やっぱり顔が近……ってさっきよりも近づいてる!?




「そのっ、わたしはそう言う趣味はないんでっ!!」


『……そう言う趣味?』


「わたしは女の子同士よりも男のヒトの方が好き――って別にわたしは男好きってわけじゃ、でも女の子が好きってわけでもなくってっ、例えばほら男のヒト……」


『レム?』


「そうっ、レム! わたしはレムの事が好――」




――いやちょっと待って、わたし。何を血迷った事を口走ろうとしてる!?


……少しだけ冷静になろ、




『隙あらば食べたい?』


「なななんてこと言うんですか、女の子がはしたないっ!!」


『はしたない? でもお腹は減る』


「食べ……て、あぁ、食べるってそう言う意味――というよりそっちの方がむしろ危ないって!!」


『? 食べるに食べる以外の意味があるの?』


「そっ、それは――」




わわわたしったらなんてとんでもない間違いを……こう言うときは一度落ち着くべきだ、うん、落ち着くべきですそうです。


……落ち着こう。それにこう言うときは、偉大な師匠の格言でも思い出すべきなんです、うん。


師匠心得その六十三――『なるようになれ、クソガキ』




「なって堪りますかっ、それとわたしはクソガキじゃありません、師匠のバカ!!」


『?』


「……ぁ、う。ごめんなさい。気にしないで、と言うより今までの事は全部忘れて、お願いします」




怒鳴ったら少しだけ落ち着いた。流石、師匠の格言は役に立つ。


でも今度は今までの自分が凄く恥ずかしくなってきたけど……師匠のバカ、師匠のバカ、師匠のバカ、師匠のバカ、師匠のバカ、うん、落ち着いてきた。




「――って、そうだ師匠!!」


『ししょう?』




わたしは確か“みょーりょー”とか言うのに飛ばされた師匠に巻き込まれて……それからどうなったんだっけ?



――覚えてない。それから気がつくと、ここにいた。


師匠は? それにスヘミアさんはどうなったの?




『ししょうって美味しいの?』


「師匠は食べ物じゃありませんっ!」




もうっ、さっきからこの子、いったい何なの――って、そう言えばこの子ずっとわたしに馬乗り出し、それに近いし。




「……あのね、いい加減そこから退いてくれないかな?」


『退く?』


「そう、わたしの上から、退いてくれない? そうじゃないと起き上がれないし」




起き上がれないと師匠たちを探しにもいけないし、ここがどこかだってまだ分かってない。




『名残惜しい』




……何が名残惜しいのだろうか。喉を鳴らしたのが嫌に印象に残ったけど、それにさっきからの発言、まさかわたしを食べたいとかそんな事……あるわけないよね、はははっ。


――て。




「なんで、わたし裸なの?」


『レムが脱がせた』


「……レム? そう言えばさっきもレムの名前が出たけど、もしかして君、レムの――傍迷惑極まりなくって自信満々自意識過剰でいつの間にか気がつくと傍に居て、変な事ばかり言ってわたしをからかってくるあのヒトの知り合い?」


『うん、多分ソレの知り合い。私の使用者』


「――はい? しようしゃ?」


『うん』


「使用って、レムが、あなたを……つつ、使ちゃう、の?」


『うん。まだ一度だけだけど、とても上手でした』


「じょじょ上手ってっ!?」




それに、何?


この子、嬉しそうに頬とか染めちゃってるんですけどっ……使う? “使う”って、一体何をどう使っちゃうの!?


ま、まさかおどろきだけどあのレムにそんな趣味があったなんて…………わたし、胸は普通の大きさだし、顔だって童顔ってわけじゃ――



――いや、ちょっとまってよ、わたし。さっきから考える不幸が少し変だってば!!


なんでどうしてわたしが、まるでレムを気にしている様な事を考えなくっちゃいけないの!?


……きっと色々な事にまだわたしが混乱してる所為、そうに違いない。




『先ほどから、それは何かの儀式?』


「儀式って、何の事?」


『急に叫んだり首を振ったり自分の胸を揉んでみたりと、他にも元気がなくなったりと。やはり儀式?』


「〜〜っ」




うわぁ、というかわたし、何恥ずかしい事してるの!?


此処がどこかもだって――あれ、そう言えば。




「君、レムの事知ってるみたいだし、もしかして此処ってレムの、家……?」


『うん、ここはレムの巣窟』


「巣窟って」


『レムがうようよいる』


「嘘!?」


『嘘です』




……この子、何なの?


今のだってそうだし、レムにつか、使われてるっても言うし。それに何より、この子からは夥しいほどの血の香りがする、気がする。こんな小さな子なのに、それとは不相応な多くの死の香り。


本当に、この子は一体――




『さて、それじゃあコトハが起きたから報告してくる。少しだけ待ってて』


「報告? 誰に……」


『レム、私の主様に。コトハが起きたら知らせるようにって言われてるから』


「わたしが、起きたら……?」


『――一つ言い忘れてた。レムからの伝言。コトハが目を覚ましたら伝えるようにって』


「レムからの? ……何て言ってたの?」


『“何も心配しなくていい”って言ってた。それじゃあ、レムに知らせてくる』


「あ、ちょ――」




っと、って思ったら。さっきまで其処にいたはずの女の子が霞みたいに消えていた。


今の、転移魔法? ……ううん、何か違う気がする。上手く言えないけど、アレは多分転移魔法じゃない。



でも、レムからの伝言だって言ってたあの子の言葉。




「“何も心配しなくていい”かぁ」




如何にもあのレムが言いそうな言葉ではあるんだけど。恰好つけでわたしお世辞ばっかり言ってきて、無駄に自意識過剰で……――でも、不思議と信用出来て。


だから、きっと本当にレムが心配しなくていいって言うのなら本当に心配する必要はないんだって、そう思う。







それによく覚えてはいないんだけど。


わたしが危なかった……気がする時に、レムが助けてくれた……気がする。それにそのあと何か言っていた……気もするし。って、気がする気がするばっかり、だけど不思議とそれを否定しようとは思わないんだよなぁ。どうしてだろう?




――大丈夫か、コトハ?




……なんて、何でありもしないような言葉――それもおもいっきりレムに補正がかかって格好良い姿――を思い出したりするのだろうか?


優しく、わたしを抱き留めてくれていた、安心する身体の温もり。



ちょっぴりコトハさんの会は次回に続く……かもしれないし続かないかもしれない。

続かないとしたらなんて中途半端な終わり方かっ!



キスケとコトハの一問一答


「時の流れに逆らってこそ、男の浪漫。分かるよな?」


「師匠、わたし女ですけど?」


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