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Deedα. スヘミア-6


スヘミアさんの、後日談?



「……あの〜、レム兄様?」


「うん? 何だ、スヘミア」




うぅ!?


なんだろう、いつも以上ににこにこしたその顔が怖い気がするよぅ。




「その、ね。キスケ兄の事なんだけどね」


「おう、キスケがどうかしたって?」


「……えーと、どうなったのかな? それと私はどうしてこんなところに入れられてるのかな?」


「さあ、どうなったと思う? そしてどうしてだと思う?」




うぅ、やっぱりレム兄様の機嫌が悪い気がする。それもすっごく。にこにこ、にこにこ、って。だからそのにこにこがいつもより凄く怖く感じるんだよ!


ど、どうしてだろう?




「えっと、キスケ兄ももしかして私と同じ?」


「同じって言うのは?」


「ど、独房に入れられてる、のかなぁ〜?」


「ああ、正解。んでキスケの相手はあいつに頼んである」


「あいつって……お姉ちゃんの事、だよね」


「ああ。あいつ以外にキスケへの適任者はいないからな」


「……だろうねぇ。キスケ兄を止められるのってお姉ちゃんくらい……あ、スィーカットって言ったっけ、あの小瓶の悪魔さん。あの二人くらいだと私も思うよ」


「と、言う訳でお前のところには俺が来た訳だ」


「……あの〜、やっぱり意味が分からないんですけど?」


「ほぅ、ここまで懇切丁寧に説明してやってるのに、まだ分からないのか、スヘミア?」


「――その、」




なんで? どうして!?


と、言うよりも私って何かいけない事――レム兄様を怒らせるようなことってしたかな!?


それとレム兄様、全然『懇切丁寧』なんかじゃないよぉ〜。




「仕方ない。ならどうして独房に入れられてるのかって言う理由を端的に説明してやろう」


「お願いします」


「無茶をして俺を心配させた、以上」


「……えっと、その?」


「以上だ」


「それだけの、理由?」


「むしろそれ以外の理由があるのか? 何か俺の機嫌を損ねるような真似でもしたとか?」


「してないしてない! レム兄様の機嫌を損ねそうな事は断じて……――えっと、うん、してないと思う」


「そうか。なら理由はそれだけだ」




それだけって……――うん、レム兄様、間違いなく本気だ。本気の目だよ、これは。


レム兄様を心配させただけでこの扱いって……しかもお姉ちゃんが施したのかこの独房、無駄なほどに凄い結界が施してあって此処じゃ“点睛”の力がうまく使えないしっ。




「さて、それじゃあスヘミア」


「な、何かな?」


「お仕置きは何がいい?」


「お仕置き!?」


「当然だ。独房に入れられてるんだぞ。何らかのお仕置きはされて当り前だろう? むしろお前は時間がたてば解放されるとか、そう言う甘っちょろい事を考えてたのか?」


「……ぅ」




だって、その。レム兄様はなんだかんだ言っても優しいし……今はちょっと変だけど。


冗談でこのくらいはしそうだし、きっとレム兄様なりの冗談なのかなとかって思ってたし……今は間違いなく本気だって分かってるけど。




「れ、レム兄様本気なの!?」


「本気だ」


「わっ、私は“点睛の魔女”スヘミアだよ。W.R.だって三位で、つ、強いんだよ!?」


「ああ、知ってる。だから?」


「だから、その……えっと、ひっ、ひどい事したらほーふくしちゃうんだからっ!!」


「――成程。つまりは報復も考えられなくなるほど徹底的にお仕置きをすればいいわけだな?」




さ、さすがレム兄様。分かってるよねー。……その通りだと私も思います、はい。


もしかしなくても墓穴を掘っちゃったかな、私?




「……んー、よし、それじゃあ初めのお仕置きは軽く三角木馬にでもするか」


「三角木馬!?」




レム兄様ってば実はそんな趣味が!?




「いや、それよりもムチ打ち、氷責め、水責め、くすぐり、羞恥責め……そっちの方がいいか?」




いやいやいや、レム兄様。それってすでにお仕置きじゃなくって拷問じゃないの!?


それにくすぐりと羞恥責めって何!? 一体私に何をするつもりなの!?




「れっ、レム兄様。……こんな小さな女の子に酷いことするのは犯罪だよ? ね?」


「問題ない。小さいのは外見だけだ。中身も実際も、見かけとは違うだろ?」


「……」




レム兄様ってば、ヒトが気にしてる事を抜け抜けと。そりゃ私は小さいよ、幼いよ、胸だってほとんどないよっ!


ええ、自分で言いだしましたよ、自分で言い出した事だけどさっ、それでも自分で言うのとヒトに――特にレム兄様に言われるのとじゃ色々と重みが違ってくるってモノだよっ!!




「なんだ、随分と反抗的な目だな?」


「そそ、そんな事ないですよ!?」


「慌てるところがむしろ怪しい」


「あああ怪しくなんてないもんっ」


「舌が回ってないな。ますます怪しい。……何を考えてた、スヘミア?」


「何でもないよ。ただちょっとレム兄様が無神経な事を言うのに腹が立って文句を――って、ああ嘘、今の嘘。嘘だから……って言うのじゃダメ、だよね、やっぱり?」


「ああ、遅いな。それとこの状況で俺に文句を垂れるとはいい度胸だ、スヘミア」


「垂れてない! まだ垂れてなかったよ!?」


「そうだな。確かに“まだ”だったみたいだな。そうか、言う気は満々だったってわけだ」


「……ぁぅ」


「それじゃあスヘミア。お前のリクエストを聞いてやろう。一体何をされたい? 何をしてほしい?」


「で、できればこのまま此処から出してほしいかなーなんて……」


「良し。それじゃあ出してやろう」


「そうだよね、やっぱり無理だ……って、レム兄様、本当!?」


「なんだ、やっぱり何かしてほしいのか。スヘミアがそう言うなら仕方ないな。よし、それじゃあ少し待ってろ、今三角木馬と重りを持ってくるから――」


「あぁ――ってレム兄様! いいからっ、このまま出していいからっ」




それとレム兄様、さっきから三角木馬三角木馬って、三角木馬に一体何のこだわりが!?




「……それが人にモノを頼む態度か?」


「レム兄様お願いします、何もしないで私をここから出して下さいっ!」


「よしよし、最初からそう言う態度でいればいいんだよ」


「……うぅ〜」




凄い屈辱だよぅ。よりによってレム兄様に頭を下げなくっちゃいけないなんて。こんな結界さえなければ……独房の外にさえ出ればレム兄様なんて……。




「うん、まだ仕置きが足りなかったみたいだな。――もう少しそこで頭冷やしてろ、スヘミア」


「あぅ!? ごめんなさい、レム兄様。私がいけない事考えてました、だからここから直ぐに出して!?」




実は私がここまで必至になるには理由があって、“点睛”の力が使えないと――というより“点睛”が傍にいないと何か落ち着かない、何か“私”って存在を半分こにされちゃったような不安があるから、という事だったりする。


……いや、ただいまの場合は目の前のレム兄様がすっごく怖いって事の方が大きな理由なんだけどね。何か、今のレム兄様になら何されてもおかしくないっていうか、何されてもいいって――いや今のはちょっと気の迷いだけど。


このまま此処にいたら色々なモノが危ない気がするんだ。




「スヘミア、やっぱり俺が怒ってる理由について正しく理解してないみたいだから、やっぱり当分そこにいろ」


「そんな」


「大体、お前は詰めが甘いんだ。だから隙をつかれるし、肝心な人質の事だって忘れるし、よりによってとどめを刺し忘れるなんて大ポカも時々しやがる。もう一度あいつに――キスケへの拷問が済んだ後で徹底的に鍛え直してもらえ」


「ごっ、拷問!? キスケ兄ってば今お姉ちゃんに拷問されてるの!?」


「――他人の心配もいいが、自分の心配でもしたらどうだ、スヘミア。その中にいる限りはお前は一切力を使えないから……たとえば俺でさえお前を押さえつけるのは楽に出来るんだぞ?」


「れ、レム兄様に押さえつけられちゃうの!? わ、私?」


「そう言うことも簡単にできるってだけの話だ」


「……」


「おい、スヘミア」


「ひゃぅ!? ななななにレム兄様、遂に私もレム兄様に食べられちゃうの美味しく頂かれちゃう日が来たの!?」


「……その認識はいい加減止めろ。どうせあいつに刷り込まれたものだろうけど。なんだって完全に潔白な俺が誰彼襲いかかるような暴漢って扱いになってるんだよ」


「えっと、その……不束者ですが――」


「だからそれはもう良いっての。さっきのは例えの話だ。た・と・え・のっ! 分かったな、スヘミア」


「……ぁ、うん。分かり、ました。レム兄様」


「ったく。と、言う訳だから当分はその中で大人しくしてろ」


「……はい」


「全く、この馬鹿野郎が」




ぶつくさと文句を言いながら、レム兄様はその場に座り込んじゃた。どこかに行っちゃうのかと思ったけど……なんだかんだ言ってもこう言う所がきっとレム兄様なんだろうな。




「レム兄様」


「なんだ?」


「その、ありがとうね?」


「……俺をおだててても当分の間そこからは出さないぞ?」


「――もうっ」




もうっ、レム兄様のけちんぼっ!!!!


と、言う訳でレム君少し怒ってます?

恐らく『キスケ』『コトハ』『ミーシャ』と、あと一人で残り四回ほど続く予定……でも予定は未定です。



キスケとコトハの一問一答


「霊は目で見るんじゃない、心の目で見るんだ」


「師匠!? お化けなんていませんよね!? 師匠の面白くもない冗談ですよね!!」


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