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Wildfire-26

完全勝利と書いて完勝。

どくん、と≪ユグドラシル≫が脈動する。――そして暴食が始まった。



――いただき、まーすっ♪



ぽぅんっ。


何処からともなく現れた“一人目の”緑色の少女がステイルサイトへと喰いついた。引き攣った笑みのまま固まっているステイルサイトはそれを振り払うこともしない。


ちゅ〜、と音が聞こえてきそうな勢いで緑の少女がステイルサイトから“何か”を吸い取る。すると目に見えて緑の少女の肌に張りと艶やかさと、ほんのちょっとのぷにぷに感が増した。



当然、それだけでは終わらない。



――いただきまーすっ♪

――いただきまーすっ♪

――いただきまーすっ♪

――いただきまーすっ♪

――いただき……♪

――いた……♪

――まーすっ♪♪



“一人目”に続けて、緑の少女が増殖していた。それも一人、二人、三人という悠長な増え方ではない。二人、八人、四千九十六人、という具合にちょっとあり得ない増え方だったりしたので、ステイルサイトの姿が見えなくなるのは本当に一瞬の出来事だった。


ちなみに増えすぎて暴走しだしたのか、途中からは『頂きます♪』などと言って“彼”や“彼女”に飛びついてくる輩が出始めていたが、それらはすべて“彼女”が斬り伏せていた。



増えた時は瞬く間に、そして萎むときは一瞬だった。


一人の頭にポンと花が咲いて……正真正銘、本当に花が頭の上に咲いて、それが瞬く間に他の緑の少女へも伝染する。


ぽぽぽんっ、と音がしそうな勢いで視界を埋め尽くしていた全ての緑の少女の頭に花が咲いていく――その光景は、余りにも滑稽だった。



――ごちそー、さまでした



頭に花を咲かせた緑の少女が一斉にお辞儀をして、消えた。見事なほど同時に、何の感慨も残す暇を与えさせない実に見事な消えっぷりだった。




『腹八分目になった』




いつの間にか“彼”のすぐ後ろに出現していた緑の少女が満足気に頷いていた。そして残念ながら、その緑の少女には頭に花は咲いてなかった。




「は、は……は」




後に残ったのは最初と同じ格好で笑っていたステイルサイトの姿だけ。それも感じられていたプレッシャーも全くと言っていいほど感じられなくなってしまっていた、実に弱々しい姿だった。




「詰まりはこういう事だ。テメェが一番最初の選択をした時点で、どう抗おうともテメェが俺に勝つ事はありえねぇよ」


「はは、は?」


「テメェが“燎原”である時点で、テメェを殺すにはナイフ一本で事足りる。ご大層な力を使うまでもない。――俺に【燎原】の力は効かねぇよ」


「はは? ……なんだ、それは。元・ご主人さま、そんなの聞いてないよ」


「言った覚えもないな。それにどのみちお前の存在は今で終いだ」




半ばまで突き刺していた≪ユグドラシル≫に力を込めて、更に深く刺し込んでいく。




「じゃあな、死んで全力で――アルに謝りやがれ」




ずぶっ、と最後の一突きがステイルサイトの身体を貫ぬい――





◇◇◇





「いま必堕の、『ブレイカー』」




がちゃん、と何かを落としたような音が世界を支配した。続けてヒトの倒れる音が三つ。




「――み、皆様方に裸を見られてしまいました。そうとは知らずはしたないです、私は痴女じゃないのです。うぅ、今のうちに何とか“いんぺー”しないと……私がお嫁に行けなくなりますっ!」




実に悲痛そうな表情で赤い少女は一人、純白の世界で叫び声を上げた。



今日はちょっと短い。

……と、言う訳で見事(?)完勝しました。これ以上ないほどの勝利です、王者です。


あと、一応再度説明。

『ブ――――レイカァァァ』

シャトゥ、108の必堕(ひつだ)技の一つ。必ずオチる技、と書いて必堕技。

正式名称、ブレイカー。んで、名称を言う際の溜めは必須。

ブレイカーを落とす。すると皆の意識が堕ちて一瞬で気絶者多数。派手な予備動作がないので一番早く技が発動する。相変わらず凶悪な技ばかり。

でもいい夢が見れるらしい。リピーター続出。



キスケとコトハの一問一答


「自分の道をとことんまで突き進め。いいな、コトハ?」


「はい、師匠っ! ……珍しく師匠が師匠ですっ」


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