DeedΣ. Trickle-3
むー
――スヘミア、起きて下さい
んっ……むぅ、まだ眠いよぅ、あと、ごふん
――分かりました、五分ですね?
う、ん……
――では五分後にまた呼びかけましょう
◇◇◇
――スヘミア、起きて下さい
点、睛?
――はい、そうです、マイマスター・スヘミア
ん……む〜、まだあとちょっと、休ませてぇー
――ちょっととはどのくらいですか?
むー、じゅっぷん
――分かりました、では十分後にまた呼びかけます
◇◇◇
まだ、あと少しぃ〜
――分かりました、では後ほど
◇◇◇
……もうちょっと、だけ
――はい、ではしばし後に、また
◇◇◇
くぅ〜
――……
◇◇◇
…………、ごめん、もう起きたよ。と言うよりも点睛、いつまで続けるつもりだった?
――貴女が望む限り、いつまででも、今の意識下に在る概念時間上では体感時間を延ばす事は可能です、それが私“点睛”となれば時間は望む限りいくらでもあります
うへぇ、それってちょっとした地獄じゃない?
――貴女がそう言うのであれば、その通りなのでしょうね、スヘミア
……ま、いいや。それよりも私、どうしたんだっけ?
――【冥了】に深手を負わされました
そっか……って、それのんびり話してる場合じゃない――……わけでもないんだったよね。時間なら腐らせるほどいっぱいあるのか
――はい、マイマスター・スヘミア
あのさ、点睛
――何でしょうか?
その、私の事をマスターって呼ぶの、いい加減にやめにしない? 私は君のマスターなんかじゃないって
――いいえ、たとえ【点睛】のマスターが貴女でないとしても、“私”のマスターはやはり貴女です、スヘミア
う〜ん、私、マスターとかそう言うのには向いてないと思うんだよね。みー君だって奔放に育っちゃったし
――あれはあれで非常に貴女に懐いているではないですか
それは、確かにそうなんだけど、ね
――私に何か不満があるのでしたらただちに直させて頂きますが
いや、これって不満は点睛にはないし、むしろ私には出来過ぎた子だと思う、けど……
――それは光栄です
ゃ、私が言いたいのはそうじゃなくて……まあ、今はいいや、それよりも点睛、だんだんと思いだしてきたけど、これってつまり私は死んじゃったって事でいいのかな?
――いいえ、スヘミアは死んでいません
え、でも確かお腹にぽっかりと穴を開けられちゃったんだよね、私?
――私は【点睛】です、その程度の深手、どうとでもなります
良ってる事が矛盾してるよ、点睛……でも、そっか、私まだ死んじゃってないんだ
――はい、そうですよ、ですから、まだ諦める必要はありません
大丈夫、死んでないなら私はまだ“冥了”に負けただなんて思ってないよ
――いえ、その事ではなく、
ぇ? それじゃあ一体何を諦めるって……いやいい、待って、点睛、言わないで、言っちゃダメ、絶対にダメだからね
――私はまだ何も言っていません
ぁ、っと、そうだね、うん、でも言っちゃダメだからね? 絶対言ったらダメなんだからねっ!?
――はい、マイマスター・スヘミア、貴女の、願う様に
それで結局、今の状況はどうなってるのかな、点睛
――“冥了の涙”が造り出した“現象”の分際で、おいたが過ぎたので多少私が懲らしめました
懲らしめるって……それに今凄い事をサラリと言わなかった?
――そうでしょうか?
そうだよ、あれが使徒“冥了”じゃなくって、“冥了の涙”が造り出した“現象”だとか
――はい、その通りです
……どういう意味?
――済みません、言えません
それって、
――例えどのような形であれ、私があのお方の使徒である事実は変わらない、『最凶』としての領分を忘れるわけにはいかないという事です
そっか、なら言えなくて仕方ないか。点睛ってば、それだけは譲ってくれないもんね、今も昔も、ずっと
――済みません
いや、良いよ、誰にだって譲れないモノはあるだろうし、点睛達にとっては“ソレ”が原初なんだろうからね
――はい、この思いは、あのお方への忠誠だけは、例え何があろうと変わらない……覚えておいてください、マイマスター・スヘミア
うん、解ってる
――ですが、スヘミア、先ほどは緊急事態と言う言い訳で自らを騙しましたが、次はもうないですよ?
次って、次があるの? そう言えば多少懲らしめたとか言ってたけど、あれってどういう意味なのかな?
――存在の大半を削り取っておきました、それだけです
それだけって……また随分と怖い事をさらっと言うよね、点睛ってば
――そうでもありません、あのお方への忠誠が……マイマスター・スヘミア、貴方を傷つけたにも拘らず、【冥了】を滅する事を妨げた
うん、だから仕方ないって、点睛のその性格を考えれば、助けてもらっただけでも御の字だって思うよ、私は
――私の性格、ですか……使徒の性格など、元はと言えば器たる
うん? どうかしたの、点睛
――いえ、何でもありません
そう? それじゃあ、そろそろ行こうか、点睛、滅ぼしてない――つまり弱らせただけって事は、未だ在るんでしょ、さっきの“冥了”は
――はい、そうです
それじゃ、余り待たせちゃうのも悪いし、それに折角点睛が“弱らせて”くれたんだし、ちゃちゃ〜っと――始末しとこっか、点睛?
――イエス、マイマスター・スヘミア
レム君とか、メイドさんが出てこない日が続いております。それほど長く続ける気はないはず、なのですが……(汗)
キスケとコトハの一問一答
「サジリカさんに言いつけますよ、師匠!」
「俺はまだ何も言ってねぇし何もしてねぇよ!!」




