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Wildfire-1


シリアスモード




「ぅ……ぁ……――」




突然現れたのはメイド服を着た、血まみれの女の子。しかも身体の“あちこち”が焼け爛れてしまっているという、一目見ても瀕死の酷い有様だった。


しかも現れたのがスフィア王城の、謁見の間のど真ん中。警備体制の有無やらその場にいた殆どの者が見慣れぬ酷い有様であるという事もあり、周囲は一瞬で騒音に包まれた。



そして周囲の混乱を無視して、片腕にこの国の新・女王様を貼り付かせている得体の知れない男と、少しくすんだ銀髪でメイド服姿の女だけが真っ直ぐ、突如現れた瀕死の女の子へと近寄って行く。




「おい、手当は出来るな?」


「はい、旦那様。お任せを」




「り、リッパー様! 無暗にそのような怪しげなやか――ひぃぃぃ!?!?」




瞬間、場の空気が凍った。


男の視線が、ただそれだけが混乱し、騒がしかったはずの謁見の間の雰囲気を一変させた。騒ぎに駆けつけてきたはずの衛兵ですら、謁見の間の入口で足を竦ませてしまっていた。




「リッパー、家臣の躾がなってないな」


「……申し訳御座いません、レム様。即刻あのモノに処罰を――」


「いや、それは良い。あれでも一応お前の身を案じたわけだからな」


「寛大な御配慮、感謝します、レム様」


「そもそも此処はお前の国だ。別に俺が指図するような事じゃ、ない」


「そんな、そのような冷たい事を云わないで下さい、レム様」


「一人でも、お前はやればできる子だ――そうだろう、リッパー?」


「……はい、レム様。レム様がそう仰るのなら、私は」


「良い子だ」





◇◇◇





一方で、



「サカラ様、お気を確かに。今、治します。――≪キリプス≫」



謁見の間を僅かに照らすその光に、先ほどとは真逆の意味で、場の空気が一変していた。



瀕死の――もっと言えば“ヒトの形をしていなかった肉塊”が、瞬く間にヒトの姿を成していく光景は、神の手による創造をすら思い起こさせる神々しいものだった。


謁見の間にいた誰もが――正確には男一人とその腕にしな垂れていた女王様以外のモノたちがその光景に見惚れてしまっていた。





◇◇◇





「……よし、ちゃんと一命は取り留めさせたか。それじゃあ――『喚起せよ』」



――アクセス……、接続、正常……、コード“喚起”……承認、システム≪Master≫起動、何なりとご命令を、Master



「特種指令だ――“即刻、来い”」



――認証……対象との空間の隔たりを確認、強制転移を施します…………、空間領域の不足を確認、拡張します、転移続行……、……、Compleate





『なっ!?』


『……ぇ???』



それは両者にとって驚きそのものだった。


一方が城にいた者たち――行き成り謁見の間の空間が“広がって”、そこに突如として奇怪な姿の――……何故か全員が違う種類のメイド服姿の少女たちが現れた。武器を手にしている娘も中にはいるわけだから、中には身を強張らせる者もいた。最も多くの者は状況の変化についていけず、呆けていただけだったが。


もう一方が突如現れた少女たち――緊迫した雰囲気をまとっており、彼女たち自身も何故自分がこのような場所にいるのか理解していない様だった。





「――どうかお静まりを。双方とも、どちらにも害のある事では御座いません」




『――』




「はい。皆様方、迅速にご協力頂き、ありがとうございます」


「おい、サカラは大丈夫か?」


「……旦那様。はい、問題御座いません。緊急でしたので、総て私が“復元”させて頂きました」


「そうか。なら悪いが、サカラの奴を起こせるか?」


「はい。それが旦那様のお望みとあらば、瀕死者に鞭を打ったとしても」


「なら起こせ。一応、聞いておく事がある」


「はい。――サカラ様、旦那様がお呼びです。即刻――起きなさい?」




「っっ!?!? おおお姉様申し訳ありませんですからどうか折檻だけはご勘弁――……あ、あれ?」




「サカラ様、お目覚めのところ申し訳ありませんが、旦那様がお呼びです。二の句言い訳は良いので、大人しく聞きなさい?」




「ひゃいっ!? ……ぉ、お姉様って、ここは一体――」




「――サカラ、素直に質問に“答えろ”。いいな?」



「……、――はい、マイ・マスター。お望みのままに」



「良し、いい子だ。……で、誰がお前を傷つけた?」



「申し訳ございません、マスター。私が至らぬばかりに……」



「サカラ、俺が一体いつ、そんな事を聞いた? いいか、もう一度聞くぞ。誰が、どこのどいつが、お前に、俺のモノに、手を出した? ――答えろ、サカラ」



「……不覚をとりまして、一瞬の事で確かな事は言えないのですが……」



「いい。答えろ」



「はっ。……あれは紅の男――恐らく彼のモノは、『燎原の賢者』ステイ――」











「――おい」


「はい、旦那様。我らは此処に」


「アレを」


「旦那様の望まれるがままに。既に準備は整えて御座います。旦那様のご命令一つで即刻、転移いたします」


「やれ」


「――はい、旦那様」


レム君、ただいまブチ切れ中。メイドさんもブチ切れ中。

……しばらくシリアスモード?が続いたりします。ご了承ください。



キスケとコトハの一問一答


「薬道とは何だ!」


「己の身を顧みない事です、師匠!」


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