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30. どれいと人質

〜これまでのあらすじ〜

リリアン姫様と灼眼の剣士ラライに迫られて、レム君最大のピンチ!? 救出しにきたリリアンに刃を向けられているのは何故だろう、と思わなくもない。


リリアン・・・攫われたはずの、アルカッタのお姫様。助けに来たけど、何故か楽しく(?)お茶をしていた。凄く強い。

ラライ・・・灼眼の剣士と異名をとる、凄く強い女性。でもボケ。アルーシアを目の前にしてからはボケ加減が酷くなっている?


アルーシア・・・愛称、アル。奴隷の女の子で、喋る事が出来ない? 何をしてもほとんど反応がないが、どうやら甘いモノが好きらしい。

レアリア・・・ツンデレとか言うヤツの、ツン100%、デレ-30%程の奴隷の女の子。


セミリファ&リン&マーサ・・・リリアン姫様救出隊、三人娘。居るはずだけど、今回セリフはない。

ネルファ・・・実はカトゥメ聖国第一皇女な、女の子。セリフはない、がリリアンの事をお姉様と言って過度に慕っている!?


マレーヌ・・・レムの奴隷、兼、本人はお目付け役のつもり。いろいろな事が出来る、実は結構メイドさんに近い万能な娘である。

サリア・・・マレーヌの親友(?)現在、置いてけぼり


スィリィ・エレファン・・・レム君の追っかけ……と言ってもいいと思うのです、一応

アイネ・シュタンバイン・・・スィリィの親友。『韋駄天』という超高速移動魔法が使える。

アレフ・・・名前だけ。実はアイネの彼氏。


「な、なあ二人とも。少し考え直してみる気とかって……やっぱりないかな?」





「さっきからちょこまかちょこまかと。いい加減当たりなさい、レム……」



「流石、レム様です。ですが、もうそろそろ観念しちゃってくださいね……」





「うおおおい、観念って何だラライっ!? それとリリアン、んなもの当たったら死ぬからっ、俺きっと即死だからっ!!」





◇◇◇





「でもレムの奴、逃げるのは上手いってのは知ってたけど……こうして見ると結構、いえかなり凄いわね」



「……」



「よくもまぁ、ここまでうまく逃げ回れると思うわ、本気で。ラライもあのお姫様も、私じゃ全然動きが追えないって言うのに……まったくもうっ、腹立たしい!」



「……?」



「ああ、ってこんな事をアルに言っても分かるはずないわよね。ゴメンね?」



「……(こくん)」



「あははっ、こう言う時に頷かなくてもいいのよ、アル?」



「……」



「って、これも言っても仕方ないかぁ。それとも、実はちゃんと解かってたりする?」



「……」



「ん〜、解ってたとしても、判断付かないわね、やっぱり」



「……(こくん)」



「それにしても、そろそろレムもやばそうよね。まあ知り合いみたいだし、恨み合ってるわけでもなさそうだったから、まさか本気なわけはない――」






「大丈夫ですわ。レム。要は避ければいいんです。もしくは反撃してくれてもいいのですよ?」



「……時々思っちゃうんですけど、レム様にお仕置きって必要だと思うんですよね、えぇ」



「いや待てお前ら、仮にも世界最強の一角だろうがっ。それが寄ってたかって……いいからあと少しだけ冷静に……! 頼むから冷静になってくれっ!!!!」



「「ふふふふっ」」






「……(こくん)」



「いえ、ね。アル、まだ何も言ってないから」



「……?」



「ま、まあ? 私からじゃ、どう見ても本気でレムの事を葬ろうとしてるようにしか見えないけど……」



「……(こくん)」



「多分本人たちには色々と通じ合う事があったりして、大丈夫……よね、たぶん?」



「……(ふるふる)」



「……ねえ、アル。やっぱりあたな、意味が分かってるんじゃないの?」



「……」



「こうして見ると惚けてるようにも見えるし、本当に何も分かってない様にも見えるのよねぇ」



「……」



「ま、正直あなたが私たちの言葉を理解してようがいまいが、私としてはどっちでもいいんだけどね」



「……(こくん)」



「それにしてもこの茶ば――……って、レムの奴、こっちに近づいて来てない?」



「……」



「ちょっとレムっ、こっちに来るんじゃないわよっ。やられるなら一人でやられなさいっ、あんたのとばっちりなんて御免被るわっ!!」





「っっ、そうか、その手があった――!!」





「て、え? え?? えぇ???」






◇◇◇






「待て二人とも!」



「……なにかしら、レム。今更命乞いをしてももう遅いですわよ?」



「いやリリアンっ。お前、今趣旨が完全に変わって――……、いや今は良い。今はそれでも良しとしておこう」



「それで? そんな子供を盾にして、殿方として恥ずかしいとは思いませんの、レム?」



「ふっ、正直俺としてもこの手だけは使いたくなかったんだけどな」



「恥じ入る心が少しでも残っているのなら、直ぐにその子を離しなさいな、レム」



「いや、命の危険に比べれば全く以て恥ずかしくないね。と、言う訳でちゃんと理解しているようだからヘタな言葉は敢えて言わないが、下手な動きは止めるんだ。いいな?」



「誰がそんな脅しに――、ラライ?」



「ふっ、リリアン、お前もまだ甘いな。俺にもよく分からん事情でこの脅し方が非常に有効な奴が一人だけいるんだよ」



「……ラライ、折角レムを追い詰めたというのに、どうかしましたの?」



「さあ、ラライ! ……分かっているよな?」






「――リリアンっ、覚悟ですっ!!」



「っ!?」



「私、やっぱりレム様に手をあげるなんていけない事だって考え直しました。だから悪いですけどリリアン、あなたを止めさせてもらいますっ!!」



「ラライ、貴女……思いっきり、脅されてますのね」



「そそそんな事ないですよー? 燎原の為なら火の中水の中っ、とやー!!!!」



「って、言っている事が無茶苦茶ですわ」



「ふふふ、今なら無茶の一つも超えられそうな気がするよ。そうだよね、灼眼?」



「だから、貴女さっきからどちらに話しかけて――っ!」





「ほらリリアンー、ラライ相手に油断すると一瞬でやられるから気をつけろよー?」





◇◇◇





「……あんた、前々から思ってたけど、やっぱり最低ね」



「…………(じー)」



「何だよ、レアリア。ならお前はこれ以外の、これ以上の手があったとでも言うつもりか。W.R.第四位『灼眼の剣士』と第五位『掌握の戦姫』二人を同時に相手にして、それでも今以上の手があったとでも?」



「ま、まあ、それは認めないでもないけど……でもアルを、こんな小さな子を盾にしなくてもいいじゃない。まさかあの二人だって本気でレムの事を殺っちゃおうとしてたわけでもない、……ないのよね?」



「…………(じー)」



「いや、正直あの眼は本気だったと思うぞ。つか、俺の事なんて途中から絶対気にしてなかったな、あいつら」



「……それでよく生き残ってるわね、あんた」



「…………(じー)」



「逃げるのは得意なんだ、と言う事らしいぞ?」



「らしい、って。自分の事でしょ。どう言う意味よ?」



「…………(じー)」



「さて? 口が悪くて態度が無駄なほどでかいメイドにそう言われただけだからな。俺としてはそんな事はないと思うぞ、と言っておきたい」



「……そのメイドってどれだけ性質が悪いのよ。って、どうせレムの妄想か何かなんでしょうけど」



「…………(じー)」



「いや、妄想じゃないって。……まあ、仕事はヒトの百倍以上は軽く出来るし、ああ見えて可愛いところもあるから別に性質が悪いってわけじゃ……悪いってだけじゃないんだけどな」



「あのね、レム。妄想もそこまで行くと、流石に引かれるわよ? ちなみに私はすでに引きまくりだから、今更取り繕っても遅いわ」



「…………(じー)」



「いやな、レアリア? と言うよりもどうして俺の言う事を信じてくれない?」



「だって、レムの話に何度か出てくるけど、そのメイドとやらってあんたの下劣な妄想でしょ?」



「…………(じー)」



「――ふっ、その言葉をあいつに聞かせてやりたいものだ」



「まあ、そんなあんたの妄想話はいいとして。逃げ足、十分に速かったと思うわよ?」



「…………(じー)」



「そうか? ……ところでレアリア、ひとつ聞いてもいいかな?」



「ええ、何かしら、レム?」



「…………(じー)」



「……こちらのアルさん、何か怒ってないかな?」



「ええ、たぶん怒ってるんじゃないの。何となく、雰囲気的に?」



「…………(じー)」



「だよな、うん。目が据わってる気が心無しするし、なんて言うか、雰囲気的に?」



「ええ、雰囲気的に」



「…………(じー)」



「俺、何か機嫌を損ねるようなことってしたかな?」



「もう忘れたの? 思いっきり盾に使ってたじゃない。あんな事されちゃ、誰だって機嫌の一つや二つ、ましてやレムにされたんじゃ五つや六つくらいは損ねるでしょ」



「アルっ、全面的に俺が悪かったっ!! でもな、あれは仕方ないんだ。いや、あの二人相手にしてたら誰だって死ぬってっ。アルもそう思うよな、なっ?」



「…………(じー)」



「効果、ないみたいね?」



「そんなっ!? アル……アルーシア、どっ、どうしたら機嫌を直してくれるかな?」



「…………(じー)」



「さあ? 案外飴の一つでもあげたら直りそうな気がするけど?」



「そうかっ、。……ほら、アルーシア、飴だぞー」



「…………(じー)」



「ああ、そう言えば飴はラライからいっぱい貰ってたわね」



「そう言う大事な事は早く言えよっ!?」



「…………」



「いや、ごめんね。忘れてたわ」



「くっ、仕方ない。それなら飴じゃなくて……ほら、クッキーはどうだ? 甘くておいしいぞ〜?」



「…………」



「反応、ないわね?」



「くそっ、これでも駄目なのか。なら――」



「…………」



「って、あんた一体いくつ甘いもの常備してるのよ?」



「そりゃ当然、アルが満足するだけだ」



「…………」



「――今気づいたけど、あんたってアルに随分と甘いのね?」



「何だ、レアリア。アルにばっかり優しく接してるからって、やきもちか?」



「…………」



「何処をどう聞いたらそう言う事が言えるのか、正気を疑うわ。そんなわけないじゃないの」



「そうツンケンと、照れ隠しする必要はないぞ?」



「…………」



「ええ、そうね。――心底、アルに同情するわ」



「それってどういう意味だよ、おいっ!?」



「…………」



「そのままの意味よ、そのままの。で、結局今持ってる……その黒くて苦そうな塊? も反応ないわね」



「これは“ちょこれーと”と言って前にアイツから造り方を……て、くそぅ、まさかアルが此処まで機嫌を損ねるとは。こうなりゃとっておきを……って、あれ?」



「…………」



「どうかしたの? 遂に今までしてたのが自分の一人芝居だったって事実に気がついた?」



「そんな事はない。そんな事はないはずだ。……じゃなくてだな、アルの奴。ほら、ちょっと耳を澄ませてみろよ」



「耳? それが一体どうし」



「いいから、ちょっと耳を澄ませって」



「ええ、まあそこまで言うのなら……」



「…………(すー、すー)」



「って、もしかして寝てる?」



「ああ。反応がないのは相変わらずだけど、多分な」



「つまり、正真正銘あんたの一人芝居だったわけだ、今までのは」



「ぐっ、た、確かにそうなるな――、ちょっと待て、レアリア」



「レム? どうかし――」







「――主様」







「マレーヌか」



「っっ!? こ、この子何処から……」



「レアリア、少しだけ黙ってろ」



「なっ、何を――」



「マレーヌ、至急の用事か?」





「はい。情勢が変わりました」





「情勢が……って、お前がそう言うって事はアルカッタとカトゥメの事だよな。ったく、折角リリアンも救出出来た――かどうかは置いておくとして、今回の騒動の原因にも会う事が出来たってのに、――どういう事だ?」





「進軍を進めていたアルカッタの軍が急所撤退を始め――将の一人に尋問をしたところ、首都が陥落した、と。軍や周辺の街の混乱の程度から考えて、まず間違いない情報かと思われます」





「「……は?」」



「……(すー、すー)」



「あー、済まん、マレーヌ。もう一度言ってくれ」





「アルカッタの首都が、陥落いたしました」








「「「「「「……、――何だってっ!?」」」」」」







◇◇◇




「……、あはっ♪」



「あはっ♪ ――じゃないでしょ、スィリィ!?」



「いや、でもね、アイネ〜。つい勢いで……ほら、そう言う事ってあるじゃない?」



「勢いで一国のお城を壊しちゃうヒトなんていないよっ!?」



「ゃ、でもやっちゃったものは仕方ないじゃない。ね?」



「ね、ってそんな可愛らしく言っても駄目なんだからねっ!?」



「それもこれも全部、あの憎きレム・スタンピートが悪いのよ。ええ、そうに違いないわ」



「スィリィ、それってもう二日前の事、それに完全に逆恨みだし……」



「と・に・か・くっ、全部、いつも、いっつも! 私の前から逃げだすレム・スタンピートが悪いのよっ!!」



「……でも、レムさんが逃げるのって、スィリィが攻撃しちゃうから、とかじゃないのかな?」



「……、あいつが全部悪いのよっ!!」



「スィリィ、気持ちはちょっと分からなくもないけど、それはちょっと苦しいと思うよ?」



「とっ、兎に角っ、アイネ、レム・スタンピートの居所はちゃんと追跡できてるのよね!?」



「あ、うん。それは……アレフがちゃんと追っててくれると思うし、大丈夫なはずだよ」



「それじゃあ、レム・スタンピートを追うわよ」



「……お城、どうする気なの?」



「ばっくれちゃダメ、かな?」



「此処までの被害出しておいて、それはダメでしょ」





「――ああ、その通りだ。このまま無事に帰れると思うなよ?」





「……私、ゴミには興味ないのよ。賞品も逃げちゃったし、相手をするのも面倒だわ。今すぐ私の目の前から消えるなら、赦してあげる」



「って。ちょっ、スィリィ!? 良く見たらこのヒト、フィン・マークス様じゃないの!?」



「ああ、そんな名前のムシだった気もするわね」



「フィン・マークス様って言ったらW.R.第十位の、『豪拳』なんだよっ!?」



「――だからどうかしたの?」



「だから、ってスィリィってばっ!! W.R.保持者に敵うわけないじゃないっ、早く逃げなきゃ……!」



「――なんで? そもそも、レム・スタンピーとをみすみす逃がしたのだって、このゴミが邪魔したせいなのよ? 見逃す事こそあれ、どうして私が見逃されなくっちゃいけないの?」





「――ふんっ、二日戦い詰めだったってのに、まだそれだけ威勢のいい言葉を吐けるか。その根性だけなら、買ってやってもいいんだけどなぁ……お前、やり過ぎだぜ?」





「あんたこそ、自分がしでかした事の重大さをその低脳で理解して――」



「スィリィ!! そんなバカなこと言ってないでっ、早く逃げるんだってばっ!!」



「ちょ、アイネ、引っ張らないで――!?」





「はっ、今更テメェらを黙って逃がすと思うなよっ!!!!」





「でも逃げさせてもらいますっ、スィリィ、行くよっ!」



「ちょっとアイネ、待っ」



「――ごー!」





「――、消え、た? ……、ちっ、逃がしたか。けど、まあ素直に逃げられると思うなよ」


結構登場人物が増えてきたなぁ、と思う今日この頃。

前書きが次第に長くなっていく。


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