ど-300. ユメノオワリ
……意味深な
「ん〜!! ってなわけで早速ひとつ聞きたいんだけど、良いか?」
「何でございましょうか、旦那様」
「これってどういう事だ?」
「どういう事とは、どのような事を指されておいででしょうか?」
「どれも何も、今ある現状全部」
「……此処にある現状全て、その通りの意味では御座いませんか。それとも今更惚けられるおつもりですか? いえ、この状態で惚けるとは、我ながら上手い事を言いました」
「お前、何か怒ってる?」
「いえ。微塵たりとも、そのような事は」
「そっか。ならいいけど」
「ですが一応お尋ねいたしますが、その腕に付着しておられるリッパー様は如何なされたのですか?」
「如何も何も遇うなりコレだ。押しても引いても離れない。尤も、俺の方も別に離す気はないけどな」
「……今、また一段とリッパー様のお顔の緩み加減が酷くなりました」
「ふふっ、人気者はつらいな」
「この場合においては、旦那様のそのお言葉は真に正しいかと。周囲の視線に気づいておられますか?」
「ああ。嫉妬だな。まあ、今を輝くこの俺の存在に嫉妬するのは仕方のない事なんだけどなっ」
「戯れではなく、暗殺の可能性も御座いますのでお気を付け下さいます様、お願いいたします旦那様」
「暗殺の一つや二つ、五つや六つでも持ってこいて言うんだ。その程度で俺を殺れると思うなよ」
「私としましては、刺客が女性の方であった場合など非常に不安なのですが……」
「問題ない。その場合は逆に俺の魅力で落として見せるから」
「そうですか。では旦那様のそのお言葉を全面的に信用させて頂きましょう。では常時私が旦那様の言動ついでとして深層心理も見張っておく、と言う事で宜しいですね?」
「よくねぇよ。てか、言ってる事としようとしてる事が違ってないか? むしろ全然俺を信用してないだろ。深層心理まで見張るってどれだけ信用がないんだよ、俺って」
「その様な事、あろうはず無いではありませんか。旦那様の事は存在以外は何よりも深く信用しておりますとも」
「なら、いいんだけどな……」
「では真に残念ではありますが、旦那様の表層および深層心理を見張るのみに留めておく事に致します」
「それが一番性質悪いんだよっ!? ……つーか、それって可能なのか?」
「可能か不可能かと問われれば、可能であるとお答えいたしましょう」
「……ちなみに今まで見張ってたとかいう事は?」
「旦那様の名誉にかけて、御座いません……と、お答えしておきましょう」
「微妙に不安になる答えだな。過去の俺の名誉も合わせて」
「心配為されずとも大丈夫です、旦那様。……それとリッパー様、そのように目を輝かせて見詰められましても、お話しできる事は何一つありませんよ?」
「絶対、何も話すんじゃねぇぞ?」
「話しませんとも。そもそも、私は旦那様の心理状態を見張った事などない、と一応申し上げたではありませんか」
「その一応、と取ってつけて言ったような言葉に一抹の……いや凄い不安を感じずにはいられないのだが?」
「おや、今のが取ってつけた言葉であるとご理解いただけますか」
「本当に取ってつけていたの――、」
「……旦那様? 如何なされ――」
「……そうか。それがてめぇの答えか――ステイルサイト」
満を持しての、ご登場?
旦那様の一言
「――あぁ、そうか。結局お前はそう言う奴ってわけだな」




