ど-29. 日常
日常風景ってさ、何気ないけど大切なものだよね?
…これを読んだ後でも同じ事が言えるといいね。言えるさ、きっと。
「ぐはっ!?」
「旦那様、大丈夫で御座いますね?」
「い、いやお前……どう見たら大丈夫に見える?」
「血反吐をお吐きになられ実に優雅にご朝食後の死直前とも見間違おう痙攣と青紫色の血色の大変よろしくない顔色はいつもどおりのことですがそれが何か?また旦那様に置かれましては少々お休みを取られた方がよろしいのではないか、と僭越ながら申し上げる所存で御座います」
「おま、お前が言う…か、それを……がくっ」
「ご自分で倒れられる際の台詞をお言いになられるとは流石余裕ですね、旦那様」
「……慣れと言うものは、つくづく恐ろしいものだな、ぐはっ!?」
「私の正直な感想を申し上げますに、血反吐をお吐きになられながら仰られるお言葉としては少々不適切かと思われます。あと、当然の事でございますがお汚しになられた床はご自分できれいになさいますよう」
「い、言うことはそれだけ、かっ?」
「では、ご朝食を残さずお食べになられますよう、お願いいたします」
「無理っす」
「仕方ありませんね。旦那様が頭を平に押し付けてどうしてもとそこまで申し上げるのでしたら私としても些か考えなければなりません。と、言うことで旦那様のお望みどおり私が手ずから食べさせてあげましょう、との結論に達しました。あーん?」
「お前は俺に死ねと?」
「何の事でしょうか?私といたしましては単にこの朝食を旦那様が食べてくださるよう、誠心誠意の真心を持ちましておもてなしいたしているだけで御座いますが。またファイさまのおつくりになられましたご朝食を食すのみで死ぬなどとそのような大事にする必要などあるはずも御座いません。御座いませんが――旦那様の価値以上はありましょう」
「………」
「何事でしょうか。………はぁ、“以前は喋っている隙に食べされられたから今回は口をあけないことにしている”ですか。それは大変、ご苦労な、そして実に無駄な努力で御座いますね、旦那様」
「………」
「いいえ、旦那様。御託はもうよろしいのです。私が申し上げたいのはただのただ一言だけ――食え、と」
「………」
「………」
「(ぶんぶんっ)」
「(じー)」
「(ぶんぶんぶんっ!!)」←もう涙目
「えい」
「ん゛〜!?_!?」
「おや、旦那様。先ほどお起きになられたばかりだというのにもうお休みで御座いますか?」
屍は語らない、と言うやつだ。
本日の一口メモ〜
次第に耐性はつきます。何の耐性がつくのでしょうか?
けど敵?も然る者ですから、日々腕に磨きを掛けて?います。
『龍種』について
龍種の初代は女王様である。名前は『ルーロン』。正確は大胆不敵で大雑把、思慮深く?口より先に手が、手より先に足が、足より先に頭突きが出るようなお人である。ただその際、必ず相手に対して防御用の魔法を使用するので痛い思いをするのは自分だけである。
他のものたちからは『るーちゃん』『ロンちゃん』などと言って慕われていたらしい。だが『女王様』などとかしこまった呼び方をすると問答無用でビンタを繰り出してくるとかなんとか。その後のセリフは決まって
「女王様とお呼び!」
何考えているのかね、このヒト?
最終的にはある一事が神様の怒りを買って、無抵抗のまま滅ぼされる。
*この資料は過去の文献より推測したものである。正しい記述ではないのは勘弁願いたい。
まぁ、九割が当ってるけどネ?