ど-273. 必殺技って素敵な響きです
必ず殺す技、つまり殺しにしか使えない技を必殺技と言う。
「必殺技がほしい」
「行き成りなんですか、旦那様。頭がおかしく……は元からですし、何かおかしなものでも食べましたか? 拾い食いはあれほどダメですと申し上げておりましたでしょうに。お忘れになられるとは困ったお方です」
「いや、忘れてないぞ? それに拾い食いなんてしてないし。精々、非常に怪しげなお嬢さんが俺へ愛憎のこもった手料理を送り届けてくれたくらいだ」
「それでそのお弁当とやらはどうなされたのですか?」
「当然食べたに決まってるだろう? お嬢さんがわざわざ俺の為に作ってくれたものを食べないなんて選択肢、あると本気で思っているのか?」
「いえ、そうで御座いますね。旦那様は――少なくとも今の旦那様はそのようなお方で御座いますね」
「ああ、どくと分かっていてもお嬢さんからの贈り物ならばあえて食うのが俺の流儀だ」
「厄介な流儀ですこと。それで旦那様、話を戻しますが必殺技がほしいと仰られていましたが、如何なされたのですか?」
「うん、天啓が下りた」
「……シャトゥではありますまいに」
「いや、天啓って言うのは流石に半分ほど冗談だけどな。必殺技って言ったらやっぱり男なら一度は憧れるモノだろう?」
「そうなのですか?」
「そうだよ、そうに決まってる。お前だってそう言う経験、あるだろ?」
「それは侮辱ですか侮蔑ですか? それとも素でお尋ねになられているだけで御座いましょうか?」
「侮辱だ侮蔑だなんて、俺がそんな口汚い事を言うはずがないだろう。単に聞いてみただけだぞ?」
「……そうですね、必殺技、ですか」
「ああ、地度は欲しいって思った事、ないか?」
「御座いませんね。私には必ず殺す技などと言う不便極まりないものなど必要御座いませんので」
「何言ってるんだ?」
「何を言っている、とはどのような意味で?」
「そんな、必ず殺すなんて物騒な事言うもんじゃないぞ」
「必殺技がほしいと旦那様が最初に仰られたのでは御座いませんか。すでに完全に忘れておられるとは流石旦那様。開いた口を完全に塞がらなくして差し上げましょうか?」
「例えばお前の唇でずっと塞ぎ続けるとかか? ……ふむ、それならいいぞ、むしろ受けてたってやろう。さあこいっ、今来いっ、躊躇わず、恋っ!?」
「では旦那様。――指先一つで花畑を見たいですか?」
「花畑?」
「ええ、三途の川のほとりに割いている花畑はそれは美しいらしいですよ? 一度見てこられてはいかがでしょうか?」
「三途の川って、聞いた事がない川だな。何処にあるんだ?」
「さて、旦那様の心の中にでも存在しているのではないでしょうか?」
「そうか、俺の心の中、か。それはさぞや綺麗な花畑なんだろうな。でも、残念ながら今はお前の勘違いを訂正する方が先だな」
「勘違い? 私が旦那様に指摘されるような勘違いをしていると、よりにもよって私は旦那様にそのような屈辱的極まりない事を云われてしまうのですか?」
「ああ。俺は必殺技がほしいって言ったけど、必ず落とす技、って書いての“必殺技”だ。これさえあれば世界中のお嬢さんを落とす――もとい、救うのも容易い」
「……必堕技、と言いますかまさか旦那様からそのような事を聞かされるとは。シャトゥではありますまいに」
「そう、シャトゥだっ。シャトゥを探すついでに必ず落とす技と言うまさに神をも恐れぬ御技を教えてもらおうと思ってな。それさえあれば正に素敵な俺は百万人力、いやそれ以上だっ!」
「正直呆れてモノも言いたく御座いません」
「しっかしつくづく不思議なわけだが。どうして世界中視てるはずなのにシャトゥの奴を発見できないかな?」
「それがシャトゥですから」
「ま、それを言っちゃお終いなんだけどな。んで、最近の調子はどうだ? 大丈夫か?」
「今の私を見て旦那様が大丈夫と判断なされるのでしたら、大丈夫なのでしょう」
「……そうか、ダメって事か」
「……えぇ、はい。それはもう」
「綺麗な髪は汚れに汚れて、服はズタボロ、表情は無表情――」
「仰らないで下さいませ。改めて現状を見つめ直すと大変惨めになります。それと最後の無表情は関係ありません」
「あれ、そうだったか?」
「はい。これは――表情がないのは元よりです」
「ぅしっ。それじゃ、根性も気合も入ったところで、もう一度シャトゥの奴を探し直してみるかっ」
「旦那様、なにとぞ、よろしくお願い申し上げます」
「応っ、俺に任せておけっ!!」
「……旦那様にのみ任せる事が出来たのでしたら、それはどんなに喜ばしい事か」
何か流石に書く事がない気がしてきた今日この頃。ついでに話の流れ的なモノを考えるのもちょっと嫌気がさしてきたり?
まあどうでもいいかそんな事。……ちなみにここには思いつくままに書いてるので自分でも何書いてるのやら。
もっと派手なアクションが欲しいっ! ……ってのは流石に無理がありますなぁ。
為にならないメイドの小話
「必ず落とす技、と言うのは要は絞め技の事なのでしょう? 決まれば、必ず相手を落とせます」