ど-269. 切なる願い、かもしれない
かもしれないとは偉大な言葉。
ぼやかし、ともいう。
「なあ」
「……はい、何用で御座いましょうか旦那様」
「あのよ、なんだか俺たち凄く注目されてないか?」
「旦那様の幻覚では御座いませんか?」
「いや、そんな事はない。……と、言うyとりも俺から見てもやっぱりお前、目立ってると思うぞ」
「旦那様に目立つ、と言れた私は喜べばよろしいのでしょうか?」
「いや、その前に一度綺麗にした方がいいぞ」
「綺麗にした方がいい、などとそれではまるで私が汚れているようでは御座いませんか」
「……汚れてるだろう?」
「――どの辺りがでしょうか?」
「辺りも何も……全身?」
「旦那様、私は思うのです」
「ああ、何をだ」
「綺麗に着替えてもモノの一瞬と保てないのでは、着替える意味はないのではないのか、と私は思うのですが、旦那様はどのようにお考えなのでしょうか?」
「……ああ、うん。確かにその通りだよな。ちょっと数えてみたところ一日に86400回以上酷い、というかヘンな目に合ってるもんな、――現在進行形で」
「私を少しでも哀れに思うのであれば御助力下さいますようお願いいたします旦那様」
「え?」
「……、何か、ひどく絶望した様な心持で御座います」
「いやだってお前、それってワザとやってるんじゃないのか? 無駄に体張ったギャグかましてるなぁ、とは思ってたけど」
「旦那様ではないのですからそのような不毛な真似は致しません」
「そうなのか。……と、言う事は今までの事って全部本当に起きてた事なのか? 最近、日に一度は剣やら槍やら矢やらがお前限定に降ってたり、見た事もない動物たちがお前限定でじゃれついて来て去った後には意味不明な体毛で酷い有様になってたり、突風がいきなり吹いて枯れ枝やら草やら近寄りたくないものとかがお前限定にぶつかってきたり、日に百度は何もない所で転んだりとか、他にも色々……」
「……非常に切なくなります、旦那様」
「俺が慰めてやろうっ!!」
「遠慮します」
「遠慮はいらないぞ?」
「結構で御座います。慰めて頂くくらいならば、むしろこの現象を何とかしてくださいませ」
「何とかと言われてもなぁ……特に何かしらの不穏な動きとかも感じられないから、あくまで偶然起こってる事だろうし、お前自身が気をつけるしかないんじゃないのか?」
「それだけで解決してくれるのであればどれほど気が楽な事か。気を張るだけで良いというのでしたら一日と言わず、一年は続けられる自信が私には御座いますが?」
「お前がそこまで言うほどとは……つまり気をつけるってだけじゃダメなわけだ」
「はい」
「なら、どうするかねぇ」
「どうにかしていただけるとありがたいです」
「ん〜、じゃあ考えておくとして、今日の所は、だ」
「はい?」
「さあ、お手をお嬢さん? 如何なる災厄からも俺が身を以てして護ってあげるよ」
「……宜しく、お願いいたします。旦那様」
「応、任せておけ」
後書き、と書いてあとがきと読む。……そのままか。
何となく言ってみたり、と言うより思いついた事をそのまま書いてみる。
――革命じゃ!!
革命と言えば、饅頭がよく似合う……いや、意味が分からなくなってきたので止めましょう。意味はないのですよ?
為にならないメイドの小話
「護ってください。そして護ります――ありとあらゆるナニモノよりも」