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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o ご主人様の暴走
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ど-250. “お”のつく買い物

この物語はあくまで淡々と続く日常を綴っているだけのお話です。

山なし、谷なし。過度な期待はしないで下さい。


「買い物に行こうっ!」



「はい、旦那様。ですが何を買いに行かれるのですか。槍ですか、毒ですか、それとも裏をついて……媚薬、などでしょうか?」



「それは店に行ってから考えるとしよう」



「そうですか。ではどちらの店舗へと向かわれるのですか? ……やはり裏路地へ」



「ん〜、服屋とか?」



「服屋、ですか。しかしながら旦那様」



「なんだ?」



「何故、私を見ながら仰るのでしょうか?」



「そりゃお前の為に買ってやるからだろ?」



「私に服を? 旦那様に買っていただけるので?」



「当然だろ。俺から誘ったんだからな」



「そうですか。ではこれは夢ですね」



「何でそう思うんだ?」



「何故も何も、旦那様にそのような気の利いた事は天変地異が起ころうとも世界が滅びようとも神が降臨しようとも旦那様がおかしな世界に旅立とうとも在り得ません」



「随分と酷い言われようだな。と、言うよりも服の一つもかってやれない様じゃ男として終わってるな、そいつ」



「そうで御座いますね、確かに私の目から見ましても男性として如何なものかと。……ちなみに旦那様の事を申し上げたのですよ?」



「ふっ、それはあくまで“過去”の俺の話だな。覚醒した俺は以前とは二味も五味も違うぜっ!!」



「その通りに御座いますね。料理の味付けで言えば調味料を入れ過ぎた状態でしょうか。味なだけに」



「上手い事言うなぁ。そう、まさに俺は今味の革命を起こしているっ!!」



「さて、旦那様。……では服屋以外のどちらに参りましょうか?」



「……ん? 服はいらないのか?」



「いえ、旦那様に買っていただけるというのであれば大変嬉しく思う、思いはするのですが」



「なら何か不満なのか? それともお金の心配でもしてるのか?」



「いえ、旦那様の懐事情は完璧に把握しておりますので金銭に関する心配は一切しておりません。そうではなく……そうですね、たとえば旦那様は私にどのような服を選んでくださるつもりだったのでしょうか?」



「ドレスだ」



「ドレスですか」



「ああ。お嬢さんと言えば万人が一度はお姫様――もとい、綺麗な服に憧れるのはもはや世の理、真理と言っても差支えない」



「そうですね。旦那様が仰られる事ながら、その点につきましては敢えて異論は差し挟みません」



「だろう? と、言う訳でドレスを買ってやるつもりだった。真っ白でふわふわのヤツ」



「真白のふわふわ、……で御座いますか。そのようなモノ、私に合いますでしょうか?」



「お前なら何を着たって似合うから大丈夫だろ?」



「お褒め頂きありがとう御座います。しかし、そうですね。確かに私は何を着ても似合ってしまうので問題は御座いませんが。そう言う事ではなく、世間一般ではなく旦那様のご趣味に合うでしょうか、とお尋ねいたしました」



「俺の趣味?」



「はい。例えば服の一部を弄ると全ての生地がバラバラになってしまう仕掛けを施してあるか、または服の一部だけが露出可能になっている、など。そのような細工の施してある服なのですか?」



「いや、そんな趣味は俺にはないけど」



「ちなみに今私が着ております給仕服にも今申し上げた仕掛けは備えております」



「マジでっ!?」



「はい。全ての生地をバラバラにするのは此方の帯を引っ張っていただければ宜しいのですが、お試しになられますか?」



「ああ、してみよう。……本当にしていいのか?」



「はい、旦那様でしたら。ではどうぞ、遠慮なさらずに」



「で、では……って、実は引っ張っても何も起きなかった、馬鹿みたい、とか言わないよな?」



「私の言を旦那様はお疑いになるので? それは真、哀しい事に御座いま――」



「いや、そんな事はない。ああ、そうだな。俺が信じなくて誰が信じるって言うのか。……それじゃあ、引っ張るぞ。本当にいいんだな?」



「はい。躊躇わず、一気にお願いいたします」



「ああ。それじゃあ――っ!!」



「きゃ……――と、この様に見事にバラバラになります」



「……ああ、確かにバラバラになったな。でも服の下に更に同じ服を着ているとは――やるなぁ」



「流石に街中、そして人前ですので。旦那様には御座いませんが私には羞恥心と言うモノが存在しておりますので」



「まあ当然だな。第一、街中で裸に引ん剥くとか、俺がお嬢さんに害のあるコトをするはずがない」



「……本当でしょうか?」



「疑うな。まずは信じろ」



「では言葉でだけ、旦那様を信じた事にしておきます」



「ああ、分かった」



「……それで旦那様、どちらに向かわれるのですか? まだ服を買っていただける、と仰るのでしたら仕立て屋に向かう事もやぶさかではないのですが、」



「ん〜、そうだな……と、言うよりもわざわざ何処に向かうとか決めなくてもいいじゃないのか?」



「と、仰いますと?」



「二人でお店を見て回るってだけでも、ほら、楽しめる事とか色々とあるだろ?」



「冷やかしですね。はい、分かりました。二人、全力で冷やかしましょう、旦那様」



「いや、そう言う事じゃなくて、」



「――と、言うのはさすがに冗談で御座いますが。そうですね、では旦那様の仰られるように、特に目的も決めず街中を徘徊する、と言う事で宜しいでしょうか?」



「ああ。……ちょっとデートみたいだな」



「――はい。“お”のつく買い物で御座いますね、旦那様」




ちょっと悪戯好きな、メイドさん。



とあるお嬢さんの寝言一句(+アルーシアの溜息)


「良いではないか〜、よいではないか〜……って、レムと一緒に遊びたい」


「買い物……でーと、……ぐすっ、どうせ私なんて、私なんて……小さな“おまけ”でしかないんです〜!!!!」



追記:

一応、サブタイトルっぽいものとして

ど-XXのシリーズが「ご主人様の日常」

XXのシリーズが「どれいとご主人さま」

その他が番外編「周囲のヒト達の憂鬱」

と、言った感じのものがあったりする。なんとなくだけれども。


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