ど-239. ……反省中
旦那様、お嬢さんを悲しませて(?)ただいま反省中。
「旦那様、何をなさっておいでなのでしょうか?」
「見て分からないか?」
「牢屋に入っております」
「ああ。お嬢さんを悲しませてしまったからな。反省の意味も兼ねて素直に牢屋に閉じ籠もっている」
「ちなみに死刑は明朝だそうです」
「そうか、俺の命も明朝までって事か」
「ええ。このまま何もしなければ、と言うただしつきではありますが。それで旦那様、旦那様は一体何をしでかしてしまわれたのですか?」
「何と言われても。突っ込んできた可憐なお嬢さんを危なくないように優しく抱きとめてあげただけだぞ。それとも何か、お前は俺を疑っているのか?」
「いえ、旦那様の事は誰よりも何よりも――私自身などよりも深く理解しそして信じておりますとも。……だからこそ、この様にお尋ねしているのですから」
「それにしても死刑ってのはいくら何でもやり過ぎじゃないのか?」
「そうとも限らないのでは御座いませんか? 何せご自身の性癖……この場合は同性間の睦み事を目撃されたという理由でチェイカ様に殺し屋を差し向けるほどですので」
「ふう、やれやれだな。自分の趣向を隠そうとするのは間違ってるし、そもそも何もかもが間違ってる。お嬢さんなら俺に惚れるべきだ。そうは思わないか?」
「……旦那様はもう少しばかり、ご自身すらも疑われた方がよろしいかと。ああ、ご自分でさえ疑っていらしたあの頃の旦那様が懐かしゅう御座います」
「兎に角、間違ってるのならちゃんと更生させてやらないとなっ!」
「それがどのような方法によるものかをお尋ねしてもよろしいでしょうか?」
「ん? 力ずくでとか?」
「それでこそ鬼畜王であられる旦那様かと」
「いや、冗談だから。そんなお嬢さんを悲しませる事は俺は死んでもしない」
「問題御座いません。今の旦那様の事ですので、結果的には全てが良い方向へと収まっている事でしょう」
「そう、か? ……それならいいのかな?」
「はい。……むしろここで一発ガツンと後悔なさってくださるようなら、後々に渡りまして私としましても気が楽なのですが」
「いや、やっぱり駄目だな。そんなのは俺の取る方法じゃない。俺は俺の方法で、ちゃんとあのお嬢さんを更生させて見せるさっ」
「そうですか。それではご尽力くださいませ」
「ああ。っと、そう言えばお前はどうやってここに入ってきたんだ? やっぱり潜入か?」
「いえ。正面の門より入りました所、『貴女は女神ですかっ、それとも理想のお姉様ですかっ!?』との歓迎を受けた結果、悠々と此処まで参りました。ちなみにこの後にサイフォン様――あぁ、旦那様が更生させると仰っているお嬢様のお名前ですが、に夕食に誘われております」
「――ふっ、今回はお前がライバルか。いいだろう、受けて立とう!」
「では私の方で辞退させて頂きます」
レム君は今覚醒中です。ので反省する方向性も何もかもが大いに間違っている。間違いまくっている。
さて、ところで↓の寝言二名はどちら様のでしょうね?
とあるお嬢さんの寝言一句(+アルーシアの溜息)
「むー、れむ、後でお仕置き決定……なんだからぁ……むにゅむにゅ」
「力尽くなんてそんな……私、まだ心の準備が――あぁ!?」