DeedΣ. サラサ&アイシャ-2
ちょっと説明調。
「それではサラサ様のご容体について説明をさせて頂きたいと思います」
「そうよっ。こいつが薬を食べさせた……呑ませた? って言ってたけどそれ本当に大丈夫なんでしょうねっ!?」
「はい。それについては一切のご心配は杞憂であると、旦那様の御名に誓い保証致しましょう」
「……いや、あんな奴の名前に誓われても困るんだけど」
「心配には及びません。そしていざと言う時の全責任は旦那様が負いますのでご安心を」
「……それは当然の事でしょ?」
「そうで御座いますね」
「それで? あなたが責任を全く負う気がないってのは判ったから、サラサの容体はどうなってるのよ?」
「いえ。私が責任を負う気がないなどと、そのような無責任な事は断じて御座いませんが」
「いや、貴女さっきから自分が責任を負う、なんて一言も言ってないじゃない」
「それは即ち私の責任は旦那様の責任であり旦那様の責任は私の責任でもあると言う事なのですが、今ここで論じる様な事ではないので良しとしましょう」
「……何かよく分からないけどそんな事はどうでもいいのよ。それよりもサラサは? 大丈夫なの?」
「ではサラサ様のご容体の説明を。サラサ様が侵されている病魔は主に二つ」
「ふたつ?」
「はい。一つは“冥了の涙”。通称『死の厄災』と呼ばれている不治かつ致死の病です」
「なっ!?」
「ちなみにそちらの方は旦那様が渡された愛情入り特製団子により既に根絶されているはずですので心配には及びません」
「って、貴女たった今不治の病って言わなかった?」
「通常であれば、と言う意味でですね。真面目な方向に力を割いていること限定の旦那様に掛かれば不治の病と呼ばれているモノを完治させる事など造作もない事に御座いますれば」
「と、とにかく。サラサは助かった、と言う事でいいのね?」
「ええ、そうですね。アイシャ様にはそれだけご納得していただいていればよろしいかと」
「……そうね。ええ、分かったわ」
「そしてサラサ様が侵されているもう一つの病の名が、ぽっくり病」
「はあ? 何その変な名前。ふざけてるの?」
「いえ、ふざけてなどはおりませんよ? 誰が名づけたか覚えてはおりませんが、そのような名の病気なので御座います」
「……まあ、良いわ。病気の名前なんてどうでもいい事だしね」
「では続けさせていただきますが。ぽっくり病の方がまだ手つかずの、サラサ様の治っていない御病気と言う事になります。ちなみに厄介な事にこちらも不治の病とまではいかないものの相当に厄介な病には違い御座いません」
「――それで? 治す方法は知ってるって言ってたわよね。本当なの?」
「ええ、それは当然。薬の材料と調合率は私も存じておりますので旦那様に聞く必要も御座いません。それはご安心くださいます様」
「そう。……ならその薬の材料って言うのは何? 今すぐ私が集めてくるわ」
「いえ、この薬の材料には少々特殊なモノが多く、故に不治の病に近いものであるとも言われているのですが」
「そんなの関係ないわ。サラサの――妹の病気は私が治すの。だからせめて、私にできる事があるのなら一つでもいいからしたいのよ」
「それは分かりましたが、本当に特殊な材料が多いのです。ほぼ世界中を回らなければならず、アイシャ様お一人では集める事は相当至難なものかと」
「その材料って言うのはどこかで買えないの?」
「少なくとも私は売っているところを見た事は御座いません」
「そう、なの」
「はい。しかしサラサ様のお考えは理解致しました。故にコレは私の妥協案ですが、僭越ながら私がアイシャ様の材料探しの案内役を買う、と言う事でいかがでしょうか?」
「……どういう事?」
「私が案内すれば時間的な問題は解決されますし、何よりアイシャ様はご自身の手でサラサ様をお救いになりたいと、そう申されるのでしょう?」
「そうよ。でもこれが私の自己満足だって事くらいちゃんと解ってるわよ」
「ならば宜しいかと。それにそのお気持は決して悪いものでは御座いませんし」
「……、よしっ、そうときまったのなら今すぐにでもその材料探しとやらに向かうわよ。案内して頂戴」
「了解いたしました、アイシャ様。では旦那様が全責任を以て、私が案内いたしましょう」
「……やっぱりあなたは責任負わないのね」
「……いえ、そのような事は御座いませんとも」
こう言うのばかりだとストレスが溜まります。説明調は好きではない。
……でも実は次回もちょっぴり説明調っぽくなったり?
問題有り、です。
いっちょぱっとはじけたモノを書きたいなぁ、と。