22. どれいとおとめ?
〜前回までのあらすじ〜
突如現れた女の子に闇討ち?されたレム君。でもその子は実は知り合いで……と言うよりも灼眼の剣士ラライさん?
ついでに逸れていたレアリア、アルーシアとも再会をして……。でもレム君は気絶中。
レム・・・主人公
ラライ・・・灼眼の剣士、と言う通り名で知られている世界最強の剣士様。W.R.第四位の強者でもある。通常ボケボケ、夢は世界一のお嫁さんと言うオトメな女の子である。
レアリア・・・ツンデレな奴隷。ちなみに一生ツン120%。それはツンデレとは言わないと言う苦情は受け付けません。
アル・・・しゃべる事に出来ない、奴隷の女の子。実は何かいわくつき、だったり……?
「此処は何処だ? そして俺は誰だ?」
「レム様お気づきになられたんですねっ!!」
「誰だ?」
「あわわレム様私の事をお忘れなんですね、やっぱり私なんて私なんて……ふぇぇぇんっっ」
「……と、言うお約束のボケはそろそろにしておこう。ラライ、久しぶりだな?」
「レ、レム様? 私の事を覚えて……」
「当り前だろ。さっきのは軽い冗談だから余り気にするな」
「じょ、冗談。そうなんですか。……よかったです」
「それにしても本当に久しぶりだよな、こうして“起きてる”ラライと話をするって言うのは」
「そうですよねぇ。いつもは灼眼の説得に時間を費やしちゃって、うぅ、いつも私って一体何してるんでしょうか」
「大抵は半寝惚けで彷徨ってるだけだと思うが。んで、一体どんな心境の変化なんだ?」
「いえ、今は偶々、灼眼を説得する必要がないと言うか、ちょっと違う意味で暴走しちゃっていると言いましょうか」
「良く分からん物言いだな」
「それは私の方が聞きたいくらいで……っと、そうでした、レム様。レム様にお聞きしたい事があったんです」
「聞きたい事? 何だ? っと、あとレム“様”って言うのはいい加減止めてくれって言ったよな?」
「で、でもレム様はレム様ですし、それ以外どうお呼びすればいいのか……あ、あなた?」
「いやそれは違うだろ、絶対」
「そ、そうですよね。…………まだ早いですよね?」
「普通にレムって呼び捨てでいいって。てか最後の方、何か聞き取れなかったんだが」
「いえ何でもないです何でもないです何でもないったら何でもないのですっ!!」
「そうなのか?」
「はい、そうです!!」
「ま、ラライがそう言うならそれでいっか。それで、多少脱線しちまったけど俺に聞きたい事って何だ?」
「そ、そうでしたっ。レム様のお連れになっている子たちの事です」
「連れてる? セミリファに、リン……あぁ、そう言えばマーサには会った事あったか?」
「マーサって誰ですか? と、言うより全員初めて聞く名前です。それになんだか皆女のヒトっぽいですし」
「確かに全員女だけど、あくまで偶然だ」
「レム様はいつもそう仰ります」
「いや、今回は本当に偶然。今の連れの面子ははマイシアに押し付けられただけだからな。っと、あとマーサってのは言い方が悪かったか。テッラーの事だよ。ほら、魔道部にいただろ、覚えてないか?」
「テッラー……いえ、ごめんなさい。覚えてないです」
「まぁ、ある意味仕方ないか。いつもはぼーとしてるだけだからな、ラライは」
「その言い方じゃ私がボケボケさんみたいに聞こえますっ」
「そう言ってるつもりだが?」
「……ちょっと、ちょっとだけ寝惚けてるだけじゃないですか。それもこれも灼眼が悪いんです。そうです全部灼眼が悪いんですからぁ〜」
「悪かった。だから少し落ち着け、ラライ」
「ふぇ? ……、す、済みませんですレム様!!」
「いや、俺は良いけど……てかやっぱり随分と日頃から鬱憤が溜まってるのな」
「うぅ、お恥ずかしいところを」
「だから俺は気にしてないって」
「レム様が気にしなくても私が気にしてるんですよぅ」
「そうなのか。そんな些細な事、今更気にしなくても本当にいいってのに」
「そう言う訳にもいかない事情があるんです、私にも」
「そうなのか。なら仕方ない、諦めろ」
「はいそうします」
「んで、また話がずれたけどあの三人じゃないって事は誰の事だ、連れって?」
「レアリアって名乗ってましたよ」
「レアリア? ……あの俺を見捨てて逃げた薄情者のレアリアの事か?」
「そういう事情は知りませんけど。って、それよりも問題はもう一人の方ですっ!!」
「もう一人、って事はアル――」
「そうですアルちゃんですよ!!」
「アル、“ちゃん”? ……まぁ言いたい事は大まか理解した。なるほどな、“アルーシア”の事もあるから、『灼眼』が騒ぐのは納得できるな」
「アルーシア? アルーシアって、あの『聖――、……御免なさいレム様、何でもないです」
「――いや、いい。てか俺もこの程度の事で大人げないな。悪い」
「……いいえ、レム様。そんな事は。って、そう言う事じゃなくてですね、何といいましょうか、灼眼の反応がちょっといつもと違うんですよ」
「違う?」
「はい。“灼眼”の反応が、まるで本物の“燎原”に会った、みたいな感じが伝わってきて、まさか本当に――」
「それはない」
「でも」
「死んだものは生き返らない。それは使徒であろうが、神であろうが同じだ。仮にそんな阿呆が出来るとしたら……飛び切りの阿呆の親玉くらいのものだな、そりゃ」
「そう、ですよね……」
「でも灼眼の反応が気になる、と?」
「ええ、はい。まぁ……」
「確かに。俺も灼眼のその反応には気になるな。ってか、灼眼の異常な反応……か。あの容姿に、あの“刻印”、何かあるって考えておいた方がいいのか、それとも全てが単なる偶然か。……さてはて、だな」
「……レム様?」
「ああ、いやこっちの話。ってかこっちの話で思い出したけど、此処は……変わらずミクスベルの森入り口付近であって。んでどうしてこんなところにラライがいるんだ?」
「ああ、それはですね。ちょっとスィリィさんと鉢合わせまして、祖国が変な動きをしていると言うので」
「ちょっと解決してみよう、って?」
「はい、そんな感じです。でも不思議といつまでたっても森の入口に戻ってきちゃうんです。何か魔法でもかかってるんでしょうか?」
「いや、それは単純にラライの方向音痴の所為」
「や、やっぱりですか?」
「ああ、間違いなくな。しっかし“灼眼”に、潜在的ながらも“冰頂”と、二人が出張ってるとなると俺がわざわざ手を出す必要もなかったかな、これは」
「いえ、そんな事はっ。レム様が一緒なら凄く、すっごく心強いですからっ!!」
「はいよ、お世辞でも嬉しいよ」
「お世辞なんかじゃ、ないですけど」
「あの『“灼眼の剣士”ラライ』に言われると有難いけどな。つーても俺個人に出来る事なんてタカが知れてるけどな」
「そんな…………――そ、傍にいてくれるだけでも安心できますし、なんて」
「ん? だからそんなに小さな声で喋られると聞き取れないっての。俺はあいつみたいに地獄耳ってわけじゃないんだから」
「なな、何でもないです、から。レム様は気にしないで下さい。……本当に、気にしないで下さいよぉ」
「分かったから。ってかそんなに泣き出したくなるような事なのか?」
「そ、そう言う訳ではないですけど。…………まだ恥ずかしいですし」
「ん? 何て――」
「あ、やっぱり起きてたのね。話声が聞こえたからもしかしてって思ったけど――ってラライ、レムに何かされたの!?」
「お、レアリア。久しぶりだな、おい」
「い、いえレアリア。そう言う訳ではないんです。ただちょっと……」
「ちょっと? ちょっとって何、っていうよりやっぱりレムなんかと二人きりにさせたのがそもそもの間違いで――」
「って、俺の事を無視するな、レアリア。てか俺なんか、ってのはなんだ。仮にもご主人さまに向かって。つかあの時俺を思いっきり囮にして逃げだしやがったのに謝罪の一つもなしか? なしなのか?」
「ああごめんなさいねー」
「誠意が全く籠ってねぇ!?」
◇◇◇
「……」
「あ、アル? あぁ、お前も無事だったのか、いや無事で良かった。レアリアに何かひどい事とかされなかったか?」
「……」
「って、相変わらず何も反応ないのね」
「……」
「なあ、アル。“灼眼”と会ったみたいだけど、正直なところどうだった?」
「……」
「――やっぱり反応なしか。それほど期待はしてなかったけど。“灼眼”が反応したって言うから、何かあるのかもしれんが、まあ仕方ないか」
「……」
「って、これじゃ俺は独り言言ってるだけの危ないヒトなのですが」
「……」
「アル、ちょっとでもいいから反応を示してくれたら俺はすごくうれしいなーと思ったりするんだけどな?」
「……」
「……あれ? 何か心なしか、アルが前よりも俺と視線を合わせてくれてない気がするんだけど気のせい、だよなぁ? 俺別にアルに怒られる事とかしてない、よなぁ……?」
「……」
ようやくアルと再会できたレム君。
ちなみにラライに連れてこられたレアリアとアルはずっと森の中をさまよい歩いていました。しかも入り口付近。
ラライさんは極度の方向音痴。
滅茶苦茶間違えました、済みません!!!