ど-220. 食いねぇ、食いねぇ
配布ちゅー
「……旦那様、何をしておいででしょうか?」
「団子食ってる」
「いえ、それは存じ上げているのですが」
「ならなんだ?」
「……随分と大盛況のご様子で御座いますね?」
「おだんごー」
「わたしにもひとつちょうだいー」
「わたしもわたしもー」
「おだんご、おだんごー」
「わたしもひとつ……ください」
「そう急くなって。慌てなくてもちゃんと全員にやるから。……で、まぁ子供たちに配ってたらいつの間にかこれだけ集まった」
「の、ご様子。それにしても本当によく集まっておりますね。私が街の視察を行っていたのはそれほど長い間ではないはずなのですが」
「ああ、ちょっと大道芸も加えてお客を集めてみた」
「旦那様が大道芸……存在そのものが芸ともいえる旦那様では御座いますが、どのような事をなされたのですか?」
「ん〜、パントマイムで一人漫才してみた」
「それはまた随分と。……ただの怪しいモノであった様にしか私には想像できませんが、これだけ子供たちが集まったと言うのであれば大盛況、ではあったのでしょうね」
「ああ、盛況も盛況だったぞ。それにな、この中には未来のお嬢さんもいるんだ、今のうちに優しくしておいて損はないだろう?」
「成程、つまりは小さな頃から手懐けておけば良いとは、旦那様も中々にあくどい事をお考えになります」
「ふっ、よしてくれ。俺はただ単に、崇高な愛の為に行動している、ただそれだけなんだからな!」
「いえ、一切合財、褒めてなどはおりませんが」
「ところでお前もひとつ、団子食べるか?」
「……宜しいので?」
「ああ、遠慮せずにいいぞ」
「では、失礼しまして」
「あ、めいどさんだー」
「めいどだめいどだー」
「ふぁぁぁぁ、きれー」
「ほんものだ、すげぇ〜」
「どうだ、上手くできてるだろ?」
「ええ。と、言うよりも少々甘味がつき過ぎておりますね。確かに子供に人気が出るような味であると納得できます。しかし、これは――」
「ん? 流石に気づいたか、ってか一口で気づくとは流石だな」
「味を誤魔化す為にも甘味をつけた、と言う事でしょうか?」
「まあ、それも理由にある。一番の理由はちょっとばかしコトハのお手伝いでもしようかね、って事だけどな。だから体力のない子供優先の味付けにしてみた」
「成程。しかし私にも分かりませんが、本当に来るのですか?」
「ああ、何となくだけど、間違いなく来てるな――【厄災】が」
だるいのです、と言うより後書きが思いつかない。
お団子はレム君特製のお薬。
とある姉妹の騙り合い
「【厄災】って言い方は好きじゃない」
「……まぁ、姉様はそうでしょうね」
「ああ」
「――私の知った事じゃないですが」
「だ、ろうよ。だからお前は愚妹なんだ」




