ど-215. そして四人目・旅に出よう
旅は良いものです
「旅に出ようと思う」
「行き成りな発言に御座いますね、旦那様。まあ旦那様の突飛な発言には既に慣れておりますので問題は御座いませんが。……それでどちらに向かわれるおつもりで?」
「ああ、取り敢えず明日がある方向へ行く予定だ」
「明日、で御座いますか」
「そう、明日だ。明日へ向かっていけばそれは未来へつながる道となる。すなわち俺の栄光ロードへと続いているとみたっ!」
「恐らくも何も旦那様が見たと仰られているのは間違いなく見間違いか夢幻であると断言いたしますが、それは詰まる所目的地は定まっていない、と解釈してもよろしいので?」
「よくない。だから俺はあすへと向かうと言っているだろう? 何度も聴き逃すなんて、お前らしくもない。どうした、体調でも悪いのか?」
「気遣いの御言葉、身に染みる光栄に御座いますが、身体機能に問題はきたしておりません」
「なら精神的な問題か。無理はよくないぞ、辛くなったらすぐに俺に言う事。いいな?」
「旦那様の寛容なお心遣い、私などには既に表す言葉も持ち合わせておりません」
「いや、可愛い可愛いお前の事を心配するのは当然の事だろう? だから、もっと俺を頼ってくれ。いいな?」
「はい、……それにどちらかと言えば旦那様の方が精神的にも肉体的にも問題をきたしていると、私は判断しておりますが」
「と、言う訳だから早速旅に出るぞ!」
「……それでは便宜上、お尋ねしておきますが旦那様?」
「何だ?」
「つい先日始められたばかりの何でも屋は即日廃業すると言う事でしょうか? それとハカポゥ様は如何なされるおつもりで?」
「……なるほど。それを突かれると痛いな。確かに栄光ロードへ向かうのは俺の今の目標、だけど今初めている事を途中で投げ出すってのも駄目だよな。それにシルファにハカポゥ、トトルにチョイク、サイサとポールィの事もあるしな」
「私の存じない女性の名前が数名上がっていますが? いえ、この街の住人は既に網羅しておりますので聞いた覚えは御座いますが。私が言いたいのはそのような事ではなく……」
「ん? 言ってなかったか、この街で会ったお嬢さんたちだ」
「……いつの間に」
「そうだよな。こういう時に護衛の依頼とかが来てくれると、俺的に助かるんだけどな。仕事もできて、旅にも出る事が出来て一石二鳥。ちなみに依頼主がお嬢さんなのは当然」
「まさか、そのような都合のいい事が何度もあって――」
「すみませーん」
「お、お客様だ。はい、ちょっと待っててくれよ、お嬢さん。今戸を開けるから待っててくれよなー」
「……いえ、まさか。いくら今の旦那様と言えども。少なくとももう今この街に訳ありかつ他の街へ向かう必要のある女性の方はおられないはず、なのですが、何故でしょうか? この確信にも似た現在の心境は。諦め、とでもいいましょうか」
「いらっしゃい、お嬢さん。さて、それじゃお嬢さんは何でも屋『出逢いと絆』に一体何の御用かな?」
「その、ここって護衛のお仕事とかってして……ますか?」
やっぱり一日一度は大変だなー、と感じてきた今日この頃でありました。
???の技名紹介(気まぐれシリーズ)
≪hallelujah――疾く射殺せ≫
必殺技。凄い技とかではなく、必ず殺す技と書いて必殺技。
狩りのときなどに便利かも? ……でも正直子ウサギをし止めるのに核兵器を使うのもどうかと(汗)
とある姉妹の騙り合い
「そもそも思うのですが、姉様」
「なんだ、愚妹」
「どうしてこのように姉様と顔を合わせて会話などと言う不当極まりない行いをしなければいけないのでしょうか?」
「それはこっちの科白だ」
「なら姉様、ただちに何処ぞとなり消えて下さりませんか?」
「お前が消えろ。むしろ消す、今すぐ私の視界からいなくならないのなら私がお前を消す」
「まあ怖い。でも姉様如きには無理な相談ですね、それは。そしてそれこそ私の政府です。今すぐ消えて下さいませんか、姉様?」
「――殺す」
「姉様は無駄な事も判らないお・ば・か・さ・んっ? ――それがこちらの科白だと言っているのです、姉様」