ど-212. 三人目・ハカポゥ……あと十年
何事も知らないのは不幸か、それとも幸せか
「レムお兄ちゃん、おかえりなさい!」
「ああ、ただいま。ハカポゥちゃん、いい子にしてたかな?」
「うん! おねぃちゃんに色々と教えてもらってたの」
「そうか、色々か。……後で細事説明するように」
「心得ております、旦那様」
「ならいい、と。ハカポゥちゃんは帰る場所っていったらやっぱりお母さんのところ?」
「うん、そうだよ」
「……しくじったか。なあ、ハカポゥちゃん、モノは相談なのだが、ちょっと此処で暮らしてみないか?」
「ここで? レムお兄ちゃんと一緒に??」
「うん、そう」
「それってもしかして結婚のお願いっ!?」
「いや違うけど、」
「……そっか、違うんだぁ」
「実はハカポゥちゃんのお母さんと“話し合った”結果、ちょっとハカポゥちゃんの事を預かる事になってね」
「お母さんと?」
「そうなんだ。と、言う訳だからどうかな? それとも俺と一緒に暮らすのは嫌?」
「ちなみに私も居りますので、ハカポゥ様の身と貞操の安全は命に変えましても保証致します。何と言われようとも旦那様には指一本触れさせるつもりは御座いませんのでどうかそのおつもりで、……旦那様?」
「レムお兄ちゃん、ヘンな事しない?」
「勿論しないとも」
「ホントに?」
「ああ、本当に」
「ホントにホント?」
「ホントにホントにホントだよ」
「そのように仰られる方は尽く危険因子であると言うのは世の常では御座いますが、仮のそのように申されずとも旦那様ならば旦那様であると言う一点のみで危険因子に違いは御座いませんか」
「うん、分かったっ! それならわたし、レムお兄ちゃんのお嫁さんになるっ」
「ハカポゥ様、そのように早まった発言をなされては――」
「――ごめんよ、ハカポゥちゃん、それはちょっと無理なんだ」
「……ぇ、どうして? レムお兄ちゃん、わたしの事キライなの? レムお兄ちゃんを殺そうとしちゃったから? だからわたしの事がコワイの?」
「いや違うよ、俺がハカポゥちゃんの事を嫌うはずがないじゃないか」
「ならどうして……」
「それは当然、俺の愛は世界のお嬢さん全てに捧げるものだからだよ。そうっ、言うなれば俺は世界中全てのお嬢さんの旦那様っ! ハカポゥちゃん一人のお婿さんになるわけにはいかないんだ。……ふっ、罪な俺を許しておくれ」
「そっか、そうなんだ――……よかったぁ、私、レムお兄ちゃんのお嫁さんにならなくてもいいんだね?」
「「え?」」
眠いです。
とある姉妹の騙り合い
「私、お嫁さんになるの」
「……ついに狂ったか、愚妹?」
「……ゆ、夢くらい見たっていいじゃないですかっ、良いじゃないですかっ!!」
「夢? 妄想じゃないのか?」
「……姉様だって結婚まだの癖に。私よりも年上の癖に」
「――ぐっ!?」
「「はぁぁぁぁ」」