ど-211. 素敵&無敵
最初っから飛ばしていこう
「ははは――わははははははっ!!!!」
「――ぇ、何で? どうして???」
「はははははははっ!! 今の俺は素敵! ついでに無敵だからさっ」
「お、お母さんが言ってたもんっ、わたしの“鎌”は何でも切り裂けちゃう凄い鎌だって。それにヒトに私の攻撃をよけられるはずないんだからっ。……えいっ!!」
「ふっ、そして華麗にステップ。……可愛らしいお嬢さん、そんな愛じゃ、俺にはまだまだ届かないよ? もっと過激に! もっと熾烈に!!」
「ふ、ふぇ、レムお兄ちゃん、なんだか怖い……」
「俺、素敵! 俺、素晴らしいっ!! さあ、ハカポゥちゃん、君の愛を、全身全霊を以て受け止めてあげよう、素敵なこの俺がっ!!!!」
「素敵、は関係ないと思われます、旦那様。……それにしても私が止めに入る必要も御座いませんでしたか。本当に、今の旦那様は暴走の度合いが無敵であらせられるようで。素敵、かどうかはさておくとしまして」
「さて、と。ハカポゥちゃん、悪い子にはお仕置きをしなくっちゃいけないわけだけど」
「ひ、ひぅ!? ……みーくん、みーくんっ! たすけてっ、わたしをたすけてよっ!!」
『グルル――、きゅ〜ん、きゅ〜ん』
「み、みーくん!?」
「誠に残念ですがハカポゥ様、みーくんは既に私が手懐けておりますので、ハカポゥ様のご命令は無理な注文かと。はい、みーくん、お手」
『く〜ん、く〜んっ』
「そんな……みーくん、ひど」
「別に、手を貸さなくてもいいんだけどな。なんてったって今の俺は素敵だしっ」
「ひぃっ!?」
「――ですから、素敵は何も関係ないのではないでしょうか? ……素のままで敵である、ある意味で今の旦那様は確かに素敵、では御座いましょうが」
「さて、それじゃハカポゥちゃん、お仕置きターイム、と行こうじゃないか」
「……ゅ、許してレムお兄ちゃん」
「い・や♪」
「う、うぅ、うぅぅ」
「……ふっ、仕方ないなぁ。女の子に悲しい顔をさせるって言うのは俺の主義じゃないんだけど。時には世の中の厳しさって奴を教えてあげるのも優しさってものなんだよ。ああ、こんな非道な俺を恨んでくれていいよ、ハカポゥちゃん。……けどっ、その分君は素敵になれるんだっ!!」
「ゃ、ゃだやだやだぁぁぁ、こっちこないでっ、わたしにちかづかないで!!」
「それは出来ない注文だね。っと、ハカポゥちゃん、それじゃあお仕置きをするよ? ほんのちょっと痛いけど、それは我慢だ」
「旦那様の鬼畜外道!!」
「ゃあ!!!!」
「ほいっ、と」
「ぁぅ!? ……ふぇ?」
「お仕置き完了、と。痛かったかい、ハカポゥちゃん? 叩いたりしてごめんよ?」
「……何が叩く、ですか。デコピン一発だのがお仕置きなどと、今どき何処のお仕置きですか、それは」
「……痛い事、もうしない?」
「ああ、しないとも。ハカポゥちゃんはもう十分反省しただろ?」
「ぅ、うん! した、反省した!!」
「なら俺から言う事は――、そうだ、ハカポゥちゃん、いいかい?」
「な、なに、レムお兄ちゃん?」
「ヒトを殺すのはとても悪い事なんだ、だから今みたいに無暗矢鱈に殺そうとしちゃ、もう駄目だよ?」
「で、でも、お母さんがお礼にはちゃんと殺してあげなさいって。それにヒトを殺すのは良い事だって……」
「それはね、きっとお母さんが間違えちゃったんだよ。なに、ハカポゥちゃん自慢のお母さんでも間違う事はたまにはあるさ」
「そう、なの……?」
「そうだとも。それとも俺を信じられない?」
「ううん、信じる。だって、レムお兄ちゃんちゃんと約束守ってみーくんのコト連れて来てくれたもんっ」
「……今の旦那様のどこに信じる要素があるのか甚だ疑問では御座いますが、ハカポゥ様がご納得しておられるのでしたらそれで良しといたしましょうか」
「さてと、それじゃハカポゥちゃん、ちょっとだけここで待っててくれないかな?」
「うん、分かった」
「――さて、それじゃちょっと出かけるぞ。お前はお留守番を頼む」
「畏まりました旦那様、どうぞお気をつけていってらっしゃいます様」
最近ちょっとヤバい感じ。そろそろ一日一回って限界っぽいのか?
まあそれとは関係なく時間は過ぎていくわけですがっ。
???の技名紹介(気まぐれシリーズ)
≪Bind――緩やかに絞め殺せ≫
対象を束縛する、ついでにちょっとだけ力が強すぎるかもしれないのでつい絞殺しちゃったりすることも?
雑巾を絞る時やジュースを作るときなんかにはとっても便利だぞ。手軽に果実ジュースを楽しもう!
とある姉妹の騙り合い
「甘い、甘い甘い甘い! 甘すぎるっ!!」
「砂糖をどうぞ、姉様。そして太れ」
「頂こう。……それと私は食べても太らない体質だから問題はない」
「――くっ、つくづく姉様は私の敵ですね」
「お前こそ、太れ愚妹」
「おあいにく様、私も――」
「実に涙ぐましい努力だ」
「――やっぱり、一度は殺しておくべきだと私は思う訳ですよ、姉様」
「ふんっ、事実を認めるのがそんなにも嫌か、そうか。……くくっ」
「――遺言はいりませんね、姉様」
「それは私の科白、だっ!!」