ど-209. 三人目・ハカポゥ……いや待て
ワンちゃんという呼び名なら可愛いです。
「さて、それじゃあ早速みーくんを見つけに行くぞ」
「行くぞ、と申されましても、何の手がかりもない今の状況でどのように探すおつもりですか、旦那様?」
「どうって、どうとでもなるだろ?」
「どうとでもなると申されましても、」
「みーくんってのは魔種の一種だろ? なら情報ならどうやっても手に入るだろ。例えばギルドとか」
「……なるほど。存外に冷静であられるようで」
「と、言う訳だ。先ずはギルドに言ってみるとするか」
「はい」
◇◇◇
「うん、思いっきり想像通りだったな」
「はい、しっかりと懸賞金がかけられておりますね、旦那様」
「まあ退治されてなかったって事を喜ぶとするか。ハカポゥちゃんの哀しい顔は見たくないからな」
「そーですね」
「何だ、やる気のない声を出して。もしかして妬いてるのか、本当に仕方のない奴だなぁ」
「いえ、正直もうどうでもよくなってきております」
「さて、と。それじゃ向かう先も決まった事だし、家出したワンちゃんを捕まえに行くとしましょうか」
「家出したワンちゃん、という規模では間違いなくないのですが。それと旦那様、少々宜しいでしょうか?」
「おう、何だ?」
「こちらの手配書には三頭種:ケルベロス・体長はヒトのおおよそ三倍、と記されておりますが」
「ああ。それがどうかしたのか?」
「ちなみに力は大凡五十倍、魔法耐性は極端に高い、との事です」
「ああ、だからそれがどうかしたのか?」
「……まぁ、確かにそれがどうした、と言う情報ではありますが。討伐ランクはA、よりにもよって上級者向けの相手ですか」
「なんだ、捕まえられる自信がないとか言わないよな?」
「それは詰まる所、捕まえるのは私である、と解釈させて頂いてもよろしいので?」
「ああ、当然だろ?」
「信用していただけるのは真に有難いのですが、事の発端を考えると複雑なところではあります」
「何を問題視してるのかは分からんが、さあ行くぞ、みーくんを捕まえに。そして何より、ハカポゥちゃんの笑顔の為にっ!」
「……判ってはいた事ですが、ランクAの魔種を“飼う”少女、ですか。厄介な――」
「どうしたー? 早く来いっ」
「……いえ、それ以上に今の旦那様の方が厄介ではありましたか」
ハカポゥ
金髪の、(外見年齢)六歳くらいの女の子。
ワンちゃんと言って魔種(魔物)を飼っているので普通ではない。
???の技名紹介(気まぐれシリーズ)
≪Suture――慎んで黙れ≫
口がきけなくなる。突っ込み体質を改善したいヒトにはお勧めだ。
いついかなる時、誰がどんな大ボケをしても口がきけないので突っ込めなくなる。でも突っ込みが出来ない事によるストレスを軽減する事は無理なので、気をつける事!
とある姉妹の騙り合い
「犬コロ如きに私が負けるものか。愚妹ではあるまいし」
「むしろ負けてください」
「それは加減していても無理な相談だな」
「では仕方ないですね。自分でやりますか」
「……なんだ、私とやる気か? ――死ぬぞ?」
「相変わらず冗談が下手ですね、姉様。では――行きます」
「今のが冗談かどうかはお前の体で直接証明してやるさっ!!」