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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさんとご主人様
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 ど-2. 呪いのーと

「旦那様、早速ですが」



「何だ?」



「ネタがありません」



「ぶっ!? ……って、まだ一つもネタ出しすらしてない状況じゃないのか?」



「そうです。ですから初めからネタのストックが……正確に申し上げますと考える気がなかったという事になります」



「兎に角、何か……何か無いのか? ほら、例えば俺に言いたい事とか物申すっ! とかさ……?」



「……良いのでしょうか?」



「ああ、存分に……いや待て。何故にそんな爽やかな笑顔を浮かべている? しかもその手帳は何だ? 表紙に『旦那様への愚痴のーと』と書いてあるから内容の予測は難しくないが、だとしてもどうして普段笑わないお前がこんなときばっかり笑うんだ……正直怖いんですけど?」



「旦那様、細かい事はお気になさらない方がよろしいかと存じ上げますが?」



「ああそうだな……て、違うだろっ!! それに今思えば何で俺に対してそんなに不満が溜まってるんだよ……?」



「…では、僭越ながら一つ例として読み上げさせていただいてもよろしいでしょうか?」



「一つだけだぞ」



「……では。“旦那様が構ってくれない。詰まらないので本日の夕食に睡眠薬を混入してみたらすぐに落ちた。少し胸がすっき――」



「いや待て」



「何でしょうか?」



「おかしいだろ、今のっ!! ってかいつの事だ、今の話はっ!?」



「これは最新のもので……薬を食事に混入したのは一昨日の事ですね」



「何でそんなに嬉しそうなんだよ」



「旦那様はぐっすりと眠っていらしたので覚えておられないのですね、ふふっ」



「何をした、何をっ!! その意味有り気な笑みは……俺が寝ている間にお前は俺に何をしたんだよ!?」



「御戯れを、旦那様。そんな事は恥ずかしくて申し上げられません。……これが羞恥ぷれーと言うものでしょうか。それならば致し方ありませんね。実は……」



「いや、さ。だからどうしてお前はこんなときに限ってそんな笑顔を浮かべるんだ、と問いたい。確かに何をされたのかも気になるが……。それと羞恥プレイでは断じてないからな」



「そうですか。残念です」



「お前は何を望んでるんだ?」



「では先ほどの続きを申し上げますね」



「……無視するなよ」



「実は……旦那様の重みを実感しておりました。それ以上は私、恥ずかしくて申し上げる事が出来ません」



「その割には全然恥ずかしそうじゃないんですけど?」



「旦那様には一度頭の医者に掛かる事をご提案いたします。まあ、結果は目に見えて陽性でしょうがこれが私の気遣いと言うものでしょう、恐らく」



「……普通はこの場面じゃ“目医者に行けよ、おい”って感じじゃないのか?」



「それもそうですね。初めから脳の回路が正常でないお方に医者へ行けなどと、今更過ぎました。だからこう言うのですね――馬鹿は死んでも治らない、と」



「おま、俺に何か怨み辛みでもありますか?」



「旦那様」



「な、何だよ?」



「旦那様には私の想いの丈を綴ったこちらのメモ帳を、お恥し僭越ながら贈呈ぞうていしたいと存じ上げます」



「ってかこれメモ帳の厚さじゃないだろ、絶対」



「二千頁程ありますが、それが何か?」



「何か、じゃないだろう。それは既にメモ帳とは言わん。本……というよりも既に辞書の類だと思った方がいいな、こりゃ」



「ちなみに一頁辺り文字数は五万ほどとなっております」



「…………小さすぎて読めん、ってか一々数えたのか?」



「さて、本日の天気は晴れですか。洗濯日和で腕がなりますね」



「今までの展開を全て無視して突然違う事をほざいているんじゃないっ!!」



「そうですか、旦那様は私の想いの丈を綴ったものは受け取れない、と。こんな夢枕にも出てきそうな呪われた品はいらない、とそう仰られるのですね?」



「いや誰もそんな事言ってないから。……まあ、確かに夢枕に出てきそうなほどの厚さではあるし、呪いつーか執念染みたものも感じないでもないんだけどな」



「きぃ、あの女の所為ねっ!!」



「や、ハンカチ咥えて言われても分からないから。しかも芝居する気ならせめて表情を変えてからやれよ。逆に怖いよ、それ」



「実はそのメモ帳は呪われています」



「あくまでメモ帳呼ばわりするか……で、やっぱり呪われているのか、この辞書は」



「はい、書いた内容が現実のものになるというびっくりメモ帳です」



「……一つ聞きたい」



「何でしょうか? 疑問質問苦情の類は一切受け付けておりませんがまあ暇つぶし程度に耳汚しを行って差し上げてもよろしいかな、と旦那様の手前ですので申し上げておきましょう」



「……あー、俺さ、お前の旦那様だよな?」



「失礼ですが質問の意図が解しかねます。それと先ほど旦那様が私に尋ねたかった内容ではないように思われますが?」



「分かった、言い直そう。先ほどお前は書いた内容が現実になる辞書だと言ったな?」



「メモ帳ですが、ええ、確かに申し上げました。それが何か?」



「――それは単にお前が実行しただけだろ?」



「……」



「……」



「実はこのお話にはおちがありません」



「何の話だよっ!? ……ってか答えろよ」



「では皆様、本日はこれで失礼致します。あと旦那様は黙ってください。罪は認めますが罰は全て私の所有者である旦那様のものとなりますのでどうかお忘れなきように」



「うぉい、都合のいいときだけ自分が所有物って認めるなよ!!」



「旦那様、五月蝿い」



「……あー、もういいや」




あきるまでは一日一話で…短いですが。


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