ど-199. 休憩でーす
お休憩。
「あー、気持ちいいな」
「そうで御座いますね、旦那様」
「てか俺達こんな事やっててもいいのか?」
「こんな事、とはどのような事で?」
「いや、随分とゆったりと過ごしてるな、と思って」
「旦那様はこのような時間がお嫌いですか?」
「んな事はない。けどなぁ、色々とやらなきゃいけない事とかあるだろ?」
「……本来であるならば旦那様御本人がなさらなくとも宜しいものばかりに御座います」
「まー、そうなんだけどな。んー、まぁいっか」
「はい。今はごゆるりとお寛ぎくだされば、幸いです」
「それはそれとして最近……いや、俺が目隠しされて両手両足縛られて拉致されて以来随分と素直じゃないか? …って、自分で言っておいて何だが凄い扱いだな、俺」
「私は常に素直で御座いますが、旦那様がそうお感じになられると言うのであればそうなので御座いましょう」
「ああ、んなら取り敢えず今のお前は素直で可愛いぞって覚えてけ」
「はい。今の私は素直で可愛いです」
「……何故だろう、復唱されるとやけにむかっ腹が立ってくる気がするぞ」
「旦那様、それは空腹のための幻覚であると推測されます。こちらをどうぞ、お召し上がりくださいますよう」
「空腹の幻覚ってどれだけだよ……って、おぉ、随分と美味しそうだなぁ」
「全て旦那様の為に私が拵えました」
「ファイが拉致されてからこの方、俺は食事っていう楽しみがある事を実感したよ」
「……旦那様、女性といる時に他の女性の話をされるのはマナー違反と言うものではないでしょうか?」
「ふむ? ……もしかして嫉妬してる??」
「もしかしなくともしておりますが、それが何か?」
「…や、開き直られると反応しづらいなぁ。ま、それが何かってわけでもないのだが……んー、美味い!」
「ありがとう御座います、旦那様」
「しかし、こういうのも乙なものだよな」
「そうで御座いますか?」
「あぁ、入浴して絶景を眺めながら、うまい料理にありつけるってのもなかなかどうして、これで幸せなもんだ」
「旦那様に幸せを感じていただけるのであれば私にとっても幸いでありますが………、絶景?」
「んー、あー、いや、気にするな」
「…とは申されましても気になるのですが。絶景と言われてもありふれた森の中では御座いませんか?」
「まぁ、そうなんだけどな。……今のは失言、だから気にするなって」
「旦那様が、そう仰られるのであれば」
「あ゛ー、日頃の疲れが癒されるぅ〜」
「えぇ、そうで御座いますね」
「ん? ………へぇ、珍しいな」
「はい?」
「いや、お前が“笑う”でもなく、楽しそうな表情を浮かべるなんて、珍しい事もあったものだ、と」
「私、そのような表情を浮かべておりましたでしょうか?」
「ああ、ほんのちょっとだけだけどな」
「…――そうですか。ならば、今のこの時この時間がそれに価するものである、と言うだけの事なのでしょう?」
「そういうものか」
「はい、旦那様」
のんびりとした時間。そして束の間の(!?)休息。
んで、残り一つ。
とあるお方のコメント×2
「……」
「女神様? おーい、自称女神!」
「……」
「って、駄目ね、これは。完全に燃え尽きちゃってるわ。でもこの程度で嫉妬するのも疲れ果てるなんて、女神様もまだまだ精神は子供って事よね」
「……うぅ、愛し子ぉ〜、私にも、私にも構ってくださいぃぃぃ〜〜」
「……何て言うか、こういう姿見てると本当にこのお方が創生の女神かどうかを疑いたくなってくるのよねぇ」