ど-194. 謎は分からないから謎と言う
世の中謎ばかり
「何だ、その如何にも怪しい液体は?」
「さて? シャトゥから何の便りもなしに送られてきたものですので、私にも皆目見当がつきません」
「便りなし、ねぇ。ちょっと貸してみろ」
「はい、どうぞ旦那様。お気を付け下さいますよう」
「ああ、分かってる…っと。ん〜、これは……駄目だ、俺にも判らねぇわ」
「旦那様にもお分かりにならない、という事で御座いますか?」
「そういう事。てか、これ一体どんな材料でできてるんだ? 俺でも見たことないぞ」
「無駄に薬学に特化している旦那様でさえ分からない液体、という事ですか」
「……いや待て、コレが意味不明液体であるって言うのは分かったから、てか分かったならその目は何だ?」
「目?」
「あぁ、何か急に獲物を狩る狩人の目になった気がする」
「旦那様の気の所為では御座いませんか?」
「いや違うね。絶対違う。もしお前がそう主張する気なら何故俺ににじり寄ってくる? つか近寄るなっ!」
「そんな、近寄るななどと……旦那様に嫌われてしまっては私はどうすればよいのでしょうか? ……ちら」
「泣き真似ならもっとうまくやろうぜ? てか時折わざとらしくこっちを見るな、しかも声に出して言うな」
「仕方ありませんね。こうなれば実力行使しかありません」
「否が応でもこの謎液体を手に入れようって腹か?」
「腹も何も御座いません。そのような危険かどうかも判らないものを旦那様に持たせておくなどもってのほかに御座います。故に私がお預かりを、と申し上げているにすぎません」
「とか言いつつ、お前に渡したら今日の夕食辺りにこの液体が混ざってる気がするのは俺の気の所為か?」
「手が滑ることもあるかもしれませんね?」
「あるかも、つーかここまでいけば明らかに作為的だろうが、それはっ!」
「今まで言う機会を窺っておりましたが、旦那様の発言は少々自意識過剰では御座いませんか?」
「今更!? 今更それを言うのか!?」
「いけませんでしょうか?」
「…いや、いけないってわけじゃないけど。と、言うより、俺の自意識過剰だって言うのなら少し俺から離れてもらおうか」
「旦那様は私を信用できないと、そう仰られるので?」
「ああ、言うね」
「哀しい事で御座います。では旦那様の御意志のままに」
「……、よし。ようやく一安心できるわけだが。…今思ったんだがこの謎液体、さっきと色が違ってきてないか?」
「ええ、そうで御座いますね。先ほどよりも3.25%ほど赤みが増してきております」
「や、そんなに細かく知る必要はないけど。……本当にこれって一体何なんだろうな?」
「そうで御座いますね。どうやら周囲の魔力をわずかずつ吸い込んでいる様子なのですが……そのような液体に心当たりは御座いますか?」
「魔力を吸う、ねぇ……ん〜、まあないわけでもない、か。ミッグヘルズの樹とかは確か魔力を吸い取って色素が変化するとかいう効果があったと思うぞ」
「では…」
「ちなみに言っておくがこれはミッグヘルズじゃないぞ。アレは独特の雰囲気がある樹だからな、一目見れば解る」
「そうですか。では……不明で御座いますね」
「そうなんだよなぁ。ミッグヘルズ以外には魔力を吸い取る、なんて効果に心当たり、確か使徒の力くらいしか……まさかこれ、『聖遺物』とか言わないよな?」
「聖遺物、で御座いますか。なるほどそれならば納得できますが…」
「…ま、それはないか。シャトゥなら聖遺物を見た時点で何かしらの反応示してるだろうし、それならそのまんま俺たちの所に送り付けてくるとは考えにくいからな。…あの“なんちゃって♪”存在が黙って見過ごすとも思えないし、封印か、破壊かだろうな」
「そうで御座いますね。……本当に、こちらの液体はどのような、また色が赤みを増した様子で御座います」
「……取り敢えず、いきなり爆発しない事でも祈っとくか」
「そうで御座いますね。一先ずは厳重に保管ののち、シャトゥに問い正しの連絡を取ってみる事といたしましょう」
「ああ、そうしてくれ」
「承知致しました、旦那様」
『説明文をつけるのを忘れていました、御免なさい。先ほど送ったのは私がちょっとレムの真似をして作ってみた、命名『謎液体』です。効能は謎、成分も謎、効果も全部謎の不思議な液体です。どのようにでも勝手に使ってくださいませ』
使用用途効果効能不明な謎液体。
ちなみに始末する際にもなぞな効果を発するので気を配る必要あり。……迷惑以外何物でもないな、コレ。
とあるお方のコメント×2
「で、一体どんな効果があるのかしら、あの液体って?」
「それは私にも分かりません」
「女神様なのに?」
「そうです。神の予測すらも超えるモノ、それがあの液体です」
「……無駄に凄い響きの液体なのね、あれって」
「どうです、参りましたか出来損ないめ」
「いえ、参ったって言うより……そんなもの造り出して何考えてるの、女神様って?」
「何となく凄そうだから創って見ました? らしいですよ」
「…………ほんと、傍迷惑な存在ね、コレ」
「?」