ど-182. とある下僕様の活躍1
ファイ、もとい下僕一号様、潜在能力だけが高いです。
『本日は日を改めて連絡させていただきました。
みたいな前振りは以上でおしまいです。
下僕一号様の大活躍記念も込めて、今日はちょっと趣向を凝らしてみました。楽しんで見て下さい。
「突撃インタビュー」
「シャトゥちゃん、いきなりどうしたの?」
「と、言う訳でやって来ました露天風呂!」
「うん、それは分かってるけど、と言うよりも一々言わなくても…」
「当然私は裸です。そして下僕一号様も裸です」
「お風呂だからそれは当り前…」
「ちなみにルルはお外でお留守番。残念です」
「流石にあの体で入ったらお湯がほとんど溢れてしまいますからね」
「本日は下僕一号様の活躍を労って慰安に来てみました」
「…シャトゥちゃん? どうしてさっきから分かってる事を態々口に出してるの?」
「うむ? 気になさらないで下さいまし、下僕一号様」
「………うぅ〜?」
「と、言う訳で早速下僕一号様にインタビューをしたいと思います。下僕一号様、今のお気持ちはいかがですか?」
「今の気持ちって言われても……お風呂ってやっぱり気持ちいいよね?」
「うむ、心地よいのです。でも違います! 今私が聞いているのはこの温泉が如何に素晴らしいかではなくて、本日魔法でチャンバラをしていた四つの国を平服させた事に対してです」
「あれは………――御免なさい」
「うむ? いいえ、私は怒ってないです。さすが私の下僕一号様と褒めております」
「…うぅ、恥ずかしいやら申し訳ないやら。あんまり思い出させないで、シャトゥちゃん」
「うむ? どうしてです? あの炎の天井がお空から降って来た時には流石の私もぴんちかと思いましたがまさかあれが噂に聞く“熱を持たない炎”だったなんて驚きでした」
「いや、あれは偶然、ルルがいきなり背中に悪戯してきたから驚いて――」
「しかも四ヶ国を覆うほどの規模とはまた驚きです。でも今日は下僕一号様に驚かされてばかりいるのでほんのちょっぴり仕返しなの?」
「…え? シャトゥちゃん、今のどういう意味?」
「気にしないで下さい」
「え、でも…」
「気にしないで下さい。お願いします?」
「…う、うん。分かった」
「と、言う訳で早速インタビューです。下僕一号様、今のお気持ちは?」
「………御免なさい。私の所為でご迷惑をおかけして、って申し訳ない気持ちでいっぱいだよ」
「下僕一号様は謙虚ですね? 謙虚は美徳! とは私は思わないので直して下さい」
「…精進します」
「と、言う訳で下僕一号様は日に日に逞しくなっております。インタビュー、以上!」
「…ねえ、シャトゥちゃん、さっきから思ってたんだけど、どうしてそんな語り口調なの?」
「うむ? 今レムへのお手紙を記録してる最ちゅ――」
「きゃあああああああああああ」
下僕一号様に消去されない内にこの手紙を出します。
では去らばです、レム。
かしこ
』
「所々焦げてるしふやけてるな。で、あいつは今ここにはいない、と。……さて、この手紙どうしようかなぁ?」
と、言う訳で見事四カ国を無条件降伏させたファイ。
本人は申し訳ない気持ちでいっぱい。
とあるお方のコメント×2
「やる事が豪快ね、あの子」
「当然です。私が気に入ったヒトの子ですから。あなたとは出来が違うのですよ、この出来損ない」
「いい加減私の事をできそこないって言うのやめてくれませんか、女神様」
「出来損ないを出来損ない以外で呼ぶ必要などありません。どうしてもというのなら…」
「私にはちゃんとルナって名前があるのよ。ちなみにお義母様は却下」
「…ちぇ」