18. どれいと襲撃
スィリィ・エルファン・・・レム君に恨みのある? 『冰頂』の女の子。若干S気あるかもしれないとちょっと思う。詳しくは『ACT XX. スィリィ』で。…奴隷?
アイネ・シュタンバイン・・・スィリィの親友、兼パートナー。元気な女の子。
フィン・マークス・・・今回レム君を助けた? 男。強い。実はW.R.にも入ってたりする、アルカッタ四強の一人。
ダリア・・・国王様。娘溺愛中
「…危ない危ない。死ぬとこだった。ああ、おい、見知らぬ誰か。助けてくれてありがと――」
「――てめぇ、ナニモンだ?」
「私の邪魔をする気?」
「そりゃこっちの科白だ。リリアン……様が攫われたとかでイライラしてる時に、久しぶりに合法的にヒトをヤれるつーから、こちとら楽しみにしてたのに横から掻っ攫われて堪るか」
「それは残念ね。ソレは最初から私の獲物なの。だから――諦めなさい」
「いやー俺ってば人気者だなぁ。ついでに言うと“最初から私のモノ”なんて大胆な発言するなー、スィリィ。でも残念、俺は皆の俺様なのでスィリィ一人のモノになるわけにはいかないんだよ。てか、むしろスィリィの方こそ俺のモノ?」
「はっ、俺の獲物を横から掻っ攫おうなんていい度胸してるじゃねえか。お前、中々見込みあるな」
「私の言葉、ちゃんと聞いてたの? アレは私の獲物なの。手を出そうものなら氷漬けにするわよ?」
「出来るものなら…………やってみなぁ!!」
「上等、ね。…潰すわ」
「わーい、無視されてるのってこの場合嬉しむべきか、それとも悲しむべきか?」
「邪魔モノを駆除なさい――“ブリザード・ブレス”」
「ふんっ、この程度の氷で俺の突進を止められると思うな。 ……喰らい、やがれっ!!」
「ふっ! …で、素手なんて私を舐めてるの?」
「んなこたぁないぜ。てめぇには十分に誠意を持って接してやってるよ。素手なのは俺のスタンスだ」
「……へぇ。でも甘いわね。って言うか邪魔なの。ねえ解ってる? 邪魔なの、あなた私の邪魔なの。むしろ死ね。今すぐ死ね。死になさい」
「随分と威勢のいい嬢ちゃんだな。ま、いつまでんな口きいてられるか楽しみではあるな」
「……あぁ、もう良いわ。――“ゴミ、私の前で跪いて許しを乞え”」
「っぁ!? ちっ、な…これは――」
「わー、地面凍らせて転倒、んで続けざま下半身奪ったかー。中々力を使うのに慣れてきたみたいだな、スィリィの奴。魔法言語をそのまま攻撃に使ってるし。というか、既に俺の事誰も見てないっぽい。……もしかしなくても今が逃げるチャンス?」
「そうだねっ。というよりもそろそろ逃げ出した方が賢明だと思うよ?」
「……誰?」
「はろー。レムさん、で合ってるよね? お噂はかスィリィからねがね。スィリィの親友やってるアイネ・シュタンバインて言います。よろしくねっ?」
「ああ、さっき俺の刑執行を止めてくれた奴ね」
「うん、あれはスィリィがあなた見た瞬間に固まっちゃってね。それで私ピンときたわけ。だから代わりに止めてみました」
「ああ、ありがとな。俺はレム……んー、アイリアス、で良いや。レム・アイリアスな」
「で良いやって、自分の名前だよね、それ。もしかして偽名とか?」
「おお。もしかしなくても偽名だぞ」
「なんだそりゃーって感じだねっ」
「まあこっちにも色々と事情ってものがあるんだ。それに隠し事があった方が格好良さそうだろ? 惚れるだろ?」
「カッコ良さそうってのはちょっとだけ同意だけど、惚れるってのはないかなー? 私、もう好きな人いるからねっ」
「なんだ。残念」
「ごめんねー。……で、そろそろ避難した方がいいかもね」
「そう言えばさっきも言ってたが、避難?」
「うん。スィリィってば切れちゃうと見境がなくなっちゃうんだけど、ここまでプッツンしちゃってるスィリィを見るのは初めてだなぁ〜」
「……ぷっつん?」
「“許しを請えば止めてあげる――なんて事言う訳ないでしょ? 二度と私の邪魔しないように捻り潰してあげるわ”」
「げっ、あいつなんつー、魔法体系のまま話してやがる。また危険な事を…」
「ね? だから早く逃げないとここも被害に…って、ほら、このままここにいると氷漬けにされちゃうから、こっちっ!」
「うぉっ!?」
「――到着、と」
「今のは瞬間移動……や、違うか。補助、スピードアップ系の魔法か?」
「凄いっ! 私は『韋駄天』って呼んでるけど、これを一目で見抜いたのレムさんが初めてだよ。流石スィリィが見込むだけはあるんだねっ?」
「いやぁ、それ程でも……あるけどなっ。はっはっはぁ〜!!」
「……なるほど確かに。褒めれば調子に乗るんだね」
「ん? いまなんて言ったんだ?」
「あ、何でもないから気にしないでいいよっ。それよりもレムさん、」
「何だ、どうした?」
「此処じゃまだ危なそうだからもう一回逃げるよ。手、貸して?」
「よしきたっ! …て、うぉまた!?」
◇◇◇
「ん?」
「ん?」
「よう、ダリア。奇遇だな?」
「うぐっ、…ぐ、犯罪者め、どうやってここまで――」
「ああ、それはこいつ…アイネのおかげ」
「初めまして、国王様っ」
「うむ。元気がよくて結構……ではないわっ、犯罪者め。此処で会ったが終年だ。先程は邪魔が入ったが、こうなれば私自らの手で――」
「何言うか。てめぇが犯罪者になるように裏から手をまわしやがったくせに」
「…何の事かな?」
「ふんっ、惚ける気か。まあこうして自由の身になった今となってはどっちでもいいけどな」
「それはつまり、この場から逃げられるとでも思っているのか?」
「当然」
「あの、レムさん。気づいてますか? 私たち囲まれちゃってます。それも結構なてだればっかりで…私やばいかも。というよりもレムさんっ、一体何をしちゃったんですかっ!? 吐くのなら吐いちゃった方が楽になるよ…?」
「いや、俺は別に何もしてないから。全部現状証拠とかテッラ―が俺を見捨ててやがった事とか、不運な出来事が重なってるに過ぎないから」
「ふぅん。それは、大変だったんだね?」
「あぁ、大変だったぞ。………と、言うよりもこうして普通に心配してくれるアイネの態度が凄く身に染みてしまうのはどうにかした方がいいなぁ。よほど日頃の待遇が悪いって証だぞ、これ」
「大変そうですねっ。それにスィリィの事とかもあるし。……何かレムさんの周りって面白い事が起きてそうだなぁー」
「面白くない。俺としては一切面白くも何ともないからなっ。っと、それと今更だけど囲まれてるのには気づいてたぞ、初めっから」
「そっか。ならよかった。――と、いうわけだから私はこれでっ」
「って、おい待てアイネ!!」
「嫌! それにレムさんがスィリィの話してた通りの人だったら大丈夫だってっ! 何とかなるなる。それに『韋駄天』は一人じゃ大丈夫だけど二人は大変なのっ!ましてや三人なんて無理無理無理!!! ――という訳だから、『韋駄天』!!」
「て、本当に行きやがった逃げ出しやがった」
「くふふっ、見捨てられおってからに無様な奴だ。あっかんべー」
「…見物人がいなくなったとたんに随分と親しげだな、ダリアよぅ?」
「何を言いたいのか全く判らんな」
「ところでアイネの奴は何か勘違いしてたみたいだけど、この俺“達”を囲んでいる奴らにって心当たりあるのか?」
「心当たり? ふん、少なくとも私の城のモノたちでない事だけは確かだな」
「…やっぱり? てー事はお前が『囲まれてピンチ!』って所に俺は吶喊してきちゃった、という訳だ。……うっわ、よりによってどうしてこんな場所に出て、しかも置き去りにするかね、アイネの奴」
「ざまあみろ、だ」
「……ま、あそこにずっと居たままにされるよりはマシか」
「“清涼なる凍土に沈め、愚者”」
「ちっ、中々近寄れねぇな、おい。ちょいと面倒だが――往っとくかぁ!! う、らあぁぁぁ!!!!」
「――っ! あぁもうっ、うっとおしいのよ!!!!」
「わー、拳振り抜いただけでスィリィの魔法の壁全部を貫通させて直前まで迫りやがった。ばっかみたいな力だな、あれ」
「ふん。奴は――フィン・マークスはアレでも四強のうちの一人だぞ。当然私よりは弱いがな」
「よく言うぜ。つかダリア、お前は五歳のリリアンにぼろ負けしてるだろ」
「……私の可愛いすうぃ〜とまいえんじぇる・リリアンは別格だ」
「あ、そう。実際やり合ったらどっちが強いかなんて判らないものだけどな」
「私の方が強いに決まっておるわ」
「言ってろ。………で、随分と待たせて悪いな。多分“国王様”の命でも狙った暗殺者か? 一人でホイホイとこんなところに出てくるからこういう事になるんだよ。覚えとけ」
「その台詞、貴様に言われたくはないわ」
「ま、それもそうだ」
『……』
「何とも根暗な連中で。ま、暗殺者って言うのはそっちが正しいんだろうけどな。さて、どうしたものか。……ダリア、取り敢えずお前突っ込んでこい」
「ざけた事をぬかすな。貴様が逝け、貴様が」
「…んじゃ、そうさせてもらうわ。どうせお前たちのターゲットってこのダリア国王陛下様だろ? 俺は一切関係ないから、邪魔する気も全然ないから、抜けさせて――」
「うらっ!!」
「――ぅおぃ?! いきなり蹴られて、って何かデシャブだな。捕まるのも同じだし。つか何故俺は捕まってますか? いや俺無関係だからお願いしますからこの首筋に突き付けてるヤツ、どけて解放してくれませんか?」
「ふはははっ、いい気味だ!! おい暗殺者共、私は存分に抵抗するからそいつはさっさと殺して構わないぞ。むしろ世界の為に今殺せ、さくっと殺っとけ」
「うおおおお、ダリアてめぇ、裏切りやがって!!」
「裏切るも何も私は最初からお前が死んでくれれば万々歳だ、この犯罪者め。そもそもひとりだけ逃げようとしていた貴様が言える事か!!」
「俺はいいんだよ、俺は。それより名も知らぬ暗殺者のお方? 俺はこの国王様とは一切無関係だから、ほら聞いた通り人質の価値もない男ですよー? ……だから解放してくれ」
「暗殺者共、一応聞いておいてやろう。要求は何だ? やはり私の命か?」
「ダリア王よ、この国にいる事は分かっている。今すぐ“レム”という男を我らに差し出せ。そうすれば命は助けてやろう」
「あー、ちなみに差し出された“レム君”はその後どうなるんだ?」
「当然、殺す。それが我らが主の望みだ」
「……そですか」
「そのお前達が捕まえてる男、さくっと殺ってくれて構わんぞ」
『ワールドランキング上位十名ランダム発表会』(不定期掲載)
豪拳フィン・マークス
あるかった四強のうちの一人。結構強い。ちなみにW.R.中では一番弱いと思われるいヒト。拳をメインに戦って、基本戦術はリリアンと同じ。リリアンの戦いの師匠様。既に腕の方は弟子に抜かれている、なヒト。