ど-169. 今後の未来は明るいです?
未来はバラ色、とはよく言った。
「レム。レム?」
「どうした、シャトゥ?」
「ちょっと真面目なお話があるの」
「何だ?…と言いたいところだがそれはつまりあれか?いつもは真面目じゃなくてふざけてたと、そう言うわけか?」
「そんな事ない。正義は我にあり!」
「…頼むから正義の概念をお前の一念で固定化してくれるなよ?」
「うむ?」
「ま、いいや。んで、その真面目なお話とやらは何だ?」
「うむ。我もそろそろ素敵なお年頃…」
「って言ってもまだ二歳にもなってないけどな」
「レム、五月蠅いの」
「へいへい。茶化さず聞きますよ。んで?」
「と、言うわけで我は悟りました、唐突に」
「……」
「……レム、何か言う事ない?」
「何を悟ったんだ?…と聞いておいてやろう。情けだ」
「うむ!そして我は悟ったのです。――我は神である!」
「勘違いだ」
「…うむ?言い間違えた。――我は母様ではない!」
「そりゃそうだ」
「…我が凄く悩んで答えを出したのに。…うぅ」
「って、泣くな泣くな。まあシャトゥがあいつじゃないのは当然の事だけど、またどうしてそんな結論に至ったんだよ?」
「我は、今まで母様を目指してました。…ちーん」
「って、俺の服で鼻かむな、こなくそ」
「泣いたら少しすっきりしました」
「…俺の服が。シャトゥ、ちょっと着替えるから待ってろ」
「うむ」
「………」
「…じー」
「…そんなに見つめるな」
「…レムの身体、きれーです」
「えぇい!五月蠅い!!見るな!あっち向いてろ!!!」
「……ぅ、ぅむ」
「…よし、着替え終わった。いいぞ、続きを話してくれ」
「うむ、残念です」
「何が?」
「レムの生着替え?…ぽ」
「……いいから、続きを話せ」
「うむ。ところで何のお話?」
「シャトゥがあいつじゃないって話だ。まさか忘れたとか言わないよな?」
「うむ。我はレムと違い記憶力に自信があるので忘れてません」
「なら続きを。で、あいつを目指してたシャトゥはどうしたんだ、一体?」
「うむ。母様を目指していた我ですが我は母様でないので母様になる事は出来ません」
「うん、そうだな」
「故に我は我になる!」
「…いきなり耳元で叫ぶな、うるさい」
「ご免なさい」
「分かればいい。んで、シャトゥがシャトゥになるってどういう意味なんだ?」
「アイデンティティの覚醒め?」
「……今までも十分すぎるほどに個性的だったとは思うが、うん。まあそう言う事ならいい事だな、それは。……何よりあいつを目指してても碌な事にならないだろうしなぁ、俺が!」
「と、言うわけで我は母様を超えるために一層の努力を惜しまない決意をここにします?」
「何故疑問形?それと俺に言いに来た意味が分からん。まぁ、嬉しいけど」
「コレはレムに対する決意表明なのだ!」
「ほぉー」
「レム、覚悟するが良い!………では去らば!」
「………覚悟て、何を?」
そうしてシャトゥは去って行きましたとさ。
羽ばたいて〜、羽ばたいて〜
いつかは巣立つ雛鳥よ。
旦那様の今日の格言
「…あ、飛び降りた」
女神さまの本日のぼやき
「下界へひもなしバンジー、ごー!」