ど-163. 初モノ、フィッシュ…?
変な意味ではない。
マカフィー・・・ちょっぴり悪戯好きな、料理部の女の子。もち、レム君の奴隷。
「フィッシュ!」
「…おい」
「我はヤりました!」
「……おい、シャトゥ?」
「ふふっ、我の腕も捨てたものでないの。…いえ、腕は捨てません、切り落とすのは怖いのです。がくぶるがくぶる」
「………おいシャトゥ、一体何のつもりだ?」
「うむ、レムの一本吊りに成功?」
「一本釣り、ねぇ…?」
「益々、腕に磨きをかける!」
「いや、腕に磨きをかけるのは結構な事だけどな、頼むから他のところでやってくれると助かる」
「断る!」
「…まあそうだと思ってたけどな」
「ですが条件によっては話は変わります」
「条件って…最近頭使うようになってきたな。んで、どんな条件なんだ?」
「我に惚れろ!」
「無理」
「うむ?…うむ、今のは我の魂の迸りなので気にしないでほしいの」
「ああ、どうせいつもの事だしな。初めから微塵も気にしてない」
「うむ、ならよし!」
「………つまりは端から相手にされてないって事なんだが、自分で言って置いてなんだけどそれでいいのか?」
「うむ?」
「まぁ本人が気にしてないってんなら俺は別にいいんだけどな」
「ではレム、れむ拓をとるの」
「れむ拓?…まあいいたい事は分かるけどな、魚拓のヒトバージョンか……ってぇ、んな事されてたまるかっ!」
「もう、レムは我儘です。でもレムは生きるために我儘を言う生き物なので仕方ないの?」
「の?と本人に聞かれてどう答えればいいんだ、この場合?」
「でも大丈夫、命までは取りません」
「それは魚拓だったら確かに命までは…って待てシャトゥ、その手に持った壷は何だ!?」
「真黒な液体の入った不思議な壷です。れむ拓をとると言ったら料理部のマカフィーさんが苦笑いしながら用意してくれました。ちなみに無味無臭」
「…多分、ツィートルの墨か」
「うむ、そのような事も言ってました。でもわくわく感を出すために我は敢えてコレを『無味無臭の真黒な謎液体』と呼びます」
「でもな、確かツィートルの墨ってかなり落ちにくいんじゃなかったか?一度触れたら皮膚にしみこんで数日は取れないという末恐ろしいものだった、と俺は記憶している」
「我にレムのその後の事は眼中にないので気にしません?」
「いや気にしろよ!?てかそういう事情だから、頼むからその壷を持って近づいてくるのは止めてくれ。な?」
「お断りなの。レムは我が吊ったのでもう我のモノ?」
「釣ったって……これの事か。てか本当にいい加減おろしてくれないか、シャトゥ?片足だけ天井に吊られてる態勢って微妙に辛いのだが?あとそろそろ頭に血も昇って来た」
「お断りします。苦労してレムを釣り上げたのでレムが我を食べるまでは離しません」
「――は?」
「……うむ?間違えた。我がレムを食するまでは離しません。そして残るのは骨だけ?」
「ってぇ!!命までは取らないとかさっきほざいてませんでしたか、あなた!?」
「ではレムが食べるのは諦めます」
「……さっきから微妙に物言いが危ういのは狙って言ってるのか、それとも素で間違ってるのか、」
「うむ?」
「間違いなく、素なんだろうなぁ。でも逆にどういう意図で言ってるかが分からなくて怖い」
「ではレム、覚悟!」
「っ、だから止め――」
「……我の初モノ記念。ホクホクなの」
ツィートルとはいかみたいなモノとお考えください?
そうしてシャトゥは今日も大人への階段を一歩上りましたとさ。
旦那様の今日の格言
「……日焼けは男の勲章だ」
女神さまの本日のぼやき
「…本当に、何をしてるのかしら、この子達。あと私も、もっと襲うくらいじゃないと…!」