ど-157. むずむずするのは痒いです?
レム君は知識豊富です…実は。
「レムぅ」
「ん?泣きそうな顔してどうした、シャトゥ?」
「かゆい」
「はい?」
「かゆいのです。とてもむずむずするの」
「…どこが?」
「ここ」
「手の平…おぉ、確かに真っ赤になってるな。血も少し出てる…ちょっと掻き過ぎだな、シャトゥ」
「もう我慢――出来ない!」
「っと、待て待てシャトゥ。そうやって掻いてたら益々酷くなるだけだから我慢だ」
「でも辛いのです。苦しいのです。…たすけて、レム?」
「ぅ、そう言う上目遣いは反則――…ではなくて、あいつに相談はしたか?」
「母様に迷惑をかけるわけにはいかない」
「俺ならいいってわけか」
「うむ」
「見事な即答だな。まあでもな、この程度じゃ迷惑とかじゃないぞ、絶対」
「母さまはレムと違ってとても優しいのでレムの意見は参考にしません」
「……、ま、いいか。しかしそれ、多分ミストバリエの毒だな。塗り薬の効薬を出すからちょっと待ってな」
「ミストバリエとは何?」
「水色の綺麗な花を咲かせるんだけどな、葉の部分がちょっとした毒を含んでる植物だ。ちょっとだけなら問題ないけど大量だったら結構危険な奴だよ。他の花とかにも影響出るから俺の花壇には植えてないけどな、確か館の近場、どこかに生息してた気もするな」
「水色の花、思い出した」
「シャトゥ、心当たりはあったか?」
「うむ。綺麗な水の花畑があったのでファイを戯れていました」
「……ファイ“と”じゃないのか?」
「うむ?…うむ、間違いました。ファイト戯れてた」
「…だよな。間違いじゃ、ないよな?」
「うむ。でもあの水色の花が原因なら少し心配」
「ん?どうしたんだ?」
「我は水色の花を少し触っただけだけど、ファイは花畑の中で盛大に転んでた。今頃――うむ?今ファイの声が聞こえました。叫んでいた気もします」
「――ファイ!!!」
「と、レムは慌てて出て行った。…我のお薬は?」
ミストバリエ・・・毒を持った草の一種。触ると痒くなる。本当にもう痒くなる。
旦那様の今日の格言
「ふ、ふ。不幸は共有するものだ」
女神さまの本日のぼやき
「ルル、焼き払っちゃえ!」(ルル=灼耀の飛竜)