ど-137. 悪い知らせです
良い事の後には悪いこと。
世の中の常。
「レム、一大事」
「俺は何も聞こえません。シャトゥがそんな事言う日にはろくな事がないので」
「レム、我は悲しく思う」
「気にしない、気にしない」
「先ほどルルがレムの花壇の花を食べてました」
「何!?」
「小さな赤い実のなった大きな葉っぱの草だった。我にはルルの暴挙を止めるのは無理でした。力及ばず」
「…赤い実?と、大きな葉っぱ………、あぁ、あれか、ルクレシアの果実か。それならいいんだ」
「レムの偽物発見!レムをどこに隠した!?」
「いや、な。確かにあの花壇を荒らされて黙っている俺ではないが、あれ――ルクレシアはまあ別なんだ」
「別?」
「ああ。ルクレシアの果実ってのは飛龍の大好物でな。だからあれは元々灼耀の飛龍…ルルーシアの為に拵えたものなんだ。つー訳で自分で自分に与えられるものを荒らしてるんだから問題ない。分かったか?」
「うむ。母様が取り分け小言をおっしゃっていた理由が分かりました!」
「……え?」
「しかしレム、ルルばかりずるい。我にも何か寄こせ?」
「寄こせって言われてもな、それと懇願するような目で見るな。思わず頷きたくなってくる」
「…だめ?」
「駄目だ」
「母様直伝のゆーわくが失敗した!」
「って、日頃の教訓から思わず反射的に言ってしまった」
「では挽回を許す」
「いや、挽回…つか正しくは撤回、な?をするつもりはないけどな」
「そんな!」
「何もそこまで落ち込まずとも…」
「我は世間の荒波に絶望しました。これからはレムを親のカタギと思って崇める事にします」
「…何から訂正すればいいのか迷うな。はいはい、分かったから。シャトゥにも何かプレゼントすればいいんだろ?」
「……レム、本当?」
「ああ、だから絶望したとか俺を崇める…のは続けてくれていいけど、突拍子もない事を言うのはやめろ、な?」
「うむ」
「そうか、分かってくれたか」
「うむ。でもレムの言葉には意味なく逆らいたくなるので断わります」
「断るな、断るな。あと顔が緩んでるから説得力無いぞ、シャトゥ」
「うむ?」
「我慢はよくないからな?嬉しい時は思いっきり嬉しがっていいぞ」
「……」
「……」
「きゃふっー、レム!我は母様に報告してきます、そして報復!」
「ああ…てか最後の報復ってのは何だ!?」
「あと言い忘れてたけど調子に乗ったルルが花壇のすぐ傍で戯れてた。レム、ピンチ?」
「ちょ、それを早く言えってシャトゥ!?――えぇい、こんなところでのんびりしてられるか、こなくそぅ!」
念の為。灼耀の飛竜とはレムくんに非常になついている、シャトゥとは魂を分け合ったようなマブダチさんです。
旦那様の今日の格言
「気を抜くな、いつも背後に奴らの視線」
女神さまの本日のぼやき
「てれてれ」




