ど-125. 仕掛けを仕掛けた仕掛け人
レムくん、異次元に散る
「敵しゅーだ!!」
「何事!?」
「我のご降臨?」
「…なんだ、シャトゥか。少しでも焦って損した」
「酷い言われ様」
「それはそうと、敵襲ってのはどういう事だ。誰か侵入者でも現われたのか?」
「侵入?」
「いや、分かってないならそれでいい。ならさっきのはどういう遊びだったんだ、シャトゥ?」
「我のご降臨?」
「いや、それはもういいから」
「我とレムは愛人と書いて好敵手?」
「それは事実とか使い方とか、色々な意味で違うから」
「何を言わせたい?」
「特に何もない。あと、その聞き方だと色々と変な意味にとられるから止めような、シャトゥ?」
「うむ?」
「で、いったい何しに来たんだ。暇だったから遊びに来たのか?」
「いや。ちゃんと母様から“しれー”を受けて来た!」
「ほうほう、指令ね。んで、どんな事なんだ?」
「レムを倒せと我が魂が…」
「それはいいから。指令の方は何なんだ?」
「んと。これが“しれー書”。しかし我はまだ字が読めません。レム、読め」
「口調だけ無駄に偉そうだな。…態度は低姿勢なのにな」
「レム、早く」
「そう急かすな。どれどれ……『本日はお日柄もよく、旦那様もより一層の御日和を〜』っと、明らかに俺宛だな。まぁここの辺りは飛ばすとして、だ」
「何て書いてある?」
「だから急かすなってば。えっと……結局指令は最後の二文だけか。何々、『旦那様にこの手紙を読ませる事…』って、既に完了してるじゃないか」
「レム、レム?」
「いや、どうやらこの手紙を俺に届ける事がシャトゥの司令だったみたいなんだけど…」
「なら母様からの言いつけは守れた?」
「いや、まだ続きがあるから。あとちょっと待とうな、シャトゥ。んと、『なお、この手紙は読み終わると自動的に読み手を巻き込んで異空間へ消失しま』――」
「レム?」
「――」
「うむ?あと最後の一文字だけ?これは、えっと」
「待てシャトゥ早まるな!“す”こしだま…ぇ?」
「っ!!」
「シャトゥ」
「眩しかった。…母様?」
「はい。任務達成ご苦労様です、シャトゥ」
「達成?母様の言いつけちゃんと守れた?」
「はい、いい子ですね、シャトゥ」
「わーい、わーい。やたっ!!………うむ?レムはどこ?」
「さて、私は見ておりませんが。旦那様の事です、恐らく気まぐれでどこかに行かれたのでしょう」
「そうなのですか?」
「ええ、本当に仕方のない旦那様」
「レム、仕方のないヒトー」
「はい。ふふふ」
「母様?」
「いえ、なんでもありませんよ。それではそろそろ良い時間なので昼食にするとしましょうか」
「うむー!!」
ちょっとした遊び心とそれだけです。ええ、それだけです。
悪意は全く御座いません。善意は…ある、かな?
旦那様の今日の格言
「…ここはどこ?俺は――って流石にそれはないけど」
女神さまの本日のぼやき
「平和」