ど-123. 最近はイジメって聞きますか?
ばててきた。
「どうした、シャトゥ。少し沈んでるみたいだけど?」
「レム、最近我は思うのです」
「何をだよ?」
「他の皆からいじめられてる気がする」
「気のせいだ」
「でも」
「間違いなく気のせいだ」
「そうなの?」
「ああ。と、いうよりもシャトゥはどうしていじめられてるなんて思ったんだ?」
「我に対する皆の態度が他の人よりも少し違う事に気づいた。これを無視と言う?」
「…成程。でもな、それはイジメじゃないぞ?」
「そうなの?」
「そうなの。まあ、いじめって言うよりも嫉妬、むしろ羨望?要するにお前が羨ましいの」
「羨む?我を?…うむ、我は遺体だからにゃぶっ!」
「舌噛んだな。それとこの場合はイタイじゃなくて偉大、な。微妙に遺体でも間違ってなさそうなのが怖いが」
「ひゅむ?」
「痛いのか、舌」
「……(こく、こく)」
「まあ、我慢しろ。で、だ。シャトゥ、お前の“母様”ってのは誰の事か、もう一度思い出してみろ。そうすりゃ自ずと答えが出る」
「母様?」
「そう、“母様”」
「うむ?つまり母様はレムより人気者?」
「…俺より、の部分は必要ないけどな。でもまあ、そう言う事だ。だからあいつに大事にされてるシャトゥは羨まれるって訳だ」
「だが我よりレムの方が母様と喋っている」
「そりゃ、俺はほら、何と言ってもあいつらのご主人様だし?畏怖とか威厳とかご主人さま的な何かが先に立ってきているのだよ」
「単にどうでもいいと思われてるだけ?」
「……」
「それともレムの立場はせんぼーされない?我はレムを羨んでいない」
「……できるだけそっちの線は考えないようにしている」
「現実とーひ?」
「そうとも言う。そしてシャトゥ、お前のまっすぐな言葉が今はすごく痛いよ」
「我は今、レムを虐めている!」
「…少しでもそう思ってるのなら自重しような?」
「母様はレムなら虐めて良いって言ってた。むしろレムは喜ぶ?」
「悦ばない喜ばない。そしてそんな心理がいじめを生んでるって事に気づこうぜ?」
「大丈夫。皆がレムをいじめても我はレムを避けたりしない」
「むしろどっちかと言うと今はお前にいじめられているのだが?」
「驚愕の真実?」
「驚愕でもなんでもないから」
「皆がレムに内緒でレムを中央に吊るして楽しむ『間吊り上げ☆大作戦』の準備を着々と進めている事も?」
「…すっげぇ驚愕の事実ですね、それは。……この件については後であいつに確認しておくとしよう」
「でも、そう。我の勘違い」
「ああ、兎に角シャトゥがいじめられるって自体にだけはならないから、その点だけは安心しておいてもいいぞ。仮にシャトゥを虐める様な奴がいたとしたら、そいつ間違いなく翌朝血祭りになってるだろうからな」
「そう。よかった」
「ああ。んで、ちょっと落ち込んでるように見えたのはその為か?」
「うむ?違う。レムの今後を考えて憐れんでた」
「は?それってどういう意味だよ?」
「さっき言った事。準備が完了したから我が呼びにきた」
「な、何を――」
「レム、強く生きて???」
いじめはありません。
旦那様の今日の格言
「あぁ、強く…生きよう」
女神さまの本日のぼやき
「今日も平和な一日でした」