ど-111. キミの後ろに…
色々と、大変なのです
「レム、どうした?」
「……」
「…大変、レムが死んでいる!!」
「…いや、死んではいないから」
「あ、生きていた」
「…微妙に嫌そう?」
「そんな事はない。母様が、返事をしない奴は最低です、と言っていたが安心して?レムは最低だけど我は嫌いではない??」
「いや、それはありがたいつーか、シャトゥの好き嫌いを俺に聞かれても困るわけだが…」
「むしろ愛していますと言えー!!」
「何故に!?」
「我の魂の雄叫び」
「……あぁ、なんて言うか、これ以上ないくらいに納得できてしまった」
「そうなのか?」
「ああ、うん。魂の雄叫びね、それなら仕方ないよな、うん」
「うむ、仕方ないのだ。だから我を愛していると叫べ」
「それも魂の叫び?」
「うむ!」
「…、断る!」
「どうして?」
「……何でそこだけ無邪気になるかな、お前は。それにどうしても何も、シャトゥが頭に乗るからだ」
「我は図に乗るのか?」
「微妙に言い回しが違う気がする。だけど、そうだ。この件でお前を調子に乗らせるのはかなり嫌だ」
「心が狭いね、レム」
「放っとけ」
「うむ。レムは恥ずかしがり屋だから仕方ない。本当は愛してるけどシャイだから言葉にできないの?」
「何故そうなる。つか、曲解にもほどがあるだろ、それは」
「そんなっ、レムは我の事が嫌い?」
「嫌いじゃないが…どうしてそこで二極論に持って行きたがるかね」
「母様は毎日我の事を好きだと言ってくれる」
「…わお、驚愕の事実だな、それは。あいつが親馬鹿っぽいのは納得だが、俺でさえあいつに好きと言われた事ないぞ」
「レムは母様に好きって言われた事ない?」
「ああ、ないな。……って、あれ?これって何かおかしくね?」
「我の方が母様に愛されている!」
「……むぅ、否定しきれない。最近はどっちかって言うとシャトゥの方にかかりきりでもあるしなぁ」
「代わりに我がレムを構ってやる。偉い?偉い??」
「ああ、シャトゥは偉いね」
「やった、レムに褒められた!」
「こう言うところは無邪気で和むんだけどな」
「だ、だけど身体まではまだ駄目なの。物事には順序があるから」
「…こう言うところは、矯正して欲しいぞ」
「大丈夫。レムが我の気を引こうとしている事は察している」
「初耳の事実を実にさらっと言ってくれたな、おい」
「母様が言ってた。レムは我の『てーそー』を常に狙っていると」
「…その話題はいい加減にならないか?いくら俺でもそこまで飢えてはいないんだが」
「大丈夫、我の方の準備は整ってる!」
「何の準備だ、何の」
「いつでもおーけー、かもーん?」
「………あー、なぁシャトゥ?」
「何、レム?」
「今度、もう少しまともな知識を身に付けてから今の言葉を思い出してみようなー?」
「??うむ」
「で、そう言えばどうしたんだ?俺に何か用事があってきたんだよな?」
「うむ!母様がレムの事を捜してた!」
「あいつが?…何か用事でもあったかな?」
「それは聞いてない」
「だよな。まあ直接会って聞けばいいか」
「そう言えば、レム」
「何だ?」
「母様が笑っていた。早く行かないと怖い?」
「……たった今、無性に別件の用事を思い出したくなってきた」
「レムは今忙しい?」
「ああ、たった今忙しくなった所だ」
「――だ、そうですよ、母様?」
「………、え?」
そのあとどうなったのか……と言う展開が結構多い。でも結果は目に見えてると思う。
ちなみにメイドさんは怒ったりはしません。だってメイドさんですから。
やさしく、旦那様をたしなめる程度はするかもしれませんが。
旦那様の今日の格言
「さて、用事を探しに行くか」
女神さまの本日のぼやき
「返事がない。…屍だ!」