ど-110. 情報戦?
時は情報化社会…?
「…何でこんなに忙しいんだー!?!?」
「さて、何故でしょうね?」
「つかてめぇはご主人さまがこんなに一生懸命に働いてる最中、何のんきに茶を啜ってますかー!!!」
「これは失礼いたしました。旦那様もいっぱい、いかがでしょうか?」
「ああ、貰おうかな…じゃなくて少しは手伝う気がないのか!?」
「ございますとも」
「なら――」
「しかし残念な事にそちらの仕事は全て旦那様に一旦は目を通していただかなければならないものばかり、こればかりは如何に優秀な私と言えどもどうする事もできません」
「それをどうにかするのがお前の仕事だっ!」
「…はい、旦那様がそう望まれるのでしたら、私は不可能さえも可能として見せます。そう誓っておりますので…えぇ、やってやれない事ではございません」
「なら頼むっ!」
「はい、旦那様の命、全身全霊をもって応えましょう」
「……」
「……」
「で、お前は一体何をやっているのだ?」
「見ての通りですが、何か問題があるでしょうか?」
「いや、魔方陣を書いてるのは分かるのだが、それ一体何の魔方陣だ?」
「おや、旦那様が一目見て解らないとは珍しい」
「ああ、だからこそ非常に気になるのだが、それって一体何の魔方陣だよ?」
「はい、私がかねてよりある目的の為に開発しておりました同調用魔術の方陣でございます」
「同調?」
「はい、意識表面層で旦那様と私を同調させて、私が読み取り行った事を旦那様も感じ取れるというものでこれを行えば効率は二倍に跳ね上がります」
「おお、それは凄いな。それじゃ早速頼む」
「はい。ですが少々問題があるのですが…」
「まあ少々程度の問題なら大丈夫だ。それより今は忙しい、さっさとお前も作業に参加してくれ。小言はこれ全部が終わった後で聞くから」
「…旦那様がそう仰られるんでしたら……。では、同調魔術を始めさせていただきます」
「応」
「――接続、完了。――同調、完了。…旦那様、成功いたしました」
「おぉ、これはすご…って、今何か『失敗したら廃人の可能性も…』とか言うのが頭の中によぎったのですが?」
「今、私と旦那様は同調しておりますので、私の意識が旦那様へと漏れているのですね。……お恥ずかしい限りです」
「っておい!?これは少々の問題じゃない気がするのですが!?」
「心配には及びません。旦那様と私の同調ですので、恐らく成功すると望んでおりました」
「随分と願望色が強いお応えですね!?」
「それだけ成功率は低かったもので…。それはそうと旦那様、お急ぎにならなくて大丈夫なのでしょうか?」
「あぁ!?そっ、そうだった。くそっ、取り敢えず成功はしたんだから今は不問にしておこう。それじゃ、そっちの作業の方を頼むぞ!!」
「はい、畏まりました、旦那様。…そう言えば、ひとつだけ、言い忘れていた懸念事項があるのですがよろしいですか?」
「ああ何だよだから今忙しいって……いや待て、今聞いておかないと後悔すると俺の本能が告げた。何だ、その懸念事項ってのは?」
「はい、事実上二人分の行動を一人で追っているのと変わりありませんので、術者と被術者に多大な負担がかかります」
「それは一番重要な……ぅぷっ、き、気持ち悪、なにこ――」
「ちなみに私の方は旦那様との同調を断っておりますので、旦那様から私の方に流れ込む心配は御座いません?」
「うぅ、くそ、この、あぁもうっ、ぜって、後で覚えてろ。今は、こっちが先…うぷっ!?」
「では、作業を続けさせていただきます」
「おま、ちょ、ま、それ早……目が回――」
「心配には及びません。旦那様が手を止めていてたとしても私が読み取ったモノが強制的に旦那様へと流れ込みますので。安心して気を失って…失えれば、ですが、構いませんよ、旦那様」
「こ、これは一体どういう拷問、だっ」
「私は、先に少々問題があると断りを申し上げましたが?」
「これは、少々じゃ、ねぇ!!!」
「…さて、それでは多少スピードを上げますか」
「―――」
レムくんはきっと大丈夫です。
しんぱいいりません、レムくん、つよいこですから。
旦那様の今日の格言
「過ぎたるは及ばざるがごとしって、本当だよなぁ」
メイドさんの今日の戯言
「旦那様の学力がアップいたしました。どんぱふ」




