ど-107. 朝の安らぎ
どーん!
「ずきゅーん!!!!」
「ぐぽっ?!?!」
「…朝だ奇襲だ敵襲だー!」
「……」
「レム?朝だぞ。…起きて?」
「……」
「?どうした、ぷるぷる震えて。寒いの?」
「…さ」
「さ?」
「寒い訳あるかこのボケがー!!」
「ひぅ!?」
「無防備に寝てる奴の鳩尾に問答無用で膝蹴りとはいい度胸だな、おい!!更にはマウントポジションで何をする気だ!?」
「…レ、レム怒ってる?」
「これが怒らずにいられるか俺の朝の爽やかなひと時を返しやがれっ」
「ごっ、ご免なさい。こー言う起こし方したらレムが喜ぶって、母様が教えてくれたから」
「んな言い訳が通用する――……、なんだ、シャトゥか。てっきりあいつだとばかり思った」
「レム?」
「あぁ、シャトゥ、大丈夫だ。俺はもう怒ってないぞー?」
「ほ、本当に?」
「本当だってば。……ふ、ふ、ふ」
「れ、レムやっぱり怒ってる?」
「怒ってない怒ってない。だってシャトゥはそうすれば俺が喜ぶってあいつ――母様から教えてもらったからそうしただけだろ?………まさかそれ以外のないとかないよな?」
「ない、けど。…レム、怒ってないなら、嬉しかったか?」
「誰が……いや、まぁ、なあシャトゥ?」
「なに、レム?」
「あれはな、非常に危険なものだからもう止めような?」
「うむ?…分かった。母様も危険だからレム以外にはしちゃ駄目って言ってた」
「…ならその時点で俺にも駄目だって事に気づこうぜ、シャトゥ」
「うむ?」
「いや、いい。それよりシャトゥ、態々俺を起こしに来てくれたのか」
「うむ!レムはねぼすけだからな」
「いや、俺は別にねぼすけってわけじゃ…。そう言えば母様はどうしたんだ?いつもならあいつが起こしに来るはずだが」
「うむ、我は母様からレムを起こすと言う重大なにんむを受けたのだ。そして無事みっしょんこんぷりーと?」
「ゃ、どうかなぁ?」
「…まだ足りないのか」
「いや、そう言うわけじゃ――」
「わ、分かった。レムがそう言うなら仕方ない」
「は?ナニ?俺、今何か言いましたか?」
「母様もきっとこの事を言っていたのですね。母様、我は今から大人になります」
「…済まん、言っている意味が分からんのだが?」
「レム!さあ、思う存分我の身体をりょーぞくするがいい!」
「何をどう考えたらそんな穿った結論に達するのかは知らんが、ガタガタ震えて目に涙を浮かべて言われても反応に困る。それと一応、“りょうぞく”じゃなくて“りょうじょく”な、この場合」
「こっ、怖くなんてない。我は母様の娘だから、このくらいっ」
「いや、決死の覚悟のようなところ悪いが、もういいや。ほら、俺はちゃんと目が覚めたぞー?俺を起こしに来たんならこれで目的は達成だ」
「……たっ、せい?」
「ああ、そうだ。……んな事で呆けられてもなぁ」
「母様、我は、我はやり遂げました!!わーい、わーいっ」
「……今の姿だけ見てれば、本当に年相応の子供なんだけどなぁ」
「きゃふっー!!母様ー我はヤりましたー!!」
「…今、何か微妙な?……それにしてもあの膝蹴りは、効いた、――げふっ!?」
レムくんは幸せ者です、そう言う事にしておきましょう。
そしてシャトゥは何気に…世界を狙えます。
旦那様の今日の格言
「……」
女神さまの本日のぼやき
「返事がない。屍だ」